アイナ・ジ・エンドを救ったBUMP OF CHICKENの言葉 岡村靖幸、ジェシー・J……ルーツにある音楽を語る

アイナ、ルーツにある音楽を語る

今一番聴いてるのはレディオヘッド『In Rainbows』

ーーシンガーとして影響を受けたという自覚がある人は、誰か他にいるんですか?

アイナ:ジェシー・Jの声には憧れたかもしれないです。最近の曲も、アリアナ・グランデやニッキー・ミナージュと一緒にやった曲(「Bang Bang」)とか大好きですけど、高校1年の時に初めて「Who You Are」を聴いた時に、「こういうボーカル、かっこいいな」って思って、その気持ちは今も変わりませんね。

ーーああ、でも、言われてみれば確かにちょっと歌い方に近い部分があるかもしれない。ダンスミュージックから入って、BUMPでバンドミュージックに目覚めて、そこからバンドミュージックに入れ込むようになったわけじゃなくて、ずっと並行して海外の音楽も聴いてきたんですね。

アイナ:そうです。ダンスもずっとやってたし、このプレイリストでいうと、ビョーク(「Crystalline」)もデミ・ロヴァート(「Skyscraper」)も、高校時代にチームでダンスをやってる時に、PCで曲をいろいろ漁りまくって、自分たちが踊りたい曲を探して中で見つけた曲ですね。あ、レディオヘッド(「Last Flowers」)もその時に知ったんですよね。

ーーえ? でも、レディオヘッドでダンスをしたわけじゃないですよね?

アイナ:してましたしてました。トム・ヨークの顔の真似とかしながら。

ーーすごそうなダンスですね(笑)。

アイナ:今一番聴いてるのもレディオヘッドですね。アナログレコードに凝ってて、『In Rainbows』を買って、よく踊りながら聴いてますね。

ーーレディオヘッドもダンスミュージックなんだ。面白い。そういえば、アルバムのレコーディング中とかに、プロデューサーの亀田さんから、参考にこれ聴いてみてとか、そういうことはなかったんですか?

アイナ:なかったです。亀田さんに関しては、本当に私のことを信頼を置いていただいていたなってことで。

ーーそれは作品からも伝わってきます。

アイナ:レコーディングしてても、「こうして」「ああして」っていうのが不安になるくらい一切なくて。歌い方でアドバイスされたのは滑舌とピッチとブレスの位置くらい。あとは、「好きなように歌って」って。でも、その信頼を自分が受け入れるまでにちょっと時間はかかりました。それまでは、指示に対して120%で応えるというのが、レコーディングへの自分の向き合い方だったので。何も言われないと、常に自分で考えないといけないし、自分で生み出していかないといけないから。それは、自分の歌を信じないとできないことだったので。亀田さんには、そういうチャンスをいただいたことを本当に感謝してますね。

ーー亀田さん関連の作品でいうと、プレイリストで東京事変の「落日」を選んでますよね。東京事変、あるいは椎名林檎さんの代表曲としてはなかなか出てこない、ピアノ中心の静かな曲ですけど、この曲を選んだ理由は?

アイナ:椎名林檎さんは、BiSHに入って音楽をこれまでより身近なものとして感じるようになってから憧れるようになったミュージシャンという意味では、本当に一番の存在で。もう、雲の上の存在なので当たり前ですけど、この曲を聴いた時には「もう敵わなすぎます」って。曲も、歌詞も、本当に……神の領域っていうと、ちょっと浅はかな表現になっちゃいますけど。

ーーご本人にお会いしたことはないんですか?

アイナ:BiSHとして、『ミュージックステーション』で2回ご一緒させていただいて。BiSHのことなんてご存知ないと思うんですけど、すごく優しい感じでCDを受け取っていただいて。2回目の時は、今度は絶対に自分で渡そうと思ってたんですけど、今、メンバーのアユニ(・D)って子が田渕ひさ子さんとバンドをやっていて。

ーーPEDROですね。

アイナ:はい。それもあって、私よりちょっと椎名林檎さんに近い感じじゃないですか。

ーーまあ、亀田さんも大概近いですけど(笑)。

アイナ:それで、アユニが「このあいだ、田渕さんと一緒にやられていたあれ見ましたよ!」みたいにナチュラルな感じで椎名林檎さんに話しかけていて。もう、「負けた!」って(笑)。

ーーいや、椎名林檎さんはBiSHのことももちろん知っていただろうし、アイナさんの作品も間違いなくチェックしてると思いますよ。

アイナ:そんなこと言わないでください。過呼吸になってしまう……。

ーーあと、プレイリストの中で気になるのは、岡村靖幸さんの「どぉなっちゃってんだよ」。

アイナ:岡村靖幸さんは、オカモトレイジくんとか、他にも周りに結構ファンが多くて。ちょっとちゃんと聴いてみようと思って、1stアルバムの『yellow』からずっと辿っていったんですけど。今、めちゃくちゃ大好きで。憧れますね。ライブのDVDも見たんですけど、『家庭教師』のツアーのDVDがーー性的な描写とかもその時がピークだったと思うんですけどーー本当に衝撃で。考えてみたら、その時期の岡村さんって、今の私よりもほんの少し年上でしかないんだなって。

ーー言われてみればそうですけど、その視点は思いつかなかった(笑)。

アイナ:今、同世代のミュージシャンで、ここまでやりきってる人っていないなって。

ーー『家庭教師』がリリースされたのって1990年じゃないですか。一つ言えるのは、日本の音楽シーンって、90年代以降どんどんバンドミュージックが主流になっていって、岡村さんみたいにソロのアーティストで歌いながらハードに踊る人がどんどん減っていったんですよね。昔は普通にみんなわりと踊ってたのに。

アイナ:へーっ。岡村さんのDVDは、今回自分がソロツアーを作っていく上でも一つの目標になりました。

ーーああ、なるほど! 確かに、あの両脇にダンサー2人(清水舞手、UFO)を従えてのパフォーマンスには、ちょっと岡村さんのステージングにも通じるものがありましたね。

アイナ:あの1人(清水舞手)は7年くらい前からの友達で。私は、友達と一緒にステージに立つのが一つの夢だったんですよ。今回、それが実現できたのがとても嬉しかった。もう1人(UFO)とも今ではすっかり仲良くなって。バンドとのリハーサルに入る前から、深夜練をずっと3人でやっていて。あの2人は、私の曲を私よりも上手く表現できるんですよ。そのことに圧倒されて。途中で一回、「もう無理だ」って潜ってしまったんですけど、それも助けてくれて。だから、本当に2人には感謝してます。

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