ときのそらが語る、VTuberとして活動を広げてきた5年間 「カバーアルバムは自分の履歴書を見てもらう気持ち」

ときのそら、活動幅を広げてきた5年間

「表現できることが増えたのは、そらともさんのおかげ」

ーーそして今回、様々なアーティストの楽曲をカバーした3rdアルバム『Re:Play』がリリースされますね。この作品のテーマはどんなふうに決まっていったのでしょう?

ときのそら:今年の9月7日で活動5周年目に突入したのですが、周年イヤー1枚目の作品ということで、特別感のある作品にしたいなと思って。これまでVTuberとして「歌ってみた」動画を公開してきましたが、そらとも(ファンの総称)からの人気も高く、また、私自身にとっても様々な曲に挑戦し続けてきた大切なコンテンツになっているんです。今のタイミングで、改めてカバーと向き合い、新たなジャンルの曲にもチャレンジし続けることで、私のこれまでの歩いてきた軌跡を感じてもらい、「みんなとまた新たな時間を歩んでいきたいな」という想いを込めて、周年イヤー第一弾はカバーアルバムを制作することになりました。

ーーそらさんが特に印象に残っている曲をいくつか挙げてもらえますか。

ときのそら:まずは「MASAYUME CHASING」(BoA)です! 

ーー今回初めてカバーした楽曲ですね。

ときのそら:もともとBoAさんの曲は、クリスマス歌枠で「メリクリ」を歌わせてもらっていたんですけど、この曲はバラードではないアップテンポの楽曲で、苦手なものがてんこ盛りという感じでした(笑)。特にラップの部分は、BoAさんの歌をそのまま真似してしまうとモノマネになってしまうので、どれだけ自分らしさを出していいのかと考えながら歌いました。ディレクターさんに「どういうふうに歌った方がいいですか?」と聞いたときに、「自分が思うように歌えばいいと思うよ」と言ってもらえたのはすごく大きかったです。カバーではあっても、歌うのはあくまで私なので、「原曲のよさを活かしつつも私らしく歌ってもいい」と言ってもらえたことで、他の曲も思いきり歌えるようになりました。あと、「この曲は好きだけど、選ばれないだろうな」と思っていたら選ばれたのが「嘘」(シド)でした。

ーーこの選曲は結構意外でした。

ときのそら:今回の選曲は、「好きなアーティストや曲を挙げてください」と言われて答えたアンケートをもとに考えていったんですけど、いろんな世代の曲を挙げていましたし、「嘘」は男性バンドの曲なので、「私のイメージとは違うから選ばれないかな」と勝手に思っていたんです。そうしたら歌わせていただくことになって、最初は私自身も驚きました(笑)。でも、キーを変えてくださったことで歌いやすかったですし、この曲はもともとかっこいい曲だからこそ、私の場合はかっこよく歌い過ぎないことを意識しました。

ーーむしろ優しい雰囲気を感じられるところがそらさんらしいですね。

ときのそら:そう言ってもらえると嬉しいです。あくまでもアイドルである私が歌う曲、ということを意識しました。

ーーそらさんの場合、1stアルバムに入っていたオリジナル曲の「コトバカゼ」や「未練レコード」辺りから、しっとりした曲や切ない曲にも表現の幅が広がっていったようにも感じるのですが、この曲もそういう表現の深みが感じられるカバーになっていると思いました。

ときのそら:私の場合、最初の頃は「アイドルはこう歌うべき」という気持ちが、自分の中に今より強くあったんじゃないかと思います。当時は自分の中でちょっとでもアイドルっぽくないと思う表現は、意識的にしないようにしていました。でも、そらともさんから「そういう表現も好きだよ」と言ってもらったおかげで、「こういうものも受け入れてもらえるんだ。だったらやってみよう!」って思えるようになったので、徐々に表現できることが増えていって、「ザ・アイドル」という歌い方以外にも挑戦したいと思うようになった感覚です。なので、本当にそらともさんのおかげです。あと、皆さん「えっ」と思うかもしれないですけど、今回すごく歌いやすかったのは、「ロマンスの神様」(広瀬香美)でした。

ーー本来はめちゃくちゃ難しい曲だと思うんですが、そらさんは高いキーの楽曲が本当に得意なんですね。

ときのそら:特にサビのテンションの上がり方が好きで、楽しく歌えましたし、ライブで歌っても楽しいだろうなと思っています。私は小さい頃、家族でスキーに行くのが定番で、この曲はスキー場に行くといつも流れている冬の思い出の曲なので、広瀬さん本人にSNSで反応していただけたときは、「小さい頃の私に教えてあげたい!」と思いました(笑)。

ーー逆に歌ってみて苦戦したのはどの曲でしょうか?

ときのそら:「God knows…」(『涼宮ハルヒの憂鬱』劇中歌)ですね。私の声は裏返りやすくて、曲によっては歌っていて少し苦しくなってしまうんですけど、「God knows…」はそういう箇所が多い曲でした。この曲は今回の最初のレコーディング曲でもあったので、改めて「カバー曲をどう表現していくか」について考えた曲でもありました。

ーー「God knows…」の曲自体との思い出は何かありますか?

ときのそら:曲はもちろん知っていましたけど、『涼宮ハルヒの憂鬱』はあまり通っていなくて、曲としても、これまでそんなに歌ってこなかった曲でした。でも、応援してくれる人たちにとってはすごく思い出深い曲でもあって、歌枠で練習するために歌ったのが私の一番の思い出です。みんなが好きな曲を歌ってみたいと思って、そらともさんに「どういう曲が好きなの?」と聞いたら、みんなが挙げてくれて歌い始めた曲なんですよ。

ーーなるほど。そういう曲が今回のアルバムに入っているのはとてもいい話ですね。

ときのそら:今回の収録曲だと、「KING」(Kanaria)も同じような理由で歌い始めた曲でした。私が「KING」の「歌ってみた」を上げたのは曲が出てから結構経った頃だったんですけど、もともと、この曲のかっこいい雰囲気が私には合わないかなと思っていたところで、みんなが「そらちゃんの『KING』も聴きたい!」と言ってくれたので出した、という経緯がありました。そんなふうに「みんなが聴きたい」と言ってくれた曲が何曲か入っているのも、今回のアルバムのすごくいいところだなと思っています。

【KING】かっこよく歌ってみた(cover)【ときのそら】

ーー他の曲だと、4周年記念のミニライブでもカバーしていた「アンドロイドガール」(DECO*27)はどうでしょう?

ときのそら:DECO*27さんの曲はどの曲も大好きなんですけど、「アンドロイドガール」はすごく難しい曲ですし、「歌ってみた」で出そうとは思っていない曲でした。でも、今回の選曲のときに「DECO*27さんの曲が好きです」と伝えたところ、この曲に決まりました。ちなみに、あのミニライブの時点で、実はすでに今回のアルバムで歌うことは決まっていたんです。あとでアルバムが出たときに、「だからあのとき歌っていたんだ!」と気づいてくれたらいいなと思って、ライブにもこっそり入れておきました(笑)。

ーーこの曲は〈君だけは許さない〉の部分を、原曲とは違って感情たっぷりに歌っているところが印象的でした。

ときのそら:私はCDになる楽曲でもライブを意識して歌うような感覚があって。〈許さない〉は強い言葉だと思うので、あの部分で感情が上がっていった方が、聴いている人も「うおおー!」って盛り上がってくれるだろうな、と思ったんです。

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