Mrs. GREEN APPLEが掴むのはリスナーの心だけではない ミュージシャンやクリエイターの言葉から紐解く楽曲の魅力

Mrs. GREEN APPLEが掴むのはリスナーの心だけではない ミュージシャンやクリエイターの言葉から紐解く楽曲の魅力

 Mrs. GREEN APPLEのデビュー5周年を記念したベストアルバム『5』が7月8日にリリースされる。

 それに先立って4月15日に開設されたベストアルバムのスペシャルサイトでは、アイテムの詳細やオフィシャルライナーノーツなどに加え、著名人が好きな楽曲を選びそれにまつわるコメントを寄せるという特別企画が展開中だ。ミュージシャンはもとより、プロデューサーやタレントなど、さまざまな分野の錚々たる面々が、思い入れのある楽曲とそれにまつわる思い出をつづっている。

 そのコメントからはMrs. GREEN APPLEというバンドがいかに幅広く受け入れられ、さまざまな魅力をもって人の心を掴んできたかが伝わってくる。ここでは、著名人が挙げている楽曲とそのコメントに触れながら、改めてMrs. GREEN APPLEの名曲たちを振り返ってみたい。あなたも自分の好きな楽曲を思い浮かべながら読んでもらえたらうれしい。

スペシャルサイトはこちら

 「StaRt」

「数年前、何気なくつけてたスペシャから何度も何度も聴こえてきたのが「StaRt」でした。大森くんの歌声と表情に『すごいの来たな?!』と衝撃を受けたのを覚えています。」(SCANDAL・MAMI)

「ドレミファソラシドを基調とした覚えやすいサビのメロディ、韻を踏んだAメロの唄い出しなど、大森くんのボーカルは勿論メンバー全員が伸び伸びと音楽を楽しんでいる映像が目に浮かびます。」(武部聡志)

『Variety』

 彼らのメジャーデビュー作でもあるミニアルバム『Variety』(2015年)の1曲目を飾り、リード曲ともなった「StaRt」。イントロから一気にはじけていくような強烈なポップさとエネルギーで、文字通り快進撃のスタートを刻んだ1曲だ。そのインパクトをMAMIは「すごいの来たな」と表現しているが、それまでのインディーズ作と比べても俄然カラフルに進化したサウンドは確かに衝撃だった。しかも、ただキャッチーではじけているだけではない、〈独りじゃないと否定してくれる貴方を 僕は探すんだ〉〈いつでもスタートで居よう〉という歌詞に刻まれたダークな内面とそれをひっくり返そうという意志、自ら〈敢えての策略なの〉と言ってのける冷静な視点。ミセスというバンドの本質がテンション高く詰まっているのがこの楽曲だ。

Mrs. GREEN APPLE – StaRt

 「VIP」

「ミセスとの思い出は、ラジオで未確認フェスティバルの原稿を読む時に流れていたのが「Speaking」だったのが出会いです。気になって楽曲を一通り検索した中で「VIP」が印象的で好きになり、そこから一気にハマりました。その後初めて行ったライブでの1曲目が「VIP」だったので、自分の中で思い出の曲は「VIP」です。」(AKB48・大家志津香)

『Speaking』

 「VIP」というのは結構通好みのチョイスだが、確かにこの曲には一聴して掴まれる尖ったエッジがある。「StaRt」同様『Variety』に収録されたこの曲では、他の曲でも垣間見られる皮肉と毒っ気、そして〈反吐が出ちゃう〉〈虫唾が走る〉〈殺意が芽生える〉とエスカレートする言葉が、ループするリフとビートに乗せてストレートに放たれる。しかしそれを攻撃性においてではなく、あくまで踊れてアガれるダンスチューンに仕立て、ポップに着地させているところがミセスというバンドの真骨頂だ。歌詞は全編ディスのような体を取ってはいるが、僕はこの曲を裸の王様に「あなたは裸だ」と教えてやるようなものだと受け取っている。〈踊れ 踊れ 醜く叫べ〉――それこそが生きるということだ。その意味ではこれは真実を伝えるという意味での「愛」の表現なのだと思う。

Mrs. GREEN APPLE – 『Variery』ダイジェスト

「SimPle」

「デビュー5周年そして、ベストアルバム『5』リリースおめでとうございます!!エビ中にとってミセスさんの思い出の一曲は、SimPleです!ライブリハーサルの休憩の時に、楽屋で大音量で流してメンバーみんなで聴いていて、たくさん元気をもらっていました。」(私立恵比寿中学)

『TWELVE』

 1stアルバム『TWELVE』に収録されている「SimPle」は、タイトなリズム(この曲の山中綾華のドラムのテンション感はすごい!)と直線的なメロディが文字通りシンプルに突っ走る1曲。〈綺麗じゃないけど 嘘で塗り固めて/無常を唄っても 誰も気付けなくて/君や娯楽を唄ってもまだ届いてなかった〉という「後悔」から、“シンプル”であろうと心に刻む主人公。ここでいう“シンプル”とはつまり「素直」ということだ。喜怒哀楽や愛を素直に表現し、素直に受け止めれば〈世界は終わっちゃなんかいない〉と信じられる。「SimPle」はそれまでミニアルバム3作をかけて探し求めてきたMrs. GREEN APPLEにとっての、この時点での答えのようにも聞こえるし、ここからさらに階段を上っていくにあたっての所信表明のようでもある。

「鯨の唄」

「全方位でヤバい。聞くたびになぜか涙が出ます。」(亀田誠治)

「ラジオから流れて来た『鯨の唄』を初めて聴いた時の感動を今でも忘れない。完璧なメロディと歌詞、歌声、和声、バンドサウンド、その全てが刺激的で美しく、僕の心の中であの日のまま流れています。」(蔦谷好位置 KERENMI)

「大切に紡がれた詩と、メロディーが美しくて。凄く好きで良く歌ってました。その度にこの歌の素晴らしさを身をもって実感。」(Little Glee Monster・かれん)

『Mrs. GREEN APPLE』

 壮大なストリングスが鳴り響くイントロとともにはじまり、抑えたAメロからファルセットが響き渡るドラマティックなサビへと飛翔する、美しく雄々しいバラード「鯨の唄」。2ndアルバム『Mrs. GREEN APPLE』(2017年)のリード曲となったこの曲で歌われているのは、あえて一言でいうなら生命それ自体の価値だ。〈奪われちまったバイタリティー〉もいつか形になる、〈汚れを纏った言霊〉もやがて澄んでいく……だから生きるんだ、とこの曲は宣言している。亀田誠治が「全方位でヤバい」と最上級の言葉で称えるように、歌詞、メロディ、アレンジ、そして大森元貴の歌唱、すべてがたったひとつのテーマに向かって力を合わせているような力強さがこの曲にはある。そしてここで歌われているテーマは後の作品でさらに深まり、広がっていく。

Mrs. GREEN APPLE – 鯨の唄

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