ビートルズの遺伝子受け継ぐ新鋭バンド yonawo初インタビュー ネオソウルへ至る音楽遍歴からメンバーの素顔に迫る

福岡の新鋭バンド・yonawo初インタビュー

「かっこいい音」のイメージは言わなくても共有できている

ーーいわゆるブラックミュージックに傾倒していったのは、どういう経緯だったんですか?

斉藤:僕らが高校を卒業する頃、ちょうどローファイヒップホップが出てきて。サンプリングのネタになっていたジョージ・ベンソンとかからジャズにハマっていきました。それでジョー・パスとか聴くようになったらチェット・ベイカーにめちゃくちゃハマり、メンバーに聴かせたらみんな好きになったんですよね。

荒谷:僕は高校卒業後にバンクーバーへ行って、1年弱くらい住んでいたんですけど、僕も向こうでそういう音楽にハマっていたからびっくりしましたね。「みんな一緒じゃん!」って(笑)。で、帰国したときには全員がさらに音楽に夢中になっていて。雄哉は専門学校に入ってレコーディングエンジニアの勉強をしていたし、自分たちでもデモテープとか作れるレベルになっていたんですよ。

ーーじゃあ、4人で本格的に曲を作り始めたのは荒谷さんが帰国してから?

荒谷:そうですね。それこそ雄哉と出会った頃からずっと鼻歌で書きためていた曲があるから、カバーをやりつつオリジナル曲も作るみたいなスタイルで活動を始めました。

田中:僕はそれまで別のバンドでギター&ボーカルだったし、それまでベースとか一度も触ったことがなかったんですけど、雄哉から「うちのバンドでベース弾いてくれない?」と言われ、荒ちゃんの作る曲がめっちゃ好きだし、バンドに入りたいなと思ってすぐベースを買って。荒ちゃんがバンクーバーから帰国するまでに練習して、一緒にセッションできるくらいにはなっていました。

荒谷:ベースの楽しさを感じたのってどのタイミングだった?

田中:あー、どうだったかな……。荒ちゃんが「26時」という曲を持ってきて、そのデモに合わせて鼻歌でベースラインを考えてたらリフっぽいフレーズが頭に浮かんできて。それが楽曲を引っ張る要素になった時かな。「Mademoiselle」のときも、荒ちゃんが持ってきたコード進行に自分のベースリフが付けられたのは嬉しかった。「印象的なリフになったかな」って。バンドの中で自分の色を出せた時や、自分のイメージがバシッとハマった瞬間はめちゃめちゃ楽しいですね。

ーー斉藤さんと野元さんは、どういうきっかけで音楽に目覚めたんですか?

斉藤:最初に言ったように父親がミュージシャンだったので、小学校の頃にエリック・クラプトンの「Tears In Heaven」を教えてもらったりしてたんです。コードとかは全く知らなかったんですけど、荒ちゃんと出会って音楽の話をするようになって、バンドとかやれたらいいなと思ったのでそこからめちゃくちゃ練習しました。本気でのめり込むようになったのは、高校生の頃にペトロールズを聴いて、メジャー7thの押さえ方などを覚えて「これは面白い!」と思ったときかな。そこからジャズっぽいギターのアプローチとかも勉強するようになりました。さっき話したジョージ・ベンソンやジョー・パソとか、「影響を受けている」というほど弾けないですけど、音の感じはすごく好きだなって。

野元:僕は小さい頃から打楽器が好きで、小学校の頃は和太鼓をやっていました。とにかく、色んなものを叩いて音の深みを感じるのが好きだったんですよね(笑)。で、慧と出会って色々音楽を教えてもらううちに、気づいたらドラムを始めていました。なので慧に背中を押されたというか……彼が弾くギターも好きだったし、一緒にガレージロックとかやっていく中でどんどんドラムが好きになっていったんですよね。

ーー野元さんは、yonawoのアートワークも担当していますが、絵を描くのも昔から好きだったんですか?

野元:母が絵を習っていたし、姉も絵の専門学校へ通っていたので小さい頃から絵を描くのが当たり前の環境というか。幼稚園の頃からずっと絵を描くのが好きだったし、描いた絵を同級生が褒めてくれたのも嬉しくて。「自分しか分からない」「人には理解してもらえない」と思っていたことが、絵を通じて人に伝わった感動が半端なかったんです。それで将来は人を笑顔にするような絵を描きたいと思うようになり、バンドを始めた今もその気持ちは変わっていないですね。

斉藤:めっちゃ素敵なエピソードじゃん。

田中:そんな夢があるの知らんかったぞ。

野元:(笑)。別に画家になりたいとかじゃないし、とにかく絵を通じて何かを届けられたらいいなと。なので、こういう形でアートワークに関わられているのはとても幸せだなと思っています。

斉藤:僕らもノモちゃん(野元)の絵が好きだし、サウンドもアートワークも全てDIYで出来たら最高だなって。

野元:7inchリリースされた『矜羯羅がる / ijo』のジャケットは、バンドとは関係なく適当に描いてた落書きが採用されているんですけどね(笑)。ジャケットを作ることになって、とりあえず「仮」でこの絵を写真に撮ってLINEで送ったら、そこに荒ちゃんがタイトルを付けて、そのまま作業が進んでいって。「いや、ちょっと描き直したいんだけど」って言ったんだけど、「この手描きっぽい感じがいいんだよ」と押し切られちゃいました。

ーー(笑)。サウンドのざらついたロウな質感など、とても印象的です。何か参考にした作品などはありましたか?

荒谷:最初はもう録りっぱなしというか(笑)。『SHRIMP』の頃は、もろガレージバンドという感じでしたね。予算も限られていたし、スタジオを何時間も抑えてレコーディングするというのは現実的じゃなくて。他に方法がなく必要に迫られてこうなっていった感じなんです。で、作品を出すたびに、そのとき自分たちが好きなものを詰め込んでいったというか。多分、色んなアーティストからの影響はあると思うんですけど、メンバー同士で具体的に名前を挙げるとかはそんなにしていなかったと思います。「かっこいい音」のイメージは、言わなくても共有できているので。

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