雨のパレード、『BORDERLESS』で見出したバンドのアイデンティティ「僕らはどこにでも属せる」

雨のパレード、『BORDERLESS』で見出したバンドのアイデンティティ「僕らはどこにでも属せる」

 2019年に3人体制になり、第二章へと突入した雨のパレードが、1月22日にニューアルバム『BORDERLESS』をリリースした。蔦谷好位置を共同プロデューサーに迎えて制作されたシングル「Ahead Ahead」「Summer Time Magic」「Story」からDos Monosとのコラボレーション楽曲「惑星STRaNdING(ft.Dos Monos)」まで、まさにバンドとしての“ボーダーレス”な音楽を提示した。

 リアルサウンドでは昨年の1年間、インタビューやコラム、ライブレポートなど現体制になった雨のパレードを様々な形で追ってきた。アルバムを完成させた彼らが語ってくれた今回のインタビューからは、葛藤や模索を繰り返しながら“自身の音楽”と向き合ってきたバンドの音楽に対する真摯さが改めて伝わってきた。(編集部)

蔦谷好位置との共同制作を通してそれぞれが感じたこと

左から:大澤実音穂(Dr)、福永浩平(Vo)、山﨑康介(Gt)

ーー『BORDERLESS』は1年10カ月ぶりのアルバムですが、その間に出した4作の先行シングルの曲も入っています。アルバムとしての構想はいつごろから考え始めたんでしょうか。

福永浩平(以下、福永):2019年の1月にベースの脱退があったので、ライブに向けて音を再構築しなきゃいけなかったり、制作もそれまでとは違うやり方になったり、いろいろあったんです。同時に蔦谷(好位置)さんと一緒に制作することにもなって、新しい経験をすることがすごく多い時期だったので、目の前のことをひとつひとつ全力で取り組むことに追われて、なかなかアルバムまで考える余裕がなかったんです。蔦谷さんとは合計5曲(「BORDERLESS」「Summer Time Magic」「Story」「Trust」「Ahead Ahead」)でご一緒させてもらったんですけど、その5曲の終わりが見えてきたときぐらいからですかね。アルバムを視野に入れるようになったのは。

雨のパレード – BORDERLESS (Official Music Video)

ーー蔦谷さんとの制作は、最初から5曲と決めてたんですか。

福永:僕らが共同プロデュースをお願いしたら、数曲担当させてくれないかというお話をいただいて。最近は、アーティストの曲を1曲だけ手がけることなどが多かったらしいんですが、お互いを知って理解して信頼しあえるような関係になり、深いところまで踏み込めるようになるには、1曲だけではなかなか足りない、という蔦谷さんの思いがあったようで。今回ご一緒させていただいて、やるごとにどんどんお互いのことを理解しあえたという感覚はあります。ものすごく気を遣ってくださるし、僕らが嫌がるようなことは決してしない方なんです。僕らがこれからずっと歌っていく曲なんだから、少しでも悔いが残るような、僕らが歌いたくない曲には絶対したくないと、何度もおっしゃってましたね。

ーー押しつけは全然なかった。

福永:まったくないですね。最初は蔦谷さんも僕らに対して遠慮があったかもしれないけど、作っていくうちにだんだん互いに歩み寄っていった感じです。僕らのこともめちゃくちゃ考えてくれてるし、お願いしたら120%で返してくれる。ほんとに熱い方だし、センスもよくて、尊敬できる方だなと感じました。

ーー蔦谷さんと楽曲制作したことで得られたものってなんですか。

福永:ほんとにたくさんあって。僕らは現体制になる前は、4人でスタジオに入ってセッションで曲を構築して、そのままレコーディングして、そのままライブして、という方法でずっと制作していたんです。なので、たとえばコーラスを重ねたりということもあまりしてこなかった。「バンドだけでできること」の枠に収まってた部分はあったと思います。でも(メンバーが抜けて)セッションで曲を作れなくなったので、去年からDAWを使って曲を作り始めるようになったんです。今まではライブでも曲作りのうえでもすごく制限されていた部分があったんですけど、それをDAWで積極的に音を重ねていったり、DAW上でしかやれないアレンジができるようになった。そういう風に制作面で新しいことができるようになった時期に蔦谷さんと一緒に曲を作らせてもらったので、先生のようにいろいろ教えていただけましたね。こういう手法があるのか、こんなことができるのか、ここから音を持ってきたりするんだ、とか。素晴らしい経験ができました。

ーー山﨑さんは蔦谷さんとやることでどんな気づきがありましたか。

山﨑康介(以下、山﨑):システマティックな部分やテクニック面ではものすごく勉強になりました。あと、曲を構築していくうえで、自分が普段音楽を聴くときにそこまで意識してなかったようなサウンドもいろいろ忍ばせていたり、そういうセンスや技術はすごいなと感じました。現体制になってデスクトップ上で制作する場面においても、そこで経験したことが生かせるようになったし、そういうところはすごく勉強になりました。

ーーそれまでのレコーディングとかかなり違う経験だった。

山﨑:かなり違います! それまでだと、ほんと“ザ・アナログ・レコーディング”というスタンスだったので、それと比べると、今の音楽性の良さを生かせる制作方法だと思います。

福永:(それまでは)表現したい音とかけ離れた手法だったんです。そのなかでもがきながら自分たちで答えを出していた。それはそれで正解だとは思うんですけど、今はもっと楽しめていますね。

ーー大澤さんはいかがでしたか。

大澤実音穂(以下、大澤):蔦谷さんとは「Trust」で一番最初に作業したんですけど、ビートの組み立て方もそうですし、効果音の使い方がすごく面白くて。私たちだけだったらここに入れないだろうなっていう効果音もあって、それがないと物足りなかったりする。そういう音選びのセンスもすごいなと思いましたし、音楽を作る姿勢みたいなものも、一緒にやってて勉強になりました。

ーーいろんなアイデアを持っていて、惜しみなくそれを提案してくれる。

福永:そうですね。僕らなりにいろんな曲を作ってきたつもりだし、幅広いジャンルに挑戦しているバンドなので、蔦谷さんも様々なアプローチを見せてくれたのではと思います。

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