コロナ禍でのライブ活動、海外シーンの動向は? アーカイブ配信、無観客、バーチャル……新たな4つのアプローチを探る

コロナ禍でのライブ活動、海外シーンの動向は? アーカイブ配信、無観客、バーチャル……新たな4つのアプローチを探る

 コロナウイルスによる自粛期間が始まってから数カ月が経った今、多くの人々が、そしてミュージシャンや様々な音楽関係者が、「現場」を渇望している。国内外の大型音楽フェスティバルやツアーがほぼ全てキャンセルとなり、まもなく迎えようという夏フェスの時期のカレンダーも完全に白紙となってしまった。この状況下で、現在、世界中の音楽関係者がコロナウイルスの影響下におけるライブ活動の在り方について模索を続けている。今回は、現在行われている4つのアプローチを軸にその様子をまとめていく。

1. コンサート・フェスティバルのアーカイブ配信

 自粛期間が始まりたての頃、ライブ・フェスティバルが軒並み中止となる中で、まずどうするべきか? という問いへの回答として実施されたのが、過去のコンテンツを使い、擬似的にライブ気分を味わうという取り組みである。国内でも3月時点で、LDHが所属アーティストのライブ映像を大量に公開しており、プレミア公開やコメント欄などのYouTubeの機能を活用することで擬似ライブを実現している。

 国外でも、エド・シーランやColdplayらを擁するワーナー・ミュージック・グループは、これらのコンテンツを使った「初のバーチャル音楽フェスティバル」として、”Music is Not Cancelled”と銘打った『PlayOn Fest』を4月25日から72時間にわたりYouTube上で開催した。

PlayOn Fest (Music is NOT Cancelled)

 この方式は、年内の国内外のフェスティバルがほぼ全てキャンセルになった代替案としても活用されており、米国の大型音楽フェスティバル『The Governor’s Ball Music Festival』は6月25日から26日にかけて、トラヴィス・スコットやポスト・マローンなどの過去のパフォーマンスをライブ・ストリーミングするが、これはあくまで2020年のフェスティバルとして開催されるのだ。同様に日本の『SUMMER SONIC』も『SUMMER SONIC 2020』と銘打って過去のパフォーマンスの配信を実施しており、恐らく同じくキャンセルとなった他のフェスティバル、例えば『コーチェラフェスティバル』などでも同様に行われることになるだろう。

2. 無観客コンサート・フェスティバルの開催

 ライブ活動が出来ないのは、狭い空間に観客が密集するため、あるいは合唱やボーカルのパフォーマンスによるウイルスの拡散を防ぐためである。ならば観客がいなければ良い。というシンプルな発想から、自粛期間に突入してからは、「無観客ライブ」という形式が広まるようになっていった。国内でもBAD HOPやsyrup16gといったアーティストがコンサート自体の中止を余儀なくされる中で、代替案として無観客ライブを行い、最近ではサザンオールスターズが大規模な無観客ライブを横浜アリーナで開催している。

 音楽ライブを含むアメリカのバラエティ・ショー(”The Tonight Show”や”Jimmy Kimmel Live”など)では、少人数で収録された自宅や屋外でのパフォーマンスを放送するようになり、ポーター・ロビンソンによる『Secret Sky Festival』や、EDCなどの大型ダンスミュージックフェスティバルを主催するInsomniacによる『Virtual EDC Las Vegas Livestream 2020』のように、中継を繋いだオンラインフェスティバルを開催するという試みも行われるようになる。国内でも『Music Unity 2020(MU2020)』で同様の取り組みが行われているが、フェスティバル形式の場合は多くの場合DJが主体となっているのが興味深いところだ。

Afrojack – EDC Las Vegas Virtual Rave-A-Thon (May 17, 2020)

3. バーチャル空間上でのライブパフォーマンス

 一方で、「そもそもリアル空間でライブが出来なくても、現代の技術があればバーチャル空間上でライブが出来るのではないか」という発想もあり、特にオンラインゲームを活用したライブパフォーマンスはその最たる例と言えるだろう。先日、トラヴィス・スコットのライブパフォーマンスを実現した『Fortnite』では、現在も”Party Royale”というモードを活用して、スティーヴ・アオキやヤング・サグ いったDJやラッパーのライブパフォーマンスを配信している。さらに今後は映画の上映会も予定しており、その第1弾として6月26日に『インセプション』などのクリストファー・ノーラン監督作品の上映が行われている。

Travis Scott and Fortnite Present: Astronomical (Full Event Video)

 また、同じく巨大なプラットフォームである『Minecraft』でも同様の取り組みが行われており、4月11日には人気ロックバンドAmerican Footballをヘッドライナーに据えたオンライン・フェスティバル『Nether Meant』が開催された。誰もがオンラインゲームを遊ぶ現代において、このような試みはコロナウイルスが収束した後も広く行われていくのではないだろうか。

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