オリコンチャート上位に並んだ松任谷由実&中島みゆき 稀代のシンガーが2020年に放つ「生きる」というメッセージ

 12月1日に『2020ユーキャン新語・流行語大賞』が発表された。毎年、12月初旬に大賞を含むトップ10が発表されるのだが、2020年の年間大賞は「3密」。他にトップ10にランクインしたのは「アベノマスク」「アマビエ」「GoToキャンペーン」「鬼滅の刃」「あつ森(あつまれ どうぶつの森)」などだが、トップ10のうち5つがコロナ禍をダイレクトに彷彿とさせる言葉となった。

 前述した「あつ森(あつまれ どうぶつの森)」は、Nintendo Switchのゲームソフトで、2020年度のゲーム大賞も受賞し、記録的な大ヒットとなっている。キャラクターがほのぼのしていて見ていて癒されること、画面の中で海や山に出かけられることなど、“時間はあるが籠るしかなかった”この春の巣ごもり需要とリンクし、普段ゲーム機を手にしない層にまで普及したのである。春は新型コロナウイルスに対する情報も少なく、不安ばかりが募っていた中で、まず求められたのが癒しだったのだろう。

 春、夏、秋と経て、そして冬。日々のニュースでは、各地で新型コロナウイルスの感染者数が過去最高を更新している。それでも生きることは続く。何が正しくて、何が間違っているのか。そもそも見えないウイルスに通用する正義なんてないんじゃないかーーその答えは、もう個々の中にしかないのだと思う。

 じゃあ、今、必要なのは何だろう。それは決断する勇気なのではなかろうか。つまり、自分の強い意志だ。情報に流されるのではなく、情報を取捨選択し、個々が自分の行動を決める必要に迫られていると思う。これからの世界を、想像すらできない現実を生き抜いていくためにも。

 そんな決断の背中を押してくれる作品が、12月8日発表のオリコンウィークリーアルバムチャート(12月14日付)にランクインしている。3位の松任谷由実『深海の街』、4位の中島みゆき『ここにいるよ』だ。

松任谷由実 – 深海の街 Album Message Movie~1920
【公式】中島みゆき セレクトアルバム『ここにいるよ』~エール盤~トレーラー動画
【公式】中島みゆき セレクトアルバム『ここにいるよ』~寄り添い盤~トレーラー動画

 両者とも日本を代表する女性シンガーソングライターである。年齢も近く、同世代と言っていいだろう。1970年代半ば以降、自身のオリジナル曲はもちろん、アイドルへの提供曲なども含め、ヒット曲を数多く世に送り出してきた。また、両者とも多くの若手アーティストがカバーをしたり、ラジオパーソナリティとして人気を博すなど、共通点がいくつもあり「どちらがニューミュージック界の女王か」などと比較されることも多かった。

 しかしながら、両者の音楽性は異なっている。ざっくりしたまとめ方になり申し訳ないが、松任谷由実は、軽快なメロディとシティポップの先駆けともいえる洗練されたサウンドが特徴。俯瞰から時代を捉え、巧みにシチュエーションを切り取り、絵画的と称された歌詞も支持された。一方の中島みゆきは、フォークやブルースの流れが感じられるウェットで抒情的なメロディラインが特徴。歌詞のアプローチは時代によって変化が見られるが、後年は万人を圧倒するスケール感ある言葉選びが光っている。

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