石井恵梨子のチャート一刀両断!
東京スカパラダイスオーケストラ、30周年記念ベストがチャート好調 世代問わず楽しめる“国民的歌謡集”に
3月最後の週間アルバムランキング、時節柄ベストアルバムが多数登場しています。10位にTM NETWORK『Gift from Fanks T』、9位にGLAY『REVIEW II ~BEST OF GLAY~』、6位には大滝詠一が90年代半ば以降TVドラマに書き下ろした楽曲を集めた『Happy Ending』。それぞれ“いかにもCD世代が飛びつきそうな……”と言える企画ではありますが、さらに上位を見ていくとスカパラの名前が飛び込んできます。
初登場4位の『TOKYO SKA TREASURES ~ベスト・オブ・東京スカパラダイスオーケストラ~』、初週のセールスは約2万枚。しばらく考えました。これは“いかにもCD世代”が買い求めた結果でしょうか?
スカパラが25周年に出した『THE LAST』も、ボリュームたっぷりの3枚組ベストでしたが、30周年を記念した今回はさらに豪華絢爛。これまでに多くの名曲&名共演を生んできた“歌ものコラボ”が初めてコンパイルされています。茂木欣一(Dr)が歌うセルフ歌もの、さらにはaikoをゲストボーカルに迎えて作られた未発表の新曲もプラスされ、2枚のディスクがぜーんぶ歌もの。Disc3のみインストですが、ここにもさかなクンや上原ひろみとのコラボが並び、ゲスト名を羅列するだけでも目眩のしそうな大作となっています。
どんな大型イベントやフェスであっても、aikoと桜井和寿と10-FEET、Charaとチバユウスケと斎藤宏介が一堂に会することはまずないし、あったところでひとつのステージでのセッションなどありえないでしょう。スカパラの下だからこそ彼らの名前は並列に並び、世代も音楽性の違いも関係なく“いい感じの歌もの”として聴けてしまう。ゲストの個性をしっかり立てつつ、同時に必ずスカパラ色に染めていく、その器の大きさと、リスペクトを音で具現化できるミュージシャンシップには頭が下がるばかりです。