Vaundy、WOWOWオリジナルライブでアプローチした美術館でしか表現できない映像と音響

Vaundy、美術館でしか表現できない映像と音響

 Vaundyが、美術館で収録したWOWOWオリジナルライブ『Vaundy Museum Live』が2021年1月16日に放送・配信される。

 YouTube、ストリーミングにおける再生回数がトータル12億回を突破。2021年にリリースされた「融解sink」「花占い」「踊り子」などのシングル曲も軒並みヒットを記録するなど、新世代の音楽シーンの騎手としての存在感を発揮しているVaundy。美術館のなかで繰り広げられる『Vaundy Museum Live』は、美しい空間、独特の音響を含めて、まさに唯一無二の音楽映像に仕上がっている。

 「ライブというより映画の中のライブシーンのような感覚。映像はもちろん、美術館ならではのリアルな音も届けたい」という『Vaundy Museum Live』の成り立ち、ライブに対するスタンスなどについて、Vaundy自身に語ってもらった。(森朋之)

WOWOW |Vaundy Museum Live SPOT

場所ならではのダイナミックさを感じてほしい

ーーWOWOWで2022年1月16日に放送・配信される『Vaundy Museum Live』は、飛騨高山の博物館・光ミュージアムで撮影。映像、音響を含めて、この番組でしか体感できない配信ライブですね。

Vaundy:ありがとうございます。美術館、実はあんまり行ったことがないんですけどーー鑑賞するより作る方が好きなのでーー光ミュージアムは建物自体も本当に美しくて。すべての空間が展示物のために設計されていて、天井も高いし、周囲の景観にも配慮されている建物なんですよ。あの場所でしか撮れない映像があるし、音もすごく響いて。実際に行ってみて、「この場所でやる意味があるな」と感じました。

ーー音響も独特ですよね。

Vaundy:そうですね。ちょっと音が取りづらくて、馴れるまでの時間がかかったんですけど、だんだん気持ちよく歌えるようになってきて。野外ともライブハウスとも違う、あの場所でしか味わえない音だと思います。すごく奥行きがあって、粒の細かい砂がサーッと広がるような感じなんですよ。神秘的なリバーブというのかな? 計測してシミュレーションすることはできても、デジタル的に1から組み立てるのは難しいでしょうね。作ろうと思っても作れない音だし、「いいもの見つけた」という感じです(笑)。

ーーVaundyさんの楽曲はサウンドデザインや音の配置がきれいだから、あのリバーブ感が似合うのかも。

Vaundy:そうかもしれないですね。あの音響だけでかなり情報量があるし、音数が少なくて、リズムがはっきりした曲のほうが映えるのかも。「怪獣の花唄」なんかは比較的、音が多いから「どうなるかな?」と思ったけど、けっこう大丈夫でした。ライブ自体はあえて作り込まないようにしてたんです。「Vaundyが美術館でやったらこうなる」というものを届けようと思ったし、僕の中ではそれ以上でもそれ以下でもないという感じだったんですよね、そのうえで「VaundyはどこでやってもVaundyだな」と感じてもらえたら、いちばんいいのかなと。

ーーヒット曲満載のセットリストも最高でした。新曲「踊り子」もそうですが、ライブだとこうなるんだ?!という発見もあって。

Vaundy:そこはしっかり棲み分けしてますね。音源とライブは別物というか、それぞれの楽しみ方があると思っているし、ライブでは基本、音源どおりにはやらないんですよ。アレンジが同じだとしても、叩いている人、弾いている人がめちゃくちゃパワフルなので、まったく違う感じになる(笑)。もちろん僕はどちらも好きだけど、「ライブじゃないと、これは聴けないんだぜ」ということは伝えたいかな。

ーーなるほど。周囲の様子がわからないほど暗めの照明から、少しずつ明るさが増していく演出も印象的でした。ライブが進むにつれて、建物の全貌が見えてきて、どんな場所でやっているのかがわかるという。

Vaundy:最初から全部を見せてしまうと、すぐ飽きちゃうと思うんですよ。美術館でライブをやることの効果を活かすためには、最初は情報量を抑えて、徐々に見せたほうがいいので。「ここではこれを見せる」「これを聴かせる」ときちんと提示したいと思っていたし、どうなっているかわからない状態から、少しずつ情報が増えていく構成は良かったんじゃないかなと。デジタルとアナログの関係に似てるかもしれないですね。デジタルは解像度が上がるにつれて、アナログの情報量に近づいていくので。

ーー照明や構成には、Vaundyさんも意見を出しているんですか?

Vaundy:いえ、ほぼ言ってないです。ライブは基本的に、第三者の目線が大事だと思ってるんですよ。楽曲の制作やレコ—ディングはもちろん自分でやるし、「こうしたいです」という意見もちゃんと言うんですけど、ライブは第三者が観て「カッコいい」と思えるのものがすべてなので。構成や演出を僕が決めると、全部自分の世界になるじゃないですか。

ーーそうならないためにも他者の客観的な視点が必要?

Vaundy:はい。たとえば「上から撮るとカッコいいんだよね」という発想は僕にはないし、その効果も第三者のほうがわかってるので。あと、自分でカメラワークを決めてしまうと、それ以外の動きができなくなるから、パフォーマンスの幅が狭まるんですよ。だったら全部任せて、自分はライブに集中するほうが理屈に合ってますよね。まあ、光ミュージアムはすごくきれいな建物だから、どう撮ってもカッコいい画になるんですけど(笑)。あんなに広い場所で撮れる機会なんて滅多にないし、あの場所ならではのダイナミックさを感じてほしいです。カメラの台数がすごかったから、編集は大変だったと思いますけどね(笑)。

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