Novelbright、マカロニえんぴつ、MONOEYES、スカパラ…全力で伝えた音楽への想い 『ビバラ!オンライン2020』2日目を観て

『ビバラ!オンライン2020』2日目レポ

 屋内型の春フェスとしては日本最大規模で、今では地元・埼玉県の人にも愛される音楽フェスとなった『VIVA LA ROCK』。しかし、今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で開催を断念。それでもフェスを続けるために、と今年は『ビバラ!オンライン2020』として無観客の有料配信という形で行った。

 『VIVA LA ROCK』にとって配信音楽フェスは初めての開催だ。そのため課題を感じる部分もある。しかし音楽フェスの新しい可能性も感じた。プロデューサーの鹿野淳がオープニングトークで「カメラの奥にいる人たちに音楽を届けようとしているので、それを受け取って欲しいと思います」と語っていたように、アーティストやスタッフからの想いを感じるライブが続いた。ここでは2日目、8月1日の模様をレポートする(ページ最後には他日程出演者ライブ写真も)。

Novelbright(撮影=釘野孝宏)

 トップバッターは初出演のNovelbright。「画面の奥に届けよう」という想いを感じるライブだった。序盤から「ランナーズハイ」で熱いパフォーマンスで盛り上げ、代表曲「Walking with you」では視聴者に手拍子を煽る。「大好きなアーティストの音楽に支えられて生きてきました。次は僕たちが音楽を届ける立場として皆さんを救えたらと思い、がんばっていきます」と語り「拝啓、親愛なる君へ」で壮大なバンドサウンドを鳴らしステージを終えた。

ニガミ17才(撮影=古溪一道)

 2番手のニガミ17才は「ライブハウスへようこそ」と挨拶し、配信だとしても“ライブ”であることを強調する。「久々のライブだからMCやらずにいこう。こんな楽しいのになんで喋らなきゃならんのか」と話したりと、心からライブを楽しんでいるよう。「最後、やだなあ」と言ってからのラストソングは「かわきもの」。5拍子で複雑な演奏に鳥肌が立つ。「フェスって好きなように楽しむものだよね」と言ってからリズムを4拍子に変更したり、ヒップホップや青春パンク、ボサノバ、ロックンロールに曲調を変化させたり、シンセサイザーの平沢あくびがティッシュをばらまいたり、とカオスな状況に。しかしそんな状況をきれいにまとめて、クールに演奏を終える姿は圧巻だった。

Saucy Dog(写真=釘野孝宏)

 5カ月ぶりにライブを行ったSaucy Dogは「雀ノ欠伸」から、勢いよくライブをスタート。「真昼の月」「ゴーストバスター」とアップテンポの曲を続ける。「僕たちの新しいとっておきのバラードを」と言ってから「結」を優しい演奏で届け、代表曲「いつか」を感情的に歌う。「今年はフェスに出るのは不可能だと思っていたから、こうして出られて嬉しいです」と言ってから、ラストに「グッバイ」を颯爽と演奏してライブを終えた。

フレンズ(撮影=古溪一道)

 「フレンズです! よろしくー!」と元気よく挨拶してからスタートしたフレンズ。「みんなも一緒にうたいましょう」「画面の前で踊れ!」と煽る。MCでは、「ずっと楽しい。今日がオンラインライブ初めてだからね」「スタジオに入るのも久々で、みんなと着替えるだけで楽しかったよね」と話していた。だからか「あくびをすれば」「Love,ya!」では「楽しんでいる?」と問いかけつつも、メンバーが一番楽しそうな表情を見せていた。「地球を越えても」を爽やかな演奏で届けてハッピーな余韻を残し演奏を終えたものの、終了後も画面が変わらないというトラブルも見られた。

マカロニえんぴつ(撮影=釘野孝宏)

 息を合わせるように丁寧に「愛のレンタル」から演奏を始めたマカロニえんぴつ。ボーカルのはっとりは「これはリハじゃないですよね? お客さんがいなくて変な感じです」と言いつつ、「大事に曲を演奏できる日かなと思います」とも語る。その言葉の通り普段以上に演奏が安定していた。他の出演者のように視聴者を煽ったりはしない。その代わり丁寧に音楽を届ける。「音楽が無力であると感じました。不要不急だと言われたり。でも必要と思うあなたがいるから必要なんです。あなたの希望であるように。俺たちが希望だけを選んで歩けるように」と話し、最後に「ヤングアダルト」を演奏した。その演奏は、画面の向こうに全力で想いを伝えようとしているように感じた。

ACIDMAN・大木伸夫(撮影=古溪一道)

 弾き語りで出演したACIDMAN・大木伸夫。普段のバンドでは壮大な演奏の「FREE STAR」をこの日はしっとりと温かい音で聴かせる。「こう見えて緊張してるんです。ガクガクなんです」と話していたが、まったくそのように見えない落ち着いた演奏だ。弾き語りにより、歌のメッセージがより伝わるようになった「ALMA」の歌詞が胸に響く。弾き語りだからこそ、歌のメッセージを届けることを意識したようなライブだった。

MONOEYES(撮影=釘野孝宏)

 「どのカメラに向かって喋ればいいのかな?」と話したり、ライブを見学していたACIDMAN・大木伸夫に話しかけたり、とマイペースでリラックスしている様子を見せた細美武士。メンバー全員が着席して演奏したMONOEYESは、アコースティックアレンジでライブを行った。「普通のライブはお客さんがいないと俺たちはできないので、こういう形でやっています」とアコースティックである理由を説明する。普段は盛り上がる楽曲の「Run Run」を落ち着いたアレンジで聴かせる。「うちらだけアーカイブを残さないのも申し訳ないと思ったんですけど、まあ、こだわりです。付き合ってください」とライブへのこだわりも伝えていた。

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