ENDRECHERI『LOVE FADERS』はジャパニーズファンクの新たな到達点 ストリーミング配信を機に作品全容を振り返る
スペイシーな浮遊感覚いっぱいのインスト「LOVE FADERS」で幕を開けるセットリストの、序盤の聴きどころはまず「Everybody say love」。古き良きジャズ・フュージョンのエッセンスをたっぷり盛り込んだ派手なディストーションギターのソロと、ストイックなディスコビートとスローパートが交互に現れる構成が秀逸で、心地よくリズムに乗ったボーカルも実にスムーズ。手数の多いスリリングなドラミングに乗せたご機嫌なラップが聴ける「FUNK 一途 BEASTS」を経て、ブラスセクションを大々的にフィーチャーした「CREPE」の、ねばっこいグルーブでぐいぐい押しまくる快感は圧巻だ。おそらくライブを意識したのだろう、序盤はアタックの強い曲を連ねて一気に突っ走る。
そして中盤には意表を突く変化球を含め、遊び心たっぷりの曲が次々と現れる。ちょっぴり80年代中期のプリンスっぽい隙間の多いグルーブが印象的な「MIX JUICE」を経て、暗くうねる1コードファンクの「Butter」ではシンプルなリフの繰り返しがじわじわと熱気を帯び、エロさ満点のリードギターがボーカル以上の説得力で大胆に迫りくる。そうかと思えば「此れ 其れ」はアルバムの中で最もキャッチーでメロディアスな歌ものとなっており、力強いブラスセクションのサポートを受けながら、色気あるファルセットのフェイクがばっちり決まる。インタールード的な「Kun Kun Yeah! ~Muscle Commander~」からの「AGE DRUNKER」は、またも気合の入った歌もので、ばりばりのスラップベースやうねうねのシンセに彩られながら〈君 救う為に 生まれてきたんだよ〉と力強く歌いかける。そして思い切りスロー&メロウな「I’m just me」へ、1曲ごとに緩急をつけながらディープな場所へとリスナーを連れてゆく。ストリーミングとはいえこのあたりは曲順通りに聴いてもらうほうが、ENDRECHERIの意図したものが伝わりやすいことは間違いない。