LiSA、アコースティック編成で1年ぶり有観客ライブ “新しい遊び方”を見つけていく冒険の始まり
LiSAが3月14日、ワンマンライブ『LiVE is Smile Always~unlasting shadow~』を配信した。今回配信されたのは、2月22日にZepp Haneda(TOKYO)で行われたアコースティックライブの模様。2020年に予定していたアコースティック編成での全国ツアーは残念ながら叶わなかったが、プレミアムなライブは“有観客+配信”という形で全国のファンに届けられた。雨音のSE、そして〈雨の雫みたい〉と始まる「ASH」からライブはスタート。〈こんな世界で 何を刻めるのだろう 試したい 今〉というフレーズからこの曲が1曲目に選ばれた意味を感じ取ることができる。
2月22日のライブはLiSAにとって1年ぶりの有観客ライブだった。ピアノバラードに生まれ変わった「ASH」を歌うLiSAの頬は濡れていて、演奏後、涙声の「こんばんは、LiSAです!」を温かい拍手が受け止める。「みんなの拍手をもらったらすごく感動してしまって」「出てきて今、歌えるかな? って」とLiSA。久々の対面に想いが溢れてしまったようだが、次のMCでは「すごくすごく緊張してたけど、なんか変わらないね」と笑い、「アコースティックライブということで、聴かせる曲、たくさん持ってまいりました。なんですけども、みなさんに力を貸していただかなければならないところも多々あります。OKですか?」と彼女らしく観客に語りかけた。
この日のバンドメンバーは野間康介(Pf)、生本直毅(Gt)、柳野裕孝(Ba)、鈴木浩之(Dr)、岩村乃菜(Cho/Per)。演奏曲の半数ちかくがシングルカップリング曲&アルバム曲というレアなセットリストが、普段とは一味異なるアレンジで届けられた。電子楽器を主体としたバンドセットよりも音圧が低いアコースティック編成では、LiSAの歌がより際立つため、バラードはどれも聴き応え抜群だ。「紅蓮華」はピアノとの二重奏。ふとした瞬間に見える弱さをも表現したAメロを経て、〈僕を連れて進め〉以降、覚悟を固めるように歌の重心がグッと下がる。心の揺れ、葛藤や逡巡がしっかり歌われているからこそ、ラスサビの〈ありがとう 悲しみよ〉に真の強さが宿る「「紅蓮華」は私の中ではバラード」という発言(参照:『ROCKIN’ON JAPAN』2020年10月号)にも頷きたくなる名演であった。
2曲続けて演奏された「シルシ」~「炎」もピアノバラード調のアレンジ。「シルシ」はアカペラでの歌い出しからして心がこもっていたし、「炎」の照明演出――冒頭で赤い光の球が一つだけ下りてくるが、やがて球の数が増え、美しい曲線を描くようになる――には物語を感じずにはいられない。ライブタイトルに据えられた「unlasting」は音源だと楽器隊が4分の4拍子、歌が8分の6拍子で進む曲だが、このライブでは全員が8分の6拍子のなかで演奏するアレンジに。同じ拍感を感じながら呼吸を合わせてアンサンブルした。