ジャニーズショップ原宿の移転が物語る“時代の区切り” SMAPら輝いた90年代より続く聖地の歴史と歩み

 ジャニーズショップ原宿が8月31日をもって閉店し、新たに渋谷に移転オープンすることが発表された。ジャニーズファンの間では通称“ジャニショ”として親しまれた聖地であるジャニーズショップ原宿。今回は移転を機に愛され続けた聖地の歴史を、90年代から現代まで、ジャニーズアイドルたちの歩みも振り返りつつ考察してみたい。

ジャニーズファンの聖地“ジャニーズショップ原宿”誕生

「この行列、いったい何に並んでるんですか? 」

 原宿にあるジャニーズショップの入店待ちの行列に並んだことのある人なら、一般の通行人からこう尋ねれられた経験がある人もいるのではないだろうか。ジャニーズショップ原宿がオープンしたのは1988年。1987年にデビューした光GENJIが国民的アイドルへと駆け上がった華やかな時代である。

 1980年代の芸能界はたのきんトリオのブレイクを発端に、女性も含め一大アイドルブームが巻き起こっていた。時期を同じくして若者の街として注目を集めていた原宿の竹下通りを中心に、松田聖子、松本伊代、浅香唯ら女性アイドルをはじめ、所ジョージやとんねるずなどお笑いも含めた、タレントのオリジナルグッズを扱う“タレントショップ”と呼ばれる店舗が次々とオープンした。多くのファンがお目当てのタレントグッズを購入するために原宿に押し寄せ、マスコミもこぞって取り上げ、雑誌でも特集ページが組まれる人気ぶりだった。

 当初、ジャニーズショップ原宿はデビュー直後から大人気となり社会現象にもなった光GENJIメンバーのイラストが入ったマグカップや文房具など、いわゆる公式グッズを取り扱うのがメインであったように思う。また原宿に続き大阪・福岡・札幌・名古屋に加え、京都の人気観光地で他のタレントショップもあった嵐山にもオープン(札幌・嵐山は後に閉店)。多くのファンが押し寄せファンの聖地となっていった。その後、SMAP、TOKIO、V6、KinKi Kidsなどが続々とデビュー。所属タレントが増えるに従い、一部ツアーグッズも含め、現在のような公式写真をメインに販売するスタイルに移行。

 しかし、ジャニーズショップの長い歴史の中で特にインパクトが強かったのは、お気に入りのジャニーズタレントと2ショットで撮影ができるプリントシール機の存在ではないだろうか。地下にあった機械の前には常に大行列が出来ていたのも懐かしい光景として思い出される。このプリントシールは後に進化し、よりリアルな2ショットを思わせる趣向を凝らしたフレームも出現。デビュー組だけでなく、ジャニーズJr.バージョンも登場し訪れたファンを喜ばせた。

 1996年の大晦日には、阪神・淡路大震災の災害復興チャリティとしてV6が行った『V6 COUNTDOWN '97』を皮切りに、1997年からはTOKIO、V6、KinKi Kidsで結成されたJ-FRIENDSによるカウントダウンコンサートも開催。以後、グループの枠を超えた活動も盛んになり、ジャニーズ人気の勢いは加速していく。そして1999年には嵐がデビュー。2007年に発表した「Love so sweet」のヒットを起点に国民的アイドルとして大ブレイクを果たすと“ジャニーズファン”の母体数も一気に増え、それに伴いジャニーズショップに訪れるファンの数も急増した。CDリリース直後やライブ前に“新写真”と呼ばれる新作が発売されると、いち早く手にしたいというファンが押し寄せ、大いに賑わった。

 混雑を避けるため、早朝から入店時間を区切った整理券が配布されることも珍しくなかったジャニーズショップ。大混雑の店内でなんとかお目当てのタレントの写真が掲示されているエリアにたどり着くと、申込用紙にて欲しい写真の番号をチェック、再びレジの大行列に並ぶというのが恒例であった。苦労した末にやっと手に入れた“推し”の写真は、ファンにとって何物にも代えがたい宝物なのである。

“ジャニショ”にまつわるファンそれぞれの思い出が話題に

 ジャニーズショップ原宿の移転が発表されると、SNSには「#ジャニショ」を付けてファンたちが思い出を投稿。「並んだ時に知り合った人が今では大事なオタ友」「お年玉とお小遣いを握りしめて上京した」「修学旅行の自由行動で初めて行った」「嵐のライブで上京した際に、5時間も並んだのもいい思い出」など、懐かしさを噛みしめるような投稿が溢れた。ジャニーズショップ原宿は表参道や竹下通りといったメインの通りから少し入った裏路地にあるため、「中学生で、初めての原宿で迷ってしまい、やっとたどり着いた」「東京に出張した父が、並んでお土産に写真を買ってきてくれた」「ジャニショで写真を買ってプリクラを撮ったのがJK時代の思い出」など、アオハルな思い出の投稿も目立っていた。

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