ジャニーズ、相次ぐ脱退・退所から見えた多様な選択肢 各世代の動きから考える
この3月から4月にかけて、TOKIO・長瀬智也のグループ脱退と事務所退所、King & Prince・岩橋玄樹のグループ脱退と事務所退所、さらにHey! Say! JUMP・岡本圭人のグループ脱退と、ジャニーズに大きな動きが相次いだ。
ひとつ気づくのは、この3人の所属グループが世代的に異なることだ。CDデビューした年で言うと、TOKIOが1994年、Hey! Say! JUMPが2007年、そしてKing & Princeが2018年。それぞれ1990年代、2000年代、2010年代デビューで、きれいに分かれる。当然、同じジャニーズで置かれた立場も違ってくるだろう。ここではその点を念頭に置いて、一連のニュースからなにが見えてくるのか、少し考えてみたい。
昨年7月に、今年3月末をもってのTOKIO脱退とジャニーズ事務所退所を発表していた長瀬智也。『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ系)、『TOKIOカケル』(フジテレビ系)といったレギュラー番組への最後の出演では、ユーモアあふれるなかにメンバーとの心のこもった場面が繰り広げられた。また、多くの名作でタッグを組んできた脚本家・宮藤官九郎との最後のドラマ『俺の家の話』(TBS系)では、長瀬本人のことを念頭に置いたと思える感動的な結末が用意されていた。それらからは、長瀬智也がいかに愛される存在であったかが、ひしひしと伝わってきた。
一方で、近年TOKIOも含めたジャニーズの1990年代CDデビュー組は、大きな転機を迎えている。SMAPは解散、嵐は活動休止中、そして先日V6が今年11月1日付で解散することが発表された。
そこには、彼らが30代から40代という年齢に差し掛かったことも関係しているだろう。多くの経験を積むなかで、個人としての新たな目標が出てきたとしても不思議ではない年齢だ。実際、V6の森田剛なども、解散後はジャニーズ事務所を離れ、俳優の道を進むとされている。
ただ長瀬智也の場合、演者として活動を続けるのではなく、ジャニー喜多川の教えを大切にしつつ、「裏方としてゼロから新しい仕事の形を創り上げる」としている点が新しい。その意味では、これまであまり前例にない退所後の姿を見せてくれるのではないかという期待感も大きい。
岡本圭人は、4月11日のライブ生配信への一部出演をもってHey! Say! JUMPを脱退し、ジャニーズ事務所に所属しながら俳優業に専念することとなった。彼は2018年9月から2年間アメリカの演劇学校に留学していたが、そこで「世界で活躍する夢に向かっている」人たちとともに過ごすなかで、「自分の人生について考える時間が多くなった」という。
グループの一員として出発し、そこから俳優になるという流れは、現在もジャニーズ事務所に所属する父親の岡本健一と同じである。また、最近のジャニーズにおいて、風間俊介や生田斗真といったいわゆる「俳優組」がぐんと存在感を増していることも大きいのではないだろうか。言い換えれば、必ずしもグループの一員や歌手という形でなくとも活躍できるお手本が、身近にいる時代になった。それは、20代の岡本圭人のような比較的若い世代のジャニーズにとって、活動の選択肢を広げるものだろう。
また加えて彼は、演劇学校への留学以前に小学4年生から5年間イギリスに単身留学するなど海外志向が強く、英語も堪能だ。その能力を活かした俳優としてのグローバルな活動も、視野に入っているのかもしれない。