柴田聡子が明かす、“ひとりぼっち”配信の手ごたえ 自粛生活への不安と気づきも

柴田聡子が明かす、“ひとりぼっち”配信の手ごたえ 自粛生活への不安と気づきも

 シンガーソングライターの柴田聡子が、5月22日から配信ライブ「弾き語りツアー風 “柴田聡子のインターネットひとりぼっち’20″」をスタートさせた。

 5月から6月にかけて予定されていた弾き語りツアー『柴田聡子のひとりぼっち’20』は、新型コロナウイルスの影響で全公演延期。今回の企画は、本来のツアースケジュール通り、全日程、開演時間に合わせて弾き語りライブを生配信するというものだ。

 柴田聡子の自宅から、セッティングからライブまですべて“ひとりぼっち”で配信。背景に訪れるはずだったライブハウスの写真を使うなど、まさに“弾き語りツアー風”の演出が施されている。またアーカイブは残さないため、“その時間にしか観られない”臨場感を味わうこともできる。

 ツアーの全公演を疑似体験できる今回の試み、コロナ禍の影響による日常の変化などについて柴田聡子本人に話を聞いた。(森朋之)

「今日は良かった」という感じはまだないです

ーー5月22日の“富山公演”から、配信ライブ「【弾き語りツアー風 “柴田聡子のインターネットひとりぼっち’20″」が始まりました。全公演が延期になった弾き語りツアーのスケジュール通りの日程、開演時間に合わせて生配信ライブを行うというものですが、どうしてこの企画をやろうと思ったんでしょうか?

柴田:当初は「ツアーの後半だけでも……」という話をしていたんですよ。それが全部ダメになったときに、「延期です。振替の日程は決まってないけど、またよろしくお願いします」だけではなく、何かおもしろいことをやりたいと思って。日程に合わせて1曲ずつ配信するとか、いろいろ考えたんですけど、なかなかコレといったものが見つからなくて。きっかけの一つなったのは、『CROSSING CARNIVAL’20 -online edition-』というオンラインフェス。15分くらいの映像を作ったんですけど、それがすごく楽しくて、「こういうスタイルでやればおもしろいかも」と湧き上がってきたのが配信ライブツアーだったんです。大した決意もなく、楽しめそうだなっていう半分ギャグみたいな感覚でしたね(笑)。そのときはもうチケットを販売していたので、予定していた時間通りにライブをやれば、みなさんにも楽しんでもらえるかなという気持ちもありました。

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ーー“ツアー”を味わえる演出も施されていますからね。実際に行くはずだったライブハウスの店内の写真を背景にしたり。

柴田:“ご当地クロマキー”ですね(笑)。各地でライブの制作を手伝ってくれるはずだった方々に連絡を取って、写真を送ってもらったり。ライブに関わってくれるみなさんに挨拶して、「元気ですか? またお会いしましょう」と言えたのも良かったです。ライブハウスの方や各地のイベンターさんなどに支えてもらっていますから。

ーー配信のセッティングは基本的に柴田さんが一人でやっているそうですね。

柴田:私、大学院まで行って映像をみっちり学んだんですけど、その知識が完全に活かされてます(笑))。カメラなどの機材も持っていたんですよ。いま、配信用の機材が軒並み売り切れ状態なので、これから準備するのは大変だったと思います。

ーーそうですよね。生配信の音質に関してはどうですか?

柴田:最初は私とスタッフで調整していたんですが、今回の“ツアー”を発表したら、すぐにDub Master Xさんが「機材、何使ってるの?」と連絡をくれて。Dubさんは配信にも詳しいんですよね。震災のときも家からDJ配信をしたり、このツールを以前から使いこなしていて。今回もEQ(イコライザー)の写真を送ってくれて、「100以下はガッツリ切るべきだと思います」みたいなアドバイスをくれて。あと、買うかどうか迷っていたプラグインのリバーブも「あったほうがいい」と勧めてくれて、テストしてみたらすごく音が良くなったんですよ。観てくれる方のWi-Fi、電波の状況にもよりますけど、音質的に底上げができたかなと。Dub先生“さまさま”ですね(笑)。

ーーこの取材の時点では生配信を3回行ったわけですが、手ごたえはどうですか?

柴田:正直、まだめっちゃ焦ってますね、毎回。上手くいった! と思った次の瞬間にトラブルが発生したり、「今日は良かった」という感じはまだないです。観てくれたみなさんの反応を見ながら、ちょっとずつクオリティを上げて、もっと自分も楽しめるようにしたいなと。

ーー回を重ねるごとに上積みを目指すというか。そこもツアーっぽいですね。

柴田:そうですね。実際、普通のツアーをやっているときの気持ちに近いんですよ。ライブの準備をして、緊張して、ライブをやって、終わったらホッとして。会場のライブとほとんど変わらなくて、ビックリしました。打ち上げしたくなりましたから(笑)。私はもともとオタクっぽいので、そこが出ちゃってるのかも。

ーーどういうことですか?

柴田:配信中のコメントを見て、元気になったり(笑)。大学時代がニコニコ動画の最盛期で、YouTubeもガンガン観ていて。こういうツールは好きだし、おもしろいですよね。

ーーライブでは7月3日にリリースされる新作(7inch2枚組EP『スロー・イン』)の楽曲も歌っていて。

柴田:はい。延期になる前は、同じセットリストを深めていこうと思っていたんですが、配信では新曲の4曲以外は毎回ガラッと変えてます。最初の3回で代表曲を全部やったから、この後どうしようかな……。

ーーぜんぜん大丈夫だと思います(笑)。ちなみにEP『スロー・イン』の制作はいつ頃だったんですか?

柴田:2月から3月ですね。曲の欠片みたいなものはあって、「EPを作ろう」ということになってから、すぐに作り始めて。

ーーということは、コロナ後の状況も反映されている?

柴田:いや、それはぜんぜん。録ってるときは(コロナの影響は)ほとんど出てない時期で、マスタリングとか(アナログレコードの)カッティングの時期にいろいろ状況が変わって。毎回、時事的なことは気にせず作ってるんですよ。でも、(『スロー・イン』収録曲)「どうして」という曲に“どうして市役所に電話つながらないんだろう”みたいな歌詞があって、「ヤバい!」と思いましたけどね。言霊みたいなものって怖いなって。

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ーーそのフレーズはドキッとしましたね、確かに。音源も聴かせていただきましたが、ギターの弾き語りを中心にしつつ、ストリングスのアレンジも素晴らしくて。

柴田:めっちゃ嬉しいです。初めて自分でアレンジしたんですよ、今回。音楽的なことはほとんど無知だから、「大丈夫かな」と思ってたんだけど、チェリストの橋本歩さんのチームと一緒に作って。橋本さんとはRYUTistに提供した「ナイスポーズ」でもご一緒したんですけど、それがすごくよかったんです。私のイメージをしっかり形にできたという成功体験があったし、「橋本さんとだったら、やり取りしながら作れるか」と思って。ストリングスのアレンジ、すごくおもしろいんですよ。やってるときは大変で病みそうだったけど(笑)、今後も続けていきたいですね。

ーー「ナイスポーズ」、配信ライブでも歌ってましたね。

柴田:最近のなかでは、いちばん「いい曲を書けた」という手ごたえがあったんですよね。RYUTistのメンバーのみなさんの人間性が素晴らしくて、「この子たちのためにいい曲を書きたい」という気持ちでやりました。

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