パノラマパナマタウン、なぜ走る? 「めちゃめちゃ生きてる」MV撮影から見えた“情熱とユーモア”

PPT「めちゃめちゃ生きてる」MV撮影に密着

 パノラマパナマタウンがバンド初のフルアルバム『情熱とユーモア』を2月13日にリリース。オルタナティブ、インディロック、ポストパンク、ヒップホップなどの要素を曲ごとにオリジナルなバランスで配合し、バンドが掲げてきたテーマをそのままタイトルに冠した同アルバムには、彼らの強い意志が凝縮されている。2018年12月末には、収録曲から、透過LEDモニターを日本のバンドで初めて使用し、撮影した「Top of the Head」のMVを公開。そんな中、リアルサウンドでは、続く同アルバムの収録曲「めちゃめちゃ生きてる」のMV撮影現場に密着した。これまでの情熱的な演奏シーンを主としていたパノラマパナマタウンのMVとは対照を成す「めちゃめちゃ生きてる」のMVのテーマや、曲が意図するものをどう映像に落とし込んでいったのかなど、その様子をメンバーをはじめ、監督の南虎我氏や彼らが所属するレーベル<A-Sketch>の小林聡里氏のコメントも交えて、今回のMVの魅力とともに伝えていきたい。

パノラマパナマタウン「めちゃめちゃ生きてる」Music Video

 「『情熱とユーモア』は、自分の人生とバンドのテーマでもあって、何かを表現したいという熱さと、言葉を変えて自分らしく表現するユーモアの両方がバンドには必要だと思っていて。今回の作品もロックバンドっぽい情熱とヒップホップっぽい言葉遊びの両方を詰めた作品になったので、『情熱とユーモア』と名付けました。その中でも『めちゃめちゃ生きてる』は、自分たちの中でも一番できたというか、確信がつかめた曲です」(岩渕想太・Vo/Gt)。「パノラマパナマタウンそのものって感じの曲ですね。めちゃめちゃ生きてるし、めちゃめちゃやりたいことを全部やるために僕たちは生きてる」(タノ アキヒコ・Ba)。ポジティブもネガティブも、どうにもならない悲しみや、普遍的な温かみも……それらのすべてをぶち込んだラップで、どの感情も〈めちゃめちゃ生きてる〉と肯定。浪越康平(Gt)のソリッドなカッティングとリフ、ポストパンクのサウンドとヒップホップのリズムを叩き出すタノと田村夢希(Dr)のアレンジが冴える。サビのメロディに乗る〈希望は語るためのもの〉〈ドギマギしてる間に死んじまいそうさ〉〈涙も笑顔も俺のもんだから〉で、これまでじわじわと膨張させてきた熱い思いと興奮を解放させる構成も、さらに心拍数を上げてくれる。

(左から)浪越康平、岩渕想太、タノ アキヒコ、田村夢希

 完成したMVもまた、見ている自分も息が上がりそうなほど、まさに走りっぱなしな映像に仕上がっている。けが人が出なかったのが不思議なほどの疾走感に引きずり込まれる。今回のMVはバンド初のドラマ仕立て。メンバーと担当ディレクターである小林氏の最初の話し合いでは、「演奏シーン以外でメンバーをフィーチャーすることを意図した、バンドとしての一つの試みとなる作品にしたい。ハードボイルド寄りのユーモアという意味では、『トレインスポッティング』や『ラン・ローラ・ラン』をイメージさせるような勢いのある映像に仕上げたい」というイメージから今回の構想がスタートしたという。その演出を提案した南監督は自身も俳優である新進気鋭のアーティストで、最近ではさなり「Prince」や堂村璃羽×Yuto.com TM「Ambitious」など、ラッパーのMV作品を手がけ、頭角を現している。「今までパノラマパナマタウンは基本的に演奏シーンのMVばかりだったので、同じことをやっても自分的にもバンド的にも面白くないなと思い、ストーリー仕立てにしたいというお話をしました。そこは岩渕さんとも共通したところですね」(南)。

南虎我監督、岩渕想太

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