V6、14枚目のラストアルバムがチャート首位に 挑戦的な楽曲群で描き出したワン&オンリーな姿勢

 1曲目「雨」とアルバムを締め括る「家族」をKOHHが書いたこと(どちらも名曲!)が本作最大のトピックですが、他にも興味深いミュージシャンが並んでいます。ゴスペル風コーラスから始まるソウルナンバー「Sweet Days」はKeishi Tanakaの手によるものだし、どこかユーモラスなシティポップ「素敵な夜」は堀込高樹(KIRINJI)が作詞作曲。また、どんなジャンルで括ればいいのか不明ながら、ふにゃふにゃと溶けていく「分からないだらけ」は小原綾斗(Tempalay)が手がけた楽曲です。

 これらがもう作家のオリジナリティ溢れすぎというか、親しみやすい要素を入れて作りました的な雰囲気がゼロ。おそらく「サビはみんなで唱和できるように」とか「アップテンポで元気になるものを」なんて条件もなかったのだと想像できます。ただ自分らしい曲を真剣に書き、たまたま歌ってくれる人がいるから、「あ、どうぞどうぞ」と話が進んだ後になって「え、V6だったの?」と驚いた作曲者もいるのでは……そんな妄想さえ浮かんでしまいます。

 逆に、「V6のためのV6らしい曲を」との条件で話が進んだとしたら、『STEP』はこんなにも面白くなったでしょうか。明らかに、否、だと思います。そもそも「V6らしい曲」って何かといえば……一般的に考えれば「WAになっておどろう」とか、それこそ『ティガ』主題歌だった「TAKE ME HIGHER」とか、若くて元気な時代のナンバーが中心になってくると思います。それらを再生産したものが現在の彼らの餞として相応しいわけがないほど、6人は長い時間をかけて王道のアイドル像から徐々に遠ざかり、それぞれの場所に自分らしさを見出していったのですから。

 要するに、平成の申し子としてスタートしたV6は、「歌って踊る」王道スタイルから離れれば離れるほどワン&オンリーになっていった開拓者だったのだなと思います。26年間、楽しませてもらいました。ありがとう。

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