欅坂46、2度目の「不協和音」から感じた異常なほどの熱量 『紅白』パフォーマンスを振り返る

 それにしても濃い年末だった。デビュー以来、かつてこんなに濃い期間があっただろうか。11月の『ベストヒット歌謡祭2019』(日本テレビ系)に始まり、『ベストアーティスト2019』(日本テレビ系)と続き、12月に入ってからは『2019 FNS歌謡祭』(フジテレビ系)、『CDTVスペシャル!クリスマス音楽祭2019』(TBS系)、『MUSIC STATION ウルトラSUPERLIVE 2019』(テレビ朝日系)、『MelodiX! Plemium 年末スペシャル』(テレビ東京)、『日本レコード大賞』(TBS系)、そして最後は『NHK紅白歌合戦』……と地上波各局の音楽特番を総ざらい。しかも代表曲や新曲を繰り返し披露するわけでなく、まるでライブ終盤のセットリストを一歩ずつ進んでいくかのような流れ。さらにその間には国内最大の年越しフェス『COUNTDOWN JAPAN 19/20』にも出演し、まさに全速力で駆け抜けた怒涛の年末と言ってよいだろう。

 そんななかで挑戦した今回の「不協和音」は、その怒涛の年末を締めくくるに相応しいものだった。メンバーにフォーカスしたカメラワーク、色を反転させて攻撃的に見せた衣装、2番から始めたことで前回の続きのように見せた構成など、些細と思われがちな演出上の改変が効果的に機能していた。そして何よりも、そうしたアツい演出に負けないメンバーたちの気迫があった。どれだけ”見せる側”が意気込んでも、実際にステージに立つ本人たちのモチベーションと噛み合わなければ意味がない。

 パフォーマンスを終え、最後に「ありがとうございました」と呟く平手と、彼女の頭をメンバーが撫でるように優しく叩く様子が映ったとき、ある意味で今回の「不協和音」は、不協和音のその先にある”調和”を見せてくれたのだとしみじみ納得したのだった。

■荻原 梓
J-POPメインの音楽系フリーライター。クイックジャパン・リアルサウンド・ライブドアニュース・オトトイ・ケティックなどで記事を執筆。
Twitter(@az_ogi)

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