浅香唯が歩んできた“アイドルの道” 30年以上のキャリアを支え続けるファンとの絆

浅香唯が歩んできた“アイドル道”

 浅香唯が、昨年12月4日に開催したデビュー35周年&誕生日当日のライブ映像を収録した『YUI ASAKA LIVE 2020〜Happy Birthday 35th Anniversary』をリリースした。本作には、代表曲である「C-Girl」、「セシル」、「TRUE LOVE」などヒットシングル12曲、ファンクラブ限定配信曲「夏少女」(デビューシングル)、「ありがとう(30周年記念曲)の2曲を含む全17曲が収録されている。6月21日にデビュー36周年目に突入した浅香唯。デビューから今日に至るまで、紆余曲折を経ながらもファンと共に歩んできた”アイドル活動”について話を聞いた。(編集部)

ファンの人たちとの関係を、途切れさせたくない

――今回発売されるアイテムは、ライブ映像作品としては、なんと33年ぶりのリリースになるとか。

浅香:そうみたいです(笑)。

――ただ、ライブのほうは、12月の誕生日付近に毎年やられていて。

浅香:そうですね。特に去年は、デビュー35周年にあたる年だったので、ライブ以外にもいろいろ新しいことに挑戦したいなっと思っていて、RIZAPさんのテレビCMにも出演させていただいたりしました(笑)。

――あれは驚きました(笑)。去年の8月頃でしたか。

浅香:オンエアは、それぐらいでしたね。 昔だったら、きっとやってなかったと思うんですけど、歳を重ねてきて、それまでやってこなかったことでも、思い切って飛び込んでみたら、今の自分らしくできるんじゃないかと思い、それと同じぐらいの時期から、Instagramをやり始めたり、今年に入ってからは、YouTubeチャンネルのほうでもいろいろやり始めました。

――そう、今回パッケージ化されるライブも、無観客配信ライブだったんですよね。

浅香:はい。まったく初めてのことだったので、いろいろ大変でした。やっぱり「コロナ禍」という、思いもしないような状況になってしまって、最初の頃は「すぐに収まるのかな?」ぐらいの軽い感じで考えていたのですが、まさか12月に予定していたライブが通常通りに開催できなくなるなんて思いもしなかったです。それでもやっぱりファンの人たちと一緒に何かやりたいと思い、無観客配信ライブをしましたが、私はそれまでSNSでの発信も一切やってなくて、自分のホームページのメッセージコーナーも、年に2回ぐらいしか更新してなかったくらいなので、ファンの人たちは、一体何があったんだっていう感じだったと思います(笑)。

――(笑)。

浅香:ただやっぱり、世の中がこういう状況になってしまってから、ファンの人たちと直接お会いできるイベントも全部なくなってしまい、ファンの人たちとの「心の距離」みたいなものが、どんどん広がっていくような感じがあり、インスタをやり始めたり、勝手がわからないながらも、無観客の配信ライブをやらせていただきました。

浅香唯「YUI ASAKA LIVE 2020〜Happy Birthday 35th Anniversary」トレーラー映像

――ファンの人たちとの関係を、途切れさせたくないというのが、まずあったわけですね

浅香:はい。毎年12月のバースデーライブは、ファンの人たちと一緒に楽しむためにやってきたことだったので、私が何か新曲を出したり、新しいアルバムを出したりしていたら、またちょっと意味合いが変わってくると思うんですけど、基本的にはファンの人たちと楽しむためのものなんですよね。だからライブで歌う曲も、80年代の楽曲を中心にして、アレンジもほぼ変えることなく、オリジナルに近い状態でやるということにこだわってます。それはもちろん、年に一回だからというのもあるんですけど、80年代のあの「熱」みたいなものを、時を超えて会場で再現できたらいいなと思ってます。

――なるほど。

浅香:もちろん、その「熱」みたいなものは、当時を知っている人じゃないとわからないことで、それを知らない人たちからすれば、50にもなって一体何をやっているんだって、ちょっと戸惑うところがあるかもしれないですけど、そうじゃない空間というか、そうやって誰からも否定されない空間を、ライブ会場だったら作れるんじゃないかなって思っていて・・。だから、「ここで起こった出来事は、みんな内緒ね」ぐらいのつもりで、いつもやっているんですよね。ときにはコスプレを披露してみたりして(笑)。その場に集まってくれるみんなが喜んでくれるなら、もう何でもやるよっていう。そういう感じなんですよ

――そこで手応えを感じたり、やりがいを感じたりしているからこそ、毎年続けているんでしょうね。

浅香:そうですね。やっぱり、根底にあるものは、ずっと変わっていないんです。私の歌を聴くために集まってくれる人たちが、心を揺さぶられて、何か迷いのようなものが吹っ切れて、元気になってくれることにライブをやる意味があると思っているので。そこは、デビューした頃から、ずっと変わってないんですよね。

――ここからは、当時のことを振り返って、いろいろ聞かせてください。浅香さんは、1985年にシングル『夏少女』でデビューされたわけですが、最初の数曲は、なかなか思うような結果が出なくて……。

浅香:そうですね。ただ、もともとアイドルになりたいとか、歌手になりたいとか、そういう夢を抱いていたわけではなかったので、「売れなきゃ!」みたいな意識は、当時まったくなくて。とは言え、私は親の大反対を押し切って、中学卒業と同時に宮崎から東京に出てきてしまったので、そうそう帰れないなっていうのはわかっていたんですよね。なので、そこですぐにあきらめるわけにはいかないなとは思っていました。でもまあ、若かったし、それもひとつの冒険かなっていう。二十歳までは、少しぐらい冒険しても、そこから人生長いし、いいかなっと(笑)。それぐらいのつもりで、アイドルをやっていたんですよね。

――翌年1986年にドラマ『スケバン刑事Ⅲ 少女忍法帖』(フジテレビ系)の主役に抜擢されて、そこから大きく状況が変わっていきました。

浅香:はい。私のことを知っていただく大きなきっかけにはなった作品です。当時を知らない人たちに、どんなドラマか説明しようとすると、なかなか難しいところがあるんですけど。セーラー服を着たスケバン役で、ヨーヨーを武器にして戦うって言われても、ピンとこないでしょっていう(笑)。

――(笑)。でも当時は、本当にすごい人気番組でした。その後、1987年にリリースした8枚目のシングル『虹のDreamer』で、初のオリコン1位を獲得。トップアイドルの道を歩み始めます。そのあたりから、やはり意識も変わっていったのでしょうか?

浅香:『スケバン刑事』をやってからは責任みたいなものを、すごく感じるようになりましたね。ただ、そのあたりの時期からは、もうとにかく忙しくて。当時のアイドルの人はみんなそうだったと思うんですけど、毎日分刻みでスケジュールが入っていて、ほとんど寝る時間もないほどでした。まあ、それも若さで乗り切った感じですかね。私もまだ10代だったので。

――歌に芝居に大活躍でしたが、どの仕事をしているときに、いちばん充実感ややりがいを感じていたのでしょう?

浅香:当時は、そんな充実感を感じる余裕もなかっと思います(笑)。その頃は、自分が出たテレビ番組もいっさい観ることがなかったですし、自分がどういう状況になっているのかも、あんまりわかっていませんでした。それこそ、全国ツアーをやらせてもらっても、自分が今どこにいるのかよくわからないときがあったりして(笑)。パッと連れていかれて、リハーサルをやって本番をやって、すぐ帰ってくるみたいなことは結構ありました。ただ、いろんなお仕事をさせていただきつつも、ベースは歌でずっとやらせてもらっていたので、やっぱり、いちばん幸せを感じていたのは、ステージの上だったと思います。

――そうやって日々忙しく過ごされている中、ファンが求める自分と本当の自分のあいだで悩んだりすることはなかったのですか?

浅香:うーん、私はそこまで自分からかけ離れたキャラクターではなかったので、手探りで活動する中での迷いみたいなものはありましたけど、基本的には特に抵抗みたいなものはなかったですね。ただ、「いつまでアイドルができるんだろう?」っというのは、やっぱり徐々に考え始めますよね。毎日、本当に忙しすぎて、そもそも自分を客観的に見ることができないところもあったので。物事を落ち着いて考える時間がないって、結構しんどいんですよ。

――そうですよね。

浅香:それがずっと続いていく中で、「あ、このまま走り続けたら、いつか動けなくなってしまう」って思ったときがあったんです。このままだったら、自分がどういうふうに生きていけばいいかとか、その道を見失う可能性もあるなっと。それで一回、これはちょっと休んだほうがいいのかなって思うようになりました。

――1993年に一度、事務所もレコード会社も離れて、完全休業に入られました。

浅香:そうですね。ちょっと一回、お休みをもらおうと思ったときに、そのまま事務所に在籍してとか、レコード会社にも在籍して……それこそ、当時やっていたレギュラー番組をやり続けながらという話もあったんですけど、それだと絶対中途半端になると思って、一度まっさらな状態、ゼロの状態にならないと、リセットできないと思ったんです。それで一回、完全に休業することにしました。

――それは、かなり勇気のいる決断だったというか、場合によっては、もう戻ってこないぐらいの覚悟が……。

浅香:それは、もちろんありました。そのあとどうなるかはわかりませんでしたが、私はグレーがあんまり好きじゃなくて、白か黒か、どっちかはっきりさせるところが性格的にもあるんですよね(笑)。それで、きちんとリセットするために全部やめることにしました。

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる