『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』主題歌で歌われる、煉獄から受け継いだ意志 映画を観た後に楽しみたいLiSA「炎」歌詞の世界

LiSA『炎』期間生産限定盤
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 『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が、前代未聞の記録を樹立し続けている。劇場公開からわずか10日間で興行収入107億円を突破という数字は、もはや塗り替えることができないのではと言われているほどだ。ヒットの裏には、原作の人気、アニメーションのクオリティの高さなど様々な要因があるだろうが、もう一つ外せないのが、TVシリーズからオープニングとエンディングを務めたLiSAによる主題歌「炎(ほむら)」だろう。すでに劇場版を観た人は、壮大でドラマチックなバラードであるこの曲を聴いただけで、映画の情景が浮かんでくるかもしれない。『鬼滅の刃』、そして『無限列車編』のエッセンスが織り込まれた「炎」の歌詞を、物語をなぞりながら紐解いてみたい。

(以下、ネタバレあり)

 『鬼滅の刃』は過酷な物語だ。炭を売りながら平和に暮らしていた少年・竈門炭治郎は、ある日鬼に家族を皆殺しにされ、唯一生き残った妹・禰豆子も鬼にされてしまう。

〈このまま続くと思っていた/僕らの明日を描いていた〉

 当たり前だったはずの日常は唐突に奪われ、炭治郎は鬼殺隊の一員として、鬼との戦いに身を投じることになる。

 劇場版『無限列車編』では、40人以上乗客が行方不明になっているという「無限列車」が舞台。任務を命じられた竈門炭治郎、我妻善逸、嘴平伊之助が、炎柱・煉獄杏寿郎とともに、下弦の壱・魘夢という強力な鬼に立ち向かっていくストーリーだ。

 魘夢は、相手に強制的に夢を見せ、精神を崩壊させるという血鬼術を操る。魘夢が炭治郎に見せたのは、家族が生きていて、何事もなかったかのように一緒に暮らしている夢だった。それはこの上なく幸福な世界だったが、夢だと気づいた炭治郎は、目を覚ますために自ら家族に背を向ける。禰豆子や、現実世界で生きている人たちを守るためだ。

 〈懐かしい思いに囚われたり/残酷な世界に泣き叫んで/大人になるほど増えて行く/もう何一つだって失いたくない〉という詞は、炭治郎の叫びそのもののようだ。そしてそれは、無限列車の乗客200名あまりを守りきる、という強い意思にも繋がっていく。

 そして、『無限列車編』と言えば、煉獄杏寿郎の物語でもある。

 煉獄は鬼殺隊の中でも最高位である“柱”の1人、炎柱。圧倒的な強さを誇るだけでなく、正義感の強さと面倒見の良さを兼ね備えた人物だ。煉獄家は代々鬼殺隊として炎柱を務めている家系で、彼の父もかつての炎柱である。ただ、その父は剣士を辞めて腑抜けてしまい、母はすでに亡く、幼い弟を守りながら暮らしている。だが、煉獄はそんな背景など感じさせないほど前向きで、まっすぐな人物でもある。

 その強さで鬼の攻撃を薙ぎ払い、炭治郎たちを鼓舞し、的確に指示を出す煉獄は、炭治郎たちの過酷な鬼殺の旅の中で出会った、ゆるぎない灯台のように頼もしい存在だった。煉獄に背中を押してもらうことで、炭治郎たちは苦戦しつつも魘夢を追い詰めていく。ところが、魘夢よりも更に格上の鬼である上弦の参・猗窩座の登場により状況は一変。〈手を取りそして離〉す時がきてしまう。

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