欅坂46、2度目の「不協和音」から感じた異常なほどの熱量 『紅白』パフォーマンスを振り返る

 イントロで力強く右の拳を突き出した平手友梨奈。夏頃に負傷した右肘は完全に回復しているようだ。すぐにカメラは彼女の顔にフォーカスするが、髪で顔面が隠れているため表情が確認できない。と思いきや、次の瞬間に勢いよく前を向き、鋭い眼光を覗かせると、リズムに合わせて体を小刻みに揺らし始めた。

欅坂46『黒い羊』(通常盤)

 12月31日放送の『第70回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)にて欅坂46が披露した「不協和音」のパフォーマンスを見た。2年前に同曲を披露した時とはカメラワークが変わっている。2年前のイントロはもっと、メンバーの顔など確認できないような高い位置から映していた。2度目の「不協和音」ということで、どうしても視聴者には前回の出来事がよぎる。しかし、今年の欅坂46はひと味違うな、そう思わせる何かがあの表情にはあった。この2年間に様々のことを経験したことで、いわゆる”鋭い目”にも深みを感じる。獲物を狙う目なんてよく言われるが、筆者にはあの目が、これまでグループに向けられたすべての悪意に立ち向かう目に見えた。

 真っ赤に染め上がった衣装は攻撃的な印象を与える。だから、激しい曲がより激しく聞こえ、強い歌詞がより強く見えた。歌い始めたのはなんと2番の歌詞から。〈軍門に下る〉、〈理不尽〉、〈ねじ伏せられた怒り〉など、ポップミュージックではほとんど使われないような言葉がずらりと並ぶ。前回は時間の都合上カットした2番だが、今回は逆に1番をカット。そうすることで前回の続きのような構成を見せたのだ。

 緊張感の漂う状況で、不安を振り払うような田村保乃の〈僕は嫌だ〉が決まれば、今にも泣きそうな平手の〈僕は嫌だ〉も会場に大きく響き渡る。直後のホワイトアウトで画面が切り替わった後、ステージ上手側から下手へと至近距離で舐めていったカメラワークは、舞台上で繰り広げられるダンスの激しさをよく伝えていた(ここも前回は俯瞰映像だった)。はずれたイヤーモニターにも構わず踊り狂うセンター平手、必死に食らい付く2期生、一糸乱れぬ1期生、そしてラストに見せた平手の不敵な笑み……。画面から伝わる臨場感と異常なほどの熱量は、前回を軽く超えていただろう。

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