『G-NEXT』インタビュー
『G-NEXT』インタビュー:パノラマパナマタウン 『GINGAKEI』にも表れた音楽への信念
動画配信サービス「GYAO」、ストリーミングサービス「AWA」、音楽情報サイト「Real Sound」の3媒体でのフォローアップのもと、日本工学院専門学校の学生がアーティストインタビューを行う、ネクストブレイクアーティストをプッシュするコラボレーション企画『G-NEXT』。
今回の選出アーティストは、「それぞれの人間の個性が光る空間を銀河系規模で生きていこう」というメッセージを込めたミニアルバム『GINGAKEI』を11月13日にリリースした、神戸発の4ピースオルタナティブロックバンド・パノラマパナマタウン。ヒップホップ、ファンク、ポップ、ラップ、ガレージロック、ジャパニーズロック……どこを切り取っても彼らの色に染めてしまう独自の音楽性を鳴らす真意、『GINGAKEI』で描いたバンドの未来、そして彼らにとっての「音楽」とは何かを聞いた。
自分たちが変わっていく過程をいち早く届けたかった
ーーミニアルバムの発売に先駆けて「HEAT ADDICTION 〜灼熱中毒〜」と「Dive to Mars」をデジタルシングルでリリースされていましたが、なぜこの2曲を選んだのでしょうか?
岩渕想太(以下、岩渕):前作である「ずっとマイペース」からの3作連続配信をするなかで、良い曲ができたから、できた順に聴いてもらおうと思いまして。自分たちが変わっていく過程をいち早く届けたかったからです。
ーーこの連続配信の3曲、作曲されたメンバーが全曲違いますが、どのような制作工程で進めているのか教えてください。
岩渕:ある程度形になったものをメンバーが個人で作ってそこから築いていく場合もあるし、4人で「ここはこうしよう」と意見を出し合いながら作ることもありますね。
ーーなるほど。では、今作を制作するにあたって、何か裏話や制作秘話などがありますか?
岩渕:表話ならあるんですけどね……、裏は難しいっすね(笑)。
浪越康平(以下、浪越):あ、じゃあ話していいですか(笑)。まず最初にできたのが「ずっとマイペース」だったんですけど、この曲を作った時のコンセプトが“一つのループで踊れるリズム”だったんですけど、この曲ができたことで、こういう方向でアルバム全体を仕上げていこうってなりました。その次に作ったのが「HEAT ADDICTION 〜灼熱中毒〜」なんですけど、あまりギターが鳴っていない曲なので、ギタリストとしてどうしたらいいのかをメンバーで話し合って作りました。ループミュージックの中で、できることを見つけるのがすごく大変でしたね。
岩渕:「HEAT ADDICTION〜灼熱中毒〜」は歌詞が全然決まらなくて。語感を大事にしつつも、ラップとしての面白さがあって、でも夏の曲として意味が通るものを作るというのは、自分なりに難しかったです。今まで歌詞を書くときは意味を先行して考えて作ることが多かったんですけど、今回のアルバムの収録曲は全て語感先行というか、発したときに気持ちの良い言葉を意識して選びました。この曲だけでも100回くらい書き直したんじゃないかな、いろいろな角度からやって。でも最終的にできた歌詞は、ラップとしても言いやすいし意味も通る、そんな歌詞になったと思います。M1の「Dive To Mars」は浪越が作った曲なんですけど、ギターを思いっきり弾き殴っている曲の中に僕がラップを入れて、お互いの趣味が混ざり合うような曲になりました。
ーーみなさんの趣味が楽曲にも投影されているということですよね。
岩渕:そうですね。M7の「GINGAKEI」も思いっきりタノの趣味というか。好きなものが詰め込まれている楽曲に仕上がってます。
ーー今作のなかでもお気に入りの曲を教えてください。
岩渕:僕としては「Dive To Mars」はこの作品の顔となる楽曲だし、聴いてほしいです。ロックバンドの中でラップやヒップホップもやるという部分にはこだわりを持ってますし、自分が好きな日本語ラップの誇りというか、その感覚をすごく入れてるから。そういう意味で好きなところをいっぱい詰め込んだ曲なので。メッセージとしても、“火星に飛び込め”っていうのは、知らない所に飛び込もうぜって意味を込めていて。今の自分らの凝り固まった感じとか、ジャンルの壁とかを全部取っ払って、見たことないものを見に行こうって。そういうメッセージも含めて聴いてほしい曲です。
タノ アキヒコ(以下、タノ):僕は最後に収録されてる「GINGAKEI」ですかね。先ほど岩渕が話していたように自分が作りたかったタイプの曲がやっと作れたって思えた曲だったので。バンドサウンドからは離れている曲ではあるんですけど、これをバンドとして鳴らせるバンドで良かったって、改めて思えた楽曲です。
田村夢希(以下、田村):僕は「エイリアン」ですね。「目立ちたくないMIND」と「エイリアン」が、今作の中ではバンドテイストの曲になっていて。「エイリアン」がそもそも好きっていうのもあるんですけど、パノラマパナマタウンとしての衝動もレコーディングしたときに感じていて、聴いても良い出来だなって思って。だから好きですね。
浪越:僕も岩渕と被っちゃうんですけど「Dive To Mars」ですかね。音楽をやるにあたって一番追求しているというか……僕はほぼサウンドにしかこだわりは無いんですけど。自分が聴きたいなと思う曲が、ファンキーだけどちゃんと現代的でロックでグルービーで……っていうものなので、それが自分で作れたなって思ってます。とても嬉しいので、この気持ちを共有してもらいたいです。