丘みどり、新たな一歩を踏み出した「明日へのメロディ」 ファンへの思いも語る

丘みどりが踏み出した新たな一歩

 歌手の丘みどりが、3月17日に新曲「明日へのメロディ」をリリース。SMAPの「らいおんハート」などを手がけるコモリタミノルの作曲&プロデュースで、今までの演歌/歌謡曲から一転、ポップス調の楽曲に挑戦。丘みどりとして新たな一歩を踏み出した作品になった。レコーディングでは想像以上の熱い指導があり、実りの多い時間だったと話す。「明日へのメロディ」に込めた思い、コモリタミノルとのレコーディングの様子、そして今後チャレンジしたいこととは? 丘みどりに話を聞いた。(榑林史章)

コモリタ先生の熱いディレクションに応えた

ーー今年のテーマがあるということで。

丘みどり(以下、丘):今年は今までとは違った、演歌ではない新しいことにチャレンジする一年にしたいと思って。昨年から次はどういう方向性でいくかを話し合う中で、ふだん演歌を聴かない方にも演歌を聴いてもらうには、ド演歌を歌うのではなく、演歌を聴かない方に寄り添った楽曲を歌うことが大事なんじゃないかということで、じゃあチャレンジしてみようと。たとえばおばあちゃんくらいの世代の中でも演歌を聴かない方が増えてきていることを肌で感じていて。私のおばあちゃんは演歌が好きですけどおばあちゃんが友だちとカラオケに行っても、ポップスを歌う人が多いという話を聞いて。逆を言えば、おばあちゃんの年齢層=演歌ではなくなってきている時代だと思うので、もちろん演歌歌手として演歌を大事にしていきながら、より幅広い方に響くものを歌っていけたらいいなと思っています。

ーーその先駆けとなるのが、今回リリースされる「明日へのメロディ」という。演歌とポップスの中間のような楽曲で、作詞の大柴広己さんと作曲のコモリタミノルさんは、どういう流れで選ばれたのですか?

丘:もともと事務所の方がコモリタ先生とお知り合いで、私自身も4〜5年前にご紹介していただいていたのですが、なかなかコモリタ先生とご一緒出来る機会がなくて。今回新しいチャレンジをするなら、ぜひコモリタ先生にお願いをしたいと思ったんです。

ーー今まで歌ったことのないジャンルに挑戦するというのは、不安はありませんでしたか?

丘:不安や緊張もありましたけど、それ以上に楽しみな気持ちのほうが大きかったです。自分の性格的に新しいことをするのが好きなので、コモリタ先生がどんな曲を作ってくださるのか、打ち合わせの段階からすごく楽しみで仕方がありませんでした。

ーー作詞の大柴さんはシンガーソングライターとして活動されている方だそうですが、歌詞の世界観がすごく独特ですね。

丘:この歌詞は元々、もっとダークで「え!」と思うような言葉が並んだ歌詞だったんです。「地獄」という言葉が出てきたり、わりと激しめで。コモリタ先生は、「とことん地下まで潜り続けて辿り着いたところから、削ぎ落としていってこの歌詞になった」とおっしゃっていました。

ーー薄めてあってもこれなんですね。

丘:そうなんです。大柴先生は「僕に頼んだということは、そういう歌詞を求めているのだろう」と思ったそうです。「丘さんのイメージを崩す、ダークでどろどろな世界を書いてほしいのだろう」と思って書いたら、コモリタ先生から「ちょっとやりすぎ」と言われたそうです(笑)。そこから少しずつ薄めて、私のイメージと重なるところまで持っていったと。

ーー最初に聴かれた時はデモで?

丘:はい。ただ、歌詞は入ってなくて。何曲かメロディだけ聴かせていただいた中で、どういう歌詞が付くかはまだその段階では分からなかったんですけど、ちょっとダークな部分が見え隠れするところが格好いいなと思ったので、この曲を選ばせていただきました。あとサビのメロディが、1回聴いただけで頭に残るくらいすごく覚えやすくて、そういうキャッチーさも必要だなと思いました。

ーーサビは〈サラバイ ララバイ サラバイ〉と、すごく耳に残ります。〈サラバイ〉という言葉も面白い。

丘:サラバとララバイを組み合わせたのだと思います。コモリタ先生からうかがったのは、新型コロナの影響で変わってしまった未曾有の街で、いろんなものを失ってしまっても、誰かに負けても、何があったとしても、自分にだけは負けちゃいけない。そういう強い気持ちで生きていく、と。だから単純に切ない歌でもないし、応援歌とかでもないけど、葛藤の中で光を見つけていくことが大事だとおっしゃっていました。

ーー生きるための力みたいなものが、この曲には込められていると。丘さんが好きな歌詞のワードはありますか?

丘:全部好きですけど、二番がとくに好きです。〈罪人の扱いにされ 蔑み 晒され〉など、すごく激しくてダークな言葉が並んでいて。ここはネットの闇の部分を表しているのかもしれないし。

ーーこういう楽曲を歌う時は、どうやって感情を込めるんですか?

丘:活動している中で歌詞に当てはまるような経験もあって。今はすごく楽しくお仕事をさせてもらっていますけど、みなさんに名前を知ってもらうまでには悔しいこともたくさんあって。歌詞のようにネットで嫌なことを書かれたりとか。私自身はあまり気にしませんけど、ファンの方で気にされる方もいらっしゃって、そういう方の気持ちも分かりますし。そういう悔しかったことや辛かったことを思い出して、でも負けないぞという気持ちで歌いました。そういう意味では、それこそ演歌をあまり聴かない若い世代の方にも刺さる部分があるんじゃないかと思います。

ーーレコーディングではどんなことを意識しましたか?

丘:コモリタ先生が、「音をハズしてもいいからステージで歌っているみたいに、叫ぶように内側にある気持ちをもっとぶつけてほしい」と言われて、あきらかに今までの演歌のレコーディングとは違いましたね。これはとくにサビ以外のところなのですが、コモリタ先生から「丘さんが悔しい時はそんな感じですか? もっと吐き出して!」と。それでレコーディングが終わってこれで完成だと思っていたら、最後のほうに録ったテイクがすごく良くなっていたからということで、別日にもう1回レコーディングすることになったんです。2日目のレコーディングは1日目よりもっと激しくて、「ボ〜ッと聴いている人にハッと思わせるように、1コーラス目から怒りや想いをぶつけてください」と。私としては「さっきの音はフラットしたな」とか音程をハズさないことを気にしていたんですけど、「そんなのはいいから、もっともっと!」という感じで。こういうレコーディングは初めてだったのでとても新鮮でしたし、今までのレコーディングよりいろいろなことを考えました。

ーーすごく厳しいディレクションだったんですね。

丘:厳しいと言うよりも、熱いディレクションでしたね。「やっぱりもう1回レコーディングしましょう」と言ってくださるくらい、熱い想いを込めて作ってくださったということが伝わってきて。すごく嬉しくて、その想いに応えたいと思って頑張りました。

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