劇場版『BanG Dream! FILM LIVE 2nd Stage』前代未聞の5.1chサウンド実現に至る道 都田和志×飯田里樹、音響スタッフ対談

『バンドリ!』音響スタッフ インタビュー

音響陣も舌を巻く、声優キャスト陣のパフォーマンス力

ーー改めてリアルバンド4組(Poppin’Party、Roselia、RAISE A SUILEN、Morfonica)について、おふたりがそれぞれ思う魅力や個性についても教えてください。

都田: RASは音楽家チームというのもあってか、音圧から何から全然違うんですよね。音圧のレンジ的にスピーカーが再現するところが、1~5キロヘルツという人間の声とギターのちょっと下のポジションあたりだったりするんですけど、そこにRaychellさん(Ba.&Vo. レイヤ役)が当てて歌っているんですよ。そこを中心にみんながバランスを取っているところがあるから、わりと音域を考えたライブというか。そこに対して、夏芽さん(Dr. マスキング役)はドラムの皮の張り方、ポジションだったりいろいろ考えられているなと。そこがやっぱり上手ですよね。

飯田:声優さんが演奏するアニメってほかにもあると思うんですけど、アーティストさんが声優をやるアニメってほかにないんですよね。あったとしても、ボーカルの方が声優に挑戦するくらいで、ドラムの方が声優をやるのは『バンドリ!』以外考えられない。Raychellさんや夏芽さん、mikaさん(Dr. 二葉つくし役)、Ayasa(Vn. 八潮瑠唯役)さんは声優業を生業としているわけではないので、緊張して現場に来られていると思うんですけど、『バンドリ!』という作品に参加する以上声優業もちゃんとやろうみたいな感じで、ものすごくレッスンを積んで現場に来てくださる、その熱意がありがたいです。

都田:Poppin'Partyがすごいなと思うのは、愛美さんが戸山香澄の声になり切って全曲歌うこと。普通キャラクターの声って自分の地声ではないわけで、愛美さの本当の歌のスタイルというのもキャラ声とはちょっと違う。あの声質をずっと保ってピークになる声を作りながら、ギターを弾いているというのが実はものすごく負担なはずなんです。それをずっと続けているのは、本当にすごいことですよ。

飯田:ポピパさんは『バンドリ!』の看板を背負っている存在で、とにかく愛美さんが楽しそうなのが印象的です。作画資料用に、愛美さんが実際にギターを弾いて歌っている姿を撮影して、手元の動きを参考にしているんですけど、とにかく楽しそうにやってくれて、本当に作品を愛して作ってくださっているのが伝わってきます。5人とも「私たちが座長」みたいな気持ちでやっていてくれて、アフレコ中も「実際のライブでは、もっとこうしているんです」といろんなアイデアを出してくれるので、ただ演じているというよりは一緒に作ってくれているというか。私はアニメ2nd Seasonからの参加なので、皆さんからいろいろ教わることも多いですね。

都田:Roseliaはまずはとにかく、相羽あいなさん(Vo. 湊友希那役)の声。曲のピッチもすごく高いのに、よくあれで10何曲歌えるなと。しかも声が太くて強くて硬いので、どうやってもあのボーカルが抜けてくる。だから、聴いていて何を歌っているのかが一番伝わるし、そういう熱が伝わる歌い方を通して「湊友希那はこうだよね、Roseliaって最強だよね」という思いを伝えているんでしょうね。

飯田:今回はライブの音源を使っているので、本当に野に放たれた相羽さんが表れていると思います(笑)。アンコールの曲も、本当にAfterglowに喧嘩を売っているような感じで歌っていますし。あの振り付けは相羽さんが考えてくださったんですけど、ものすごいポテンシャルだなと思います。

都田:Morfonicaはとにかく変わった存在で、バイオリンがリードして、そこに進藤あまねさん(Vo. 倉田ましろ役)のあどけなさ、繊細さをまとったボーカルが乗る。かつ、ドラミングも正確なので、全体的にレベルが高いなと思います。

飯田:Morfonicaはテレビアニメシリーズには登場していないので、MV以来のアニメ登場となります。作中でも後輩バンドみたいな位置付けになっているので、キャラは控えめなんですけど、演奏が始まったらドカンと存在感が増すのには驚かされました。映画が完成したとき、良い意味で一番ギャップを感じたのは間違いなくMorfonicaですね。

ーー作品的にも今回のフィルムライブは『バンドリ!』プロジェクトとしての集大成感が強い仕上がりですが、この先『バンドリ!』プロジェクトに対して望むことはありますか?

都田:『バンドリ!』って基本的に、まず最初に木谷さんのアイデアがあって、そこに僕らが「じゃあこうしたほうがいいんじゃない? こっちのほうが面白いよね?」と色を付けていくことがすごく面白いんです。なので、このフィルムライブを皆さんにたくさん観に来てもらって、皆さんの反応によって木谷さんが次に何を言うんだろうという、ドMみたいな話ですけど(笑)、そのワクワク感というのが嘘でもなんでもなく楽しみになっているところがありますよね。だから、同じクリエイターとしてもやりがいがあるんです。

飯田:私がアニメ2nd Seasonから呼ばれたときに「キャラクターも全部3DCGでやります」と言われて、まず驚いたんですよ。ロボットに乗って戦う作品でキャラクターも3DCGで作るというのはわかるんですけど、可愛い女の子たちをまず3DCGで作るというのは当時は非常にチャレンジングなことだったので。その頃はまだ、手で描いたほうが可愛いし、3DCGだと人形みたいになってしまうといわれていた時代だったのに、そこに果敢に挑んでいった。私が呼ばれたときから『バンドリ!』はすでにチャレンジングなことばかりで、アニメ第2期が終わると今度はアニメ3rd Season、アニメ3rd Seasonが終わると今度は映画やフィルムライブと、私が考えるまでもなく、想像もしないような“次”がやってくるんです。そのアイデアたるや本当にすごいものばかりなので、それをどう具現化してお客さんに楽しんでもらえるようなコンテンツを作るかが我々の仕事。私がプロジェクトに期待すると言うよりはそれを遥かに超えたオーダーがプロジェクトからやってくるので、こっちがついていかなきゃという気持ちでこれからも臨んでいきたいと思います。

■公開情報
『BanG Dream! FILM LIVE 2nd Stage』
(読み:バンドリ! フィルムライブ セカンドステージ)
公開日:2021年8月20日(金)
上映時間:本編84分
レーティング:G
製作:2021年
配給:ブシロード

監督:梅津朋美(エディッツ)
脚本:柿本広大

キャスト(声の出演):
愛美
佐倉綾音
前島亜美
相羽あいな
伊藤美来
進藤あまね
Raychell
ほか

アニメーション制作:サンジゲン

メインスタッフ
原作:ブシロード
製作総指揮:木谷高明
企画プロデューサー:松浦裕暁
ストーリー原案:中村 航
監督:梅津朋美(エディッツ)
脚本:柿本広大
キャラクター原案:ひと和、Craft Egg
アニメーションキャラクターデザイン:植田和幸
サブキャラクターデザイン:八森優香
CGスーパーバイザー:森田紘吏
CGディレクター:林 謙吾
モデリングディレクター:岩市 渉、原岡大輔、長谷井麻衣、山田多樹、武内泰久、榊原大成
リギングディレクター:柏木 亨、矢代奈津子、山下瑠里
色彩設計:北川順子
撮影監督:井上麻梨
美術監督:牧野裕樹(KUSANAGI)
美術設定:真村 躍
音響監督:飯田里樹
音楽プロデューサー:上松範康(Elements Garden)、藤田淳平(Elements Garden)
アニメーション制作:サンジゲン
製作:BanG Dream! FILM LIVE Project
配給:ブシロード

キャッチ:最高の音楽(ルビ:ユメ)の、その先へ!

あらすじ:バンドリ!劇場ライブアニメーション「BanG Dream! FILM LIVE 2nd Stage」開催決定!「Poppin’Party」「Afterglow」「Pastel*Palettes」「Roselia」「ハロー、ハッピーワールド!」のおなじみのバンドメンバーに加えて幻想的な世界を奏でる「Morfonica」
最強を掲げるロックバンド「RAISE A SUILEN」も出演決定!7つのバンドが目指す、「2nd Stage(ルビ:次のステージ)」は……?
©BDP ©BDFLP

『BanG Dream! FILM LIVE 2nd Stage』公式サイト

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