森朋之の「本日、フラゲ日!」vol.200
flumpool、yonige……優れたポップネスとバンドの個性が混ざり合った楽曲 新譜からピックアップ
昨年活動を再開し、4年ぶりのフルアルバム『Real』を発表するflumpool、昨年“第5期”としてスタートしたWANDSのニューシングル『抱き寄せ 高まる 君の体温と共に』など4作品を紹介。優れたポップネスとバンドとしての個性が上手く混ざり合った新作ばかりだ。
山村隆太(Vo)の喉の不調による約1年間の活動休止を経て、2019年に活動を再開したflumpool。再スタート後の最初の楽曲「HELP」、「素晴らしき嘘」(ドラマ『知らなくていいコト』主題歌)を含む約4年ぶりのニューアルバム『Real』は、題名通り、現時点における4人のリアルな表現が込められている。軸になっているのは、山村の生々しい感情が刻まれた歌詞。鬱屈した日々を超え、新たな夢を掴もうとする気持ちを描いた「NEW DAY DREAMER」、若き日のファミレスの思い出と30代になった現状が重なる「ほうれん草のソテー」など、これまで以上に彼自身の思いが反映されているのだ。また、阪井一生(Gt)の多彩な作曲/サウンドメイクも本作のポイント。特にUTA(三浦大知、安室奈美恵などの楽曲を手がけるプロデューサー)がアレンジに参加した「ディスカス」「アップデイト」における打ち込みメインの音作りは明らかに新機軸。その結果、現代的なポップスとしての精度がさらに上がっていることも本作の魅力だろう。
「もっと強く抱きしめたなら」「時の扉」などのヒット曲で知られるWANDS。新ボーカリストに抜擢された上原大史、90年代のWANDSを支えた柴崎浩(Gt)、木村真也(Key)の3人で“第5期WANDS”を始動、今年1月に第1弾シングル『真っ赤なLip』(アニメ『名探偵コナン』オープニングテーマ)をリリースし、鮮やかな復活を遂げた。再始動第2弾となる新曲「抱き寄せ 高まる 君の体温と共に」(作詞・上原大史、作曲・ 柴崎浩)は、ドラマ『サイレント・ヴォイス 行動心理捜査官・楯岡絵麻 Season2』の主題歌としても話題のロックチューン。90年代J-POP的なメロディライン、ハードエッジなギターサウンド、曲名をそのままサビにした歌詞など、WANDSの王道と呼ぶべき楽曲に仕上がっている。過去の楽曲に対するリスペクトを強く感じさせながら、現在の音楽シーンとリンクさせたプロダクションも絶品。90年代から応援しているファンはもちろん、10代、20代の音楽リスナーにも訴求できる楽曲だと思う。