増子直純に聞く、怒髪天が結成から35年続く理由 「“楽しい”っていうことに尽きる」

増子直純に聞く、怒髪天が結成から35年続く理由 「“楽しい”っていうことに尽きる」

 今年2019年に結成35周年を迎えた怒髪天が、35周年記念盤『怒髪天』を10月16日にリリースした。怒髪天の一大アンセム「オトナノススメ」をトリビュートした「オトナノススメ~35th 愛されSP~」は、ドラマー6名、ベーシスト6名、ギタリスト13名、ボーカリスト&コーラスあわせて総勢220名が参加。バンドマン、ミュージシャンはもちろん、芸能各界からの錚々たる面子は幅広い人望と熱い信頼を寄せてきた怒髪天にしか為し得ない業。彼らがこんなにも広く長く愛される理由はなんなのだろうか。あらためてその魅力に迫るべく、バンド活動のみならず舞台など、俳優としても活躍の場を広げ、先頃はNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)』の出演も発表された増子直純(Vo)にとことん話を聞いた。(冬将軍)

「オトナノススメ~35th 愛されSP~」は“ラブレターの返事をもらった気分”

ーーとんでもないトリビュートが出来ましたね。

怒髪天、もっと!もっと!愛されたくて35年。トリビュート「オトナノススメ~35th 愛されSP~」Music Video

増子:「他人のふんどしで相撲を取る」っていう、我々の35周年を他人様にお祝いしてもらう、愛情を示してもらおうっていうところから始まったんだよね。

ーー2009年の25周年のときは、増子さんが声掛けしてライブ『オールスター男呼唄 秋の大感謝祭 -愛されたくて…四半世紀-』を開催したわけですが、それを踏まえて今回があるという形でしょうか?

増子:そうね、今はなきSHIBUYA-AXでね。みんなに声掛けて、シャッフルしてバンドを組んでもらって、我々の曲をカバーしてもらうトリビュートライブをやったんだけど。権利関係もあって音源を残せなかったんだよ。だから、今回は音源を残したかった。ただ、みんながよくやってるような、それぞれ1曲ずつ参加するトリビュートアルバムって、レコード会社の関係だったり、結構制約があるんだよね。じゃあ、「We Are The World」方式にすればいいんじゃないかって始めたわけだけど、こんな大袈裟なものになるとは思ってなかった。豪華すぎて“生前葬”って言われてる(笑)。

ーーこの企画が最初に発表されたときは、ここまでの人数ではなかったですよね。

増子:最初はわりと軽い気持ちでね、「歌だけ」というところから始まって、せっかくなら「ギターも呼ぼうか」という話になり、ここまできたら「全部任せてみるか」ということになった。みんな断らないでくれたから予想以上に集まってさ。でも、呼べなかった人もいるし、いまだに「なんで呼んでくれなかったんですか?!」っていうメールがくるよ。ありがたいけど、さすがにもう無理だよ(笑)。

ーー今回も直接オファーをかけた形ですか?

増子:そう。ホント、うれしいよねぇ。我々が愛してやまない人たちに声を掛けたわけだからさ。ラブレターの返事をもらった気分だよ。

ーー6月に行われた『大怒髪展』のときに、まだ未完成でしたがお客さんと一緒にはじめて視聴しましたよね。

増子:あのときはまだ7割くらいだったよね。メンバーは一切スタジオに行っちゃダメだと言われていて、レコーディングに立ち会わせてもらえなかったから、余計に感動したよ。MV、完成してからうれしくて何回も見たんだけど、自分たちが一切出てこないないことに気づいたんだよ。最後に「ありがとうございました!」くらいあってもよかったね。コロッと忘れてたなぁ(笑)。

ーーそれも怒髪天らしいところで(笑)。パートの割り振りなどはどうやって決めたのですか?

増子:あらかじめディレクターに「この人にはここを歌ってもらいたい、ここ弾いてもらいたい」って、メンバーがそれぞれのパートを選んで設計図だけ渡してさ。実際に録る時も、俺が歌ってるヤツを手本にすると癖がついちゃうから、ちゃんと音源を作ってもらって、仮歌の人に歌ってもらったんだよ。だから先入観なく、みんなそれぞれの色を出しやすかったと思う。だけど俺、キーが高いから。男性ボーカル陣は、自分の得意なキーよりも頑張って歌ってる感があって、そこは余計にグッとくるね。

ーーみなさん、意外と普段聴き慣れないキーで歌ってるのが新鮮でした。

増子:俺は声質的に、そんなに高く聴こえないでしょ。でも実は結構高いんだよ。二井原(実/LOUDNESS)さんにも「俺とキー変わらないね」と言われたからさ。俺、本当はメタルのボーカリストなんだよ(笑)。

ーー(笑)。歌だけでなく、演奏も聴きどころ満載ですね。

増子:ドアタマのセイジ(ギターウルフ)さん、あれ、ウチのギターを使ってるんだよ。だけど、やっぱりギターウルフの音がするんだよねぇ。やっぱ機材じゃねぇんだなって。そういうアクの強さばっかり集まってる。

ーー各楽器をフィーチャーしたバージョンも収録されています。

増子:演奏がえげつないから、いろんなバージョンを入れた。バンドをやってる人、楽器をやってる人、みんなに聴いて欲しいな。リードギターのリレーなんて、夢のような企画だよ。ドラムやベースだって、普通はそんなに前に出てこないのに、短いセクションの中でみんな爪痕残そうとしてるから、グイグイきてるよ。

ーー現在の日本のロックシーンの縮図がここにあるように感じました。怒髪天を中心に40〜50代のロックンローラーが集結している。これは「ロック=若者の音楽」とされていた80年代には考えられなかったことだと思うんです。

増子:俺らが若い頃は、30歳過ぎてロックバンドやってるヤツらなんていなかったよね。欧米見るとおっさんたちがバンドやっていて、羨ましいなと思っていたんだけど。やっと日本もそうなってきたんだなって思うよ。俺と同じ1966年生まれの仲間もたくさん参加してくれたからうれしいね。(斉藤)和義くんや、田島(貴男/ORIGINAL LOVE)くんも、スガ(シカオ)くんもそうだし、(渡辺)美里ちゃんも、トータス(松本/ウルフルズ)もそうだよね。

怒髪天トリビュート「オトナノススメ~35th 愛されSP~ THE MOVIE」【期間限定】

ーーともに日本のロックシーンを作ってきた仲間ですね。

増子:逆にいえばこれ、若者がほぼいないから。(スマイリー)原島さんがね、「水族館の淡水魚のコーナーみたい」って。「地味な川魚がこんなにデカくなるのかよ!」って感じだよね(笑)。熱帯魚いないもんなぁ。まぁ、なかなかシブいのができたよ。

ーーオファーを断られるんじゃないかと思った方はいましたか?

増子:チバ(ユウスケ)はね、ウチのマネージャーに「こういうのに参加してるの見たことないから、たぶん無理ですよ」と言われて、そうだよなぁと思いつつ、スタジオでたまたま会ったときに話したら、「あー、キュウ(クハラカズユキ)が叩いたやつ? いいよ、やるやる」って2つ返事で応えてくれたからね。チバのOK出たときに、この企画は勝ったなと思ったね。あの声でこれ歌うんだからさ。それと、吉川(晃司)さんだね。吉川さんはずっと一匹狼でやってきて、他人とつるんだりするタイプじゃないんだけど「他のヤツだったら断るけど、怒髪天だったらやる」って言ってくれてね。「オトナノススメ」を気に入ってくれていて「アタマの歌詞すごくいいよね」って言ってくれたから、ここは絶対吉川さんに歌ってもらおうと思ってさ。うれしかったねぇ。

ーー歌い出しが吉川さんっていうのは、意表を突かれてものすごくインパクトありました。

増子:「ここから始まるの?!」って思うよね。インパクトでいえば、(山本)譲二さんね。ここだけなんかバラエティ番組っぽくなってる。すごい贅沢に使わせてもらってるよね。

ーー柴山俊之さんや仲野茂さんといった、レジェンドもいらっしゃって。

増子:柴山さん、出てきた時のインパクトがただごとじゃない(笑)。茂さんや木村(充揮)さん、レジェンドの大御所を一瞬しか使ってない(笑)。

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