ネクライトーキーが語る、鬱屈した感情を昇華したポップサウンド「悪口書いてる人の方が味方かも」

ネクライ、鬱屈した感情を昇華したポップサウンド

 あどけなさの残るキュートな歌声とポップで疾走感あふれるメロディ、そしてそれとは裏腹の鬱屈したネガティブな歌詞が絶妙なコントラストを生む、中毒性たっぷりのサウンドが大きな話題を呼んでいる男女4人組バンド、ネクライトーキー。彼らの初の全国流通盤『ONE!』が12月5日にリリースされる。

ネクライトーキーMV「明日にだって」

 結成1年半にしてすでに確固たる世界観を築き上げ、3rdデモシングル「オシャレ大作戦」のMVは公開わずか4カ月で再生数150万回突破(11月26日時点で約183万回再生)、各地のサーキットイベントでは常に入場規制が起きるなど、新人とは思えぬ快進撃を続けている彼ら。実は、メインコンポーザーの朝日(ギター)は、バンド・コンテンポラリーな生活やボカロP・石風呂としての活動も長く、そこで培ったソングライティング能力や確かな演奏力が、このバンドの基礎体力になっていることは間違いない。そして、そこにもっさのフレッシュなボーカルが乗ることによって、唯一無二のケミストリーを引き起こしているのだ。

ネクライトーキー MV「オシャレ大作戦」

 「ネクラ」と「クライ」を掛け合わせた不思議なバンド名を掲げているが、実際の彼らはどんな性格なのだろう。バンドの空気感や関係性を探るため、メンバー全員に集まってもらった。(黒田隆憲)

メンバーの音楽的ルーツは?

左から藤田、もっさ、朝日、カズマ・タケイ

ーーネクライトーキーのメインコンポーザーは朝日さんだそうですが、元々はどんなきっかけで音楽に目覚めたのですか?

朝日:僕の原体験は多分ゲームだと思います。子供の頃に初めてやったのが『星のカービィ』で、石川淳さんがメインテーマを手がけていたんです。それがとてもコミカルでテンポも良いのに、なぜか泣けるんですよ。渋いフレーズがいくつもあるし。それって僕がネクライトーキーでやっている音楽性にも、すごく影響を与えていると思うんですよね。

ーーギターを始めたのは?

朝日:中学生の頃でした。「ギターをやりたい」と言ったら父親がくれたんです。父親といっても、ずっと離れて暮らしていたので顔もよく覚えてないし興味もなかった人なんですけど、どうやら母親が連絡したらしくギターだけ送ってきたんですよ。しかも、自分が使っていた「お下がり」のギター。で、「せっかく貰ったし」と思って弾いてみたら、すごく楽しくなって。2週間もしないうちに、自分で曲を作り始めていたんです。そもそも、なぜギターをやりたいと思ったのか、よく覚えてないんですけど、でも両親ともギターをやっていたみたいで母親から「蛙の子は蛙だね」って言われたのは覚えています(笑)。

ーー『星のカービィ』以降は、どんな音楽が好きだったんですか?

朝日:母に教えてもらったニール・ヤングやYes、The Doobie Brothersなどを聴いていました。母はThe Doobie Brothersの大ファンで、来日した時にホテルを突き止めて出待ちしてたらしいんですよ(笑)。それでサインも貰ったと言ってました。でも、そんな話も僕がギターを始めてから教えてくれたんですよね。

ーーボカロPとしての活動を始めたのはいつ頃?

朝日:「コンテンポラリーな生活」というバンドを藤田と始めた後なので、二十歳過ぎたくらいかな。暇さえあれば曲を作っていたので、それを完成形まで持っていけて、なおかつネットにすぐ上げて反応が貰えるのが楽しくて。ちなみに、僕にVOCALOIDの存在を教えてくれた友達は、今ネクライトーキーの映像をやってくれてる高校時代からの友人なんです。

ーーそんな朝日さんと、一番付き合いが長いのは藤田さんなんですよね?

藤田:そうです。私は中学生の頃にポルノグラフィティを好きになって、中でも元メンバーでベーシストだったTamaさんが書く曲が好きだったんですね。それで「ベースって何?」という感じで興味を持って、自分でも弾くようになってました。

 で、高校に入ってすぐ朝日さんとコンポラ(コンテンポラリーな生活)をやり始めたんですけど、その頃はレッチリ(Red Hot Chili Peppers)とかKASABIANとか好きでしたね。あと、ミドリが大好きでギター&ボーカルでコピバンもやっていたり(笑)、高校卒業後は音楽の専門学校に入って、ジャズとかちょろちょろっと聴くようになったりして。でも、一番夢中になったのは、対バンもしたことがあるジョゼというバンド。この前解散してしまったんですけど、めちゃくちゃ追いかけてましたね。

朝日:今、被ってるその帽子も……。

藤田:そう、ジョゼのグッズです(笑)。他には、それでも世界が続くならや、The Cheseraseraが好きです。ジャンルや音楽スタイルで好きになるというよりは、世界観や歌声に惹かれることが多いですね。

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ーータケイさんはコンポラのサポートドラムをやっていたんですよね?

カズマ・タケイ:はい。僕は姉の影響で音楽を聴くようになり、ブルーハーツ(THE BLUE HEARTS)に衝撃を受けたのがドラムに興味を持つきっかけでした。本格的に始めたのは、高校の吹奏楽部に入ってから。先輩がすごく変わった人で、新入部員たちに「これ、いいよ」と言って勧めてきたのがZAZEN BOYSの1stアルバム『ZAZEN BOYS』だったんですよ(笑)。最初は拒絶反応を起こしたんですけど、リズムがものすごく面白くて気がついたらハマっていましたね。

ーーもっささんが音楽に目覚めたきっかけは?

もっさ:私の両親は沖縄出身なんですけど、小さい頃はお父さんの影響で沖縄民謡やBEGIN、夏川りみさんなどを聴いていました。家には三線やアコギがあったので、それで遊んだりもしていましたね。高校生の頃は完全な「ネット民」で(笑)、ニコニコ動画にどっぷりハマってたんです。当時はボカロがメチャメチャ流行ってたんですけど、それを片っ端から聴いていました。

ーーそこで朝日さんがやってた「石風呂」に出会うわけですね。

もっさ:そうです。「石風呂」だけボカロっぽくないというか、「変な人がいるな」と思って気になってました。ちょうど自分がバンドに興味を持つようになった時期だったんですよ。特にチャットモンチーにメチャメチャ衝撃を受けて、「私もギターを弾かねば」と(笑)。

ーー「石風呂」の曲をカバーして、ネットに上げてみようと思ったのは?

もっさ:歌うのは小さい頃から好きだったんですけど、「自分の歌ってどうなんだろう?」というのを、誰かに客観的に聴いて欲しかったんだと思います。ネットだったら贔屓や遠慮もなく、第三者的に評価してもらえるかなと思って、それで好きな曲をカバーさせてもらった中に「石風呂」の曲もあったんです。

ーーそれを聴いた朝日さんが、連絡をして来たのが最初の出会いだったと。

朝日:そうなんです。女性ボーカルのバンドをやりたくて、ずっとメンバーを探していて。ただバンドをやるとなったら、人生の時間の大半を注ぎ込むようになるわけじゃないですか。その判断をさせるのは、高校生には酷だなと思ったので。でも、その5年後に再会するんですよね。

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