欅坂46にとって“フロントメンバー”とは何なのか? 過去シングル曲のポジション構成から考察

 年明け直後の『CDTVスペシャル!年越しプレミアライブ 2019 ⇒ 2020』(TBS系)で披露された「黒い羊」で、2期生の森田ひかるのパフォーマンスが好評を得たことで、欅坂46のセンターに対する注目が集まっている(参考:欅坂46 2期生 森田ひかる、センター抜擢の意義とは? 「黒い羊」パフォーマンスから見えた新たな道筋)。誰がセンターに立つかで印象が変わるのも欅坂46ならではの楽しみ方だろう。しかし、確かにセンターは重要な立ち位置だが、ステージを作り上げているのはひとりではない。今回はそのセンターをすぐそばで支える“フロント”というポジションに焦点を当ててみよう。欅坂46にとって“フロント”とは何だろうか。

欅坂46『黒い羊』(通常盤)

 そもそもフロントとは前列のことであり、複数列のうちの最前列を意味する。最前列はライブやテレビ披露の際に画面に映りやすく、MVでも映し出されるカットが自然と多くなる。したがって、フロントメンバーは視聴者にグループの“顔”として認識されやすい。その上、前に人がいないためダンススキルや表現力も求められる。さらに、たとえ他のメンバーが完璧にダンスをこなしたとしても、ひとりのミスがグループ全体に影響を及ぼしてしまう可能性があるのが前列だ。そのためフロントは、ある程度の信頼と実力がなければ務まらないポジションである。

 フロントに選ばれる理由には人気やダンススキル、あるいは将来性などといった様々な要素が挙げられる。仮にスキル面ではまだまだだとしても、今後の成長が期待されるメンバーが立つことも少なくないし、また逆も然りだ。重要なのは、何かひとつだけの要素に絞らないことだろう。人気だけで選べばパフォーマンスが見劣りしてしまうし、将来性だけで選べば今いるファンが遠ざかってしまう。あらゆる要素を考慮した上でフロントメンバーを構成することが作品の質やグループの未来に繋がるのではないだろうか。

 欅坂46はこれまで8枚のシングルをリリースしてきた。その中で、1作目〜5作目までの間に当時のメンバー全員がフロントを経験している。そしてその間にも、それぞれの特性を活かした人選がされているのが興味深い。たとえば、3作目のシングル曲「二人セゾン」ではバレエ経験者を前列に据えたことで柔らかなイメージが押し出されている。5作目のシングル曲「風に吹かれても」には黒スーツをスタイリッシュに着こなす前列のメンバーたちの存在が欠かせない。このようにフロントを入れ替えている期間にも、楽曲との関連性を感じ取れる人選がされてきたのだ。

欅坂46 『二人セゾン』
欅坂46 『風に吹かれても』

 もとより、欅坂46のダンスそのものはポジションも非常に流動的で、フォーメーションがさほど重要ではないため、ほとんど“席替え”的なものではある。とはいえ、サビではポジション通りに整列したり、比較的フロントメンバーが目立つのは確かであり、何よりこうして周りから考察される対象にもなる。少なくとも5作目までの欅坂46は、全員に担当させながらも曲に合わせたフロントにしたことで“当事者意識”が一人ひとりに芽生えたはずだ。グループにおける自分自身の役割やアンデンティティを見つける手掛かりにもなったことだろう。まさにそれこそ初期の欅坂46におけるフロントの意義だったのではないだろうか。

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