新しい地図の3人はいつも変わらずに“ラジオ”にいる 声と耳で繋がる欠かせない場所に
稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾とラジオの関係性は、とても興味深い。3人が出演した11月7日の『7.2 新しい別の窓』(ABEMA、以下『ななにー』)#44では、ラジオ特集が組まれたが、改めて彼らにとってラジオという場所がいかに欠かせない場所であるかが伝わってきた。
2017年よりSNSをスタートさせ、インターネットという世界で新しい地図を広げていった3人。当初は「ユーチューバー草なぎ」という言葉に強烈な違和感があったことを、今ではとても懐かしく感じられる。それまでテレビをメインに活躍してきた彼らだからこそ、そのステージが変わるということは大きな衝撃でもあった。
一方で、全く変わらない場所として残ったのがラジオの世界だった。稲垣がパーソナリティを務める『編集長 稲垣吾郎』(文化放送)と、草なぎ&香取による『ShinTsuyo POWER SPLASH』(bayfm)は前身番組を含め、いずれもSMAPとして活動した1990年代から続いている長寿番組だ。
特に『ShinTsuyo POWER SPLASH』は放送開始から26年、ほとんどその内容も変化していない。かつて放送作家を務めていたリリー・フランキーが発案した“どうでもいい話“のコーナーも現役であり、「まだやってるの!?」とリリー・フランキーを驚かせたこともあったほど。さらに『ななにー』が始まってからは、番組の様子をそのまま生放送するというイレギュラーな対応も大きな話題となった。
よくテレビ業界では“出演番組の裏かぶりはご法度”という話も耳にするが、そんな暗黙のルールさえも飛び越えてしまう配慮に、彼らの活躍を応援したいというラジオ局側の想いを感じる。これには、『ななにー』#44でゲスト出演した、住吉美紀ら長年ラジオ界で番組を持つパーソナリティ陣も驚きの表情を浮かべていた。
なぜ、これほど彼らとラジオの関係性は強いのか。もちろんテレビにおいても様々な長寿番組を作ってきた彼らのこと。多くの視聴者から愛される番組作りというスキル面では、メディアの形式を問わず申し分ないことは大前提として、だ。
そのヒントとなりそうな話が、稲垣が2019年から生放送をスタートさせた帯番組『THE TRAD』(TOKYO FM)で共演している吉田明世の口から語られた。それは稲垣が本番前に吉田がつまんでいたポテトチップスを、一緒に食べるというエピソード。また、ラジオブースではスタッフとの談笑を楽しむ姿もよく見かけられるのだというのだ。
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— ABEMA(アベマ) (@ABEMA) November 14, 2021
これには、長年テレビ番組などを共にしてきた香取も目を見開いてリアクションしてみせる。テレビの現場では、スタッフたちの進行の段取りなどにイラチ(すぐイライラしてしまうキャラ)になるのだと暴露されがちな稲垣が、ラジオの現場では実に朗らかだという衝撃の事実。『ななにー』スタッフへのそれとは全く違う、と笑いを誘った。
その理由について、稲垣は大勢の中で表面的に絡むバラエティ番組よりも、ゲストや共演者とじっくり時間をかけて番組を作っていくスタイルが好きなのだと自己分析。確かに、『ななにー』においても映画監督や作家をゲストに招いて対談する『インテリゴロウ』のコーナーを最も楽しんでいるように見える。
そうした面では、草なぎ&香取の『ShinTsuyo POWER SPLASH』も基本的にはスタッフが1人いる程度のごく少人数で作られているという裏話ともつながってくる。27年もの間、ゲストもほとんど呼ばず、基本的には草なぎ&香取の2人が、まるでお茶をしているかのようにリスナーから届く手紙について話していくというテンション。ある意味、その“閉ざされた空間”こそがファンにとってはかけがえのない時間に感じられるのではないだろう。