RAISE A SUILEN、個々の演奏が生み出す圧倒的な爆発力 初の東名阪ツアー初日を振り返る

RAISE A SUILENが生み出す圧倒的な爆発力

 RAISE A SUILEN(通称:RAS)が全国ツアー『RAISE A SUILEN ZEPP TOUR 2021「BE LIGHT」』を5月22日、Zepp Hanedaからスタートさせた。昨年8月に初のアルバム『ERA』を発表して以降も『Sacred world』(2020年10月)、『mind of Prominence』(2021年1月)、『EXIST』(同年4月)とシングルを連発し続けるRASが、初めて臨む今回のツアー。初日の東京公演を皮切りに、6月2日にZepp Nagoya、30日にZepp Nambaと東名阪3都市の各Zepp会場で熱いパフォーマンスを繰り広げることになる。これまでの単独ライブは次世代ガールズバンドプロジェクト『BanG Dream!(バンドリ!)』に関連した、大会場での公演が多かったこともあり、今回のような規模感でのワンマンライブはバンドリーマー(※バンドリ!ファンの略称)にとって非常に貴重な機会と言えるだろう。

 この日のライブもこれまで同様、アンコールなしのぶっ続け90分という攻めのスタイルだった。会場が暗転すると、紡木吏佐(DJ/チュチュ役)がDJセットのスクラッチでオーディエンスを煽り、会場の熱気が一気にヒートアップ。この日は歓声が出せない、一緒に歌えないという制限があったものの、バンドリーマーは手にしたペンライトを高く掲げて自信の感情をダイレクトに表していく。そのまま「EXPOSE ‘Burn out!!!’」からライブがスタートすると同時に、RASのメンバーが奏でるバンドサウンドの音圧にまず圧倒される。夏芽(Dr./マスキング役)が叩き出すヘヴィでグルーヴィーなリズムの上に、倉知玲鳳(Key./パレオ役)の煌びやかなキーボードの音色と、小原莉子(Gt./ロック役)による変幻自在なギターサウンドが乗り、Raychell(Ba.&Vo./レイヤ役)のソウルフルで力強い歌声と、紡木による華麗なDJプレイと不敵さが伝わるボーカルがさらに重なることで唯一無二の“RASらしさ”が構築されていく。この奇跡の瞬間を過去、何度もライブ会場で体感してきたが、コロナ禍以降久しぶりに生で観たRASのパフォーマンスもコロナ禍以前とはまったく変わりなく、いや、むしろ歌えないバンドリーマーの思いを背負うことでより強靭なものになっているようにも感じられた。

 Raychellが艶やかなフェイクで場内の空気を掌握すると、「こんばんは、RAISE A SUILENです!」と挨拶。以降も「Invincible Fighter」「HELL! or HELL?」と、ライブに欠かせない楽曲群を連発していく。特に後者では紡木の魅力が遺憾なく発揮され、DJセットの上に立って煽り続けるなど終始攻めの姿勢で観る者を惹きつけ続けた。また、「UNSTOPPABLE」では冒頭のパートを倉知のピアノ&Raychelのボーカルのみのバラード風アレンジに変更し、ライブならではの味付けでオーディエンスを夢中にさせる。この曲では中盤、倉知の背面キーボード演奏も飛び出すなど、その音のみならず視覚面でも観客を楽しませ続けた。そして、7弦ギター&5弦ベースの重低音が強調された「SOUL SOLDIER」ではその荒々しいサウンド同様に、ステージ上の5人の動きもさらにワイルドさを増していく。ここまでの5曲で、筆者はその絶対的な演奏力の高さとエンターテイナーとしての表現力の高さに完全にヤラれ、息をするのも忘れる瞬間も多々あったほどだった。

 5曲終えたところで紡木によるDJタイムを挟み、少しだけ心に余裕を持つことができるようになったが、続く「A DECLARATION OF ×××」でRASの攻撃が再開。先にも書いたように、各メンバーの技量やパフォーマンス力に目を奪われ続け、途中何度もレポートのメモを取ることを忘れるほどだった。RASのライブは何度も観ているはずなのに、毎回このような状態に陥ってしまうのは、それほど1人ひとりの存在感が強いことの表れなのだろう。正直、体が5つあったらメンバー5人のパフォーマンスをそれぞれじっくり観察できるのに……なんて思ってしまうほど、演奏が始まったら息をするのも惜しいぐらい、一瞬たりとも5人から目が離せないのだから。

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