aiko、“約束の8月30日”にファンと共有した『Love Like Aloha』かけがえのないシーンの数々 配信ライブ第2弾も決定、高まる期待

aikoも共に楽しんだ『LLA』総集編振り返る

 aikoのライブには、ホールやアリーナで開催される『Love Like Pop』と、ライブハウスを熱く揺さぶる『Love Like Rock』という大きな2本柱があるが、もうひとつファンが熱望する重要なシリーズを忘れてはならない。そう、野外ゲリラフリーライブ『Love Like Aloha』(LLA)の存在である。

 2003年8月30日に江ノ島・片瀬海岸で突如開催された第1回目の『LLA』には、オフィシャル携帯サイトでのみの告知にも関わらず、約2万5000人のaikoジャンキーが集結。メドレーを含めた全12曲を披露するという興奮の内容に、その一夜は瞬時に伝説となった。その後は、8月30日という開催日を守りつつ、会場をサザンビーチちがさきに移して数年ごとにゲリラ開催されてきた。これまでの6回を振り返ると、豪雨に見舞われた回もあったし、その雨をきっかけに「夏が帰る」という『LLA』のアンセム的な曲が生まれたこともあった。回を重ねるごとにオーディエンスの数は増え続け、それにともなってメインステージから伸びる花道もぐんぐんと長さを増していった(3万7000人を動員した2018年『LLA vol.6』では、花道の長さが50メートルに!)。そこを全力で駆け抜けるaikoの姿を夏の風物詩として楽しみにしている人もきっといるのではないだろうか。開演前にはバンドメンバーが楽しい余興を見せてくれたり、本編のメドレーでは会場にちなんでサザンオールスターズの曲をカバーしてみたり、MCでは近隣マンションのベランダで鑑賞する人たちをも巻き込んでみたり、終演後には数千発にも及ぶ大輪の花火が咲き乱れたりと、『LLA』には毎回、そこでしか生まれ得ないかけがえのないシーンが無数に存在しているのだ。

『Love Like Aloha memories 砂浜に持って行かれた足』
『Love Like Aloha memories 砂浜に持って行かれた足』ロゴ

 前回の開催から2年を経た今年、2020年。「もしかしたら開催されるかも……」と期待していた人もいたはずだが、新型コロナの影響によってその思いは打ち砕かれることとなってしまった。が、aikoはスペシャルな贈り物を用意してくれていた。“約束の8月30日”にこれまでの『LLA』の総集編である『Love Like Aloha memories 砂浜に持って行かれた足』をaiko official YouTube channelにてプレミア公開してくれたのだ。しかもaiko自らコメントで参加。アーティストと共にライブ映像をリアルタイムで鑑賞できるレアでスペシャルな内容となっていたのである。

 開始数分前に書き込まれた「はーい!! 今日はよろしくお願いします!」というaikoの書き込みにチャットルームのテンションが一気に上がる中、いよいよ配信がスタート。オフショットをとらえた映像の後、流れ出す歌声――1曲目は2012年開催の『LLA vol.4』から「夏が帰る」だ。前述した通り、『LLA』があったからこそ生まれた楽曲だけにファンたちは歓喜。8年前の映像にaikoも「めちゃくちゃ懐かしい・・」とコメントを寄せる。この時点で視聴者数は3万人を突破し、ハングル語をはじめ、海外ファンからと思われるコメントも多数流れている。

 2006年開催『LLA vol.2』から「帽子と水着と水平線」、『LLA vol.6』から「予告」とキラーチューンが続く。「アロハの時はリハもないからめちゃくちゃ緊張してほぼ記憶がないねん。だからこうしてライブをみんなと見返すことが出来て幸せですありがとう」とコメントで感謝を示すaiko。4曲目の「花火」では複数のライブ映像が見事な編集で1本にまとめられていた。1曲の中に次々と現れるいろんな時代のaikoの姿。衣装をはじめとする見た目は当然その都度変化しているが、思いのこもった歌声はいつも変わることなく強い輝きを放って僕らの心を心地よく刺激してくる。ホーンセクションを交えた「夢のダンス」(2015年開催『LLA vol.5』より)では、柔らかな夏の終わりの潮風に身を委ねながら花道の上で美しい歌声を響かせる。「この衣装はモモンガスウェットって言う名前です」と裏話を教えてくれつつ、「夢のダンスまた歌いたいな」と感慨深げなコメントも残してくれた。

 6曲目となる「KissHug」は2008年開催の『LLA vol.3』からの映像。雨が降りしきる中で歌われるバラードは幻想的なシーンを描き出す。「映像は素敵に撮れたけど、これ会場でみてくれてた人はしんどかったよね・・私は“これ以上降らんとって”って願いながら歌ったよねー」と当時を振り返るaiko。続く「天の川」も『LLA vol.3』から。花道の先に用意されたセンターステージでしっとりと歌を届ける映像が流れる中、aiko自らが発した「今年は天の川にお願いする余裕も無かったねー。だからここでお願いします。またみんなと一緒にライブ出来ますように! そしてそこでしか話せない話しいっぱい出来ますように!」というコメントにチャットルームには感動の嵐が巻き起こった。バラードをまとめたパートのラストは『LLA vol.6』の「瞳」。「この年の瞳は色んなことを想って歌ったな」というコメントがあったように、いつも以上に想いのこもったボーカルがあたたかく胸に染みた。

 後半戦は『LLA vol.5』の「be master of life」から。曲に合わせて「オーイエー!」のコメントが高速で流れる中、aiko本人も負けじと「おーーーいえーーー!!」とファン以上のテンションで参加する。そして、おなじみのコール&レスポンス、「男子、女子、そうでない人!」は、「1」から「6」までのすべての映像がまぜこぜにされ、『LLA』の歴史をギュギュっと凝縮して見せていく。

 『LLA vol.4』の「鏡」、『LLA vol.6』の「ハナガサイタ」でクライマックスを迎えたライブ。その盛り上がりに、aikoは思わず「うわーーーーライブやりたすぎる!」と心の声をコメントにぶつける。そして、様々な時代の映像をつないだ「キラキラ」でライブは大団円を迎えた。映像の中のaikoが「本当に今日は最後までどうもありがとうございました。また必ず逢いましょうね。元気でね!」と最後の挨拶をすると、ネットで繋がっている今のaiko本人が「これからも踏ん張って生きていこうね」「ありがとうありがとうありがとう」と言葉を重ね、共に過ごした夏の終わりのひとときに幕を引いた。

 終演後の花火の映像まで盛り込んでくれた今回の配信は、映像こそ過去のものであったが、この日のために組み立てられたセットリストや、想いのこもった編集によって、さながら『LLA vol.6.5』と呼びたくなるような内容だった。aikoは未来への期待を胸に、新たな『LLA』を創造してくれていたように思うのだ。今回の配信の同時視聴は約4.5万人、Twitterでもトレンド入りし、ハッシュタグ「#メモリーは砂足」は日本4位、キーワード「aiko」は日本6位という素晴らしい結果も残した。

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