UVERworld『約束のネバーランド』OP曲はなぜ心を奮わせる? アニメと相乗効果生む楽曲の特性
2018年7月にメンバー&ファンセレクトによる楽曲をまとめたベストアルバム『ALL TIME BEST』を発表し、それまでのキャリアを総括してみせたUVERworld。その後も活動の手を緩めることはなく、夏には全26公演に及ぶツアー『UVERworld LIVE TOUR 2018』を行う傍ら数々の大型フェスに出演、11月には海外のクリエイターとのコーライティング曲「EDENへ」を含む両A面シングル『GOOD and EVIL / EDENへ』をリリースし、そのタイミングに合わせてアリーナツアー『UVERworld ARENA TOUR 2018』も開催するなど、驚くべきアクティブさでもって自らの音楽性を研磨・更新し続けてきた。そんな彼らが、2019年最初の新曲として届けてくれたのが、TVアニメ『約束のネバーランド』(フジテレビほか)のオープニングテーマとしてオンエア中の「Touch off」だ。
『約束のネバーランド』は、週刊少年ジャンプで連載中の原作・白井カイウ、作画・出水ぽすかによる漫画で、“孤児院”と呼ばれるハウスを舞台に、“鬼”の食用として育てられていることを知らない子どもたちが、その事実にあるきっかけで気づき、生き残るために脱獄を計画する、サスペンス&サバイバル要素の強いダークファンタジー作品。原作コミックスは累計発行部数は全世界870万部を突破(2018年12月時点)、『このマンガがすごい!2018』オトコ編第1位を獲得するほどの人気作になっている。それだけにアニメ化が発表された際の反響も大きく、誰がテーマソングを担当するかにも注目が集まったわけだが、ここでアニメタイアップにも定評のあるUVERworldがオープニングに抜擢されたことは、多くの人にとって納得のいく人選だったのではないだろうか。
UVERworldと言えば、2005年に1stシングル『D-tecnoLife』でメジャーデビューしたことで知られるが、そもそもこの曲自体がTVアニメ『BLEACH』の第2期オープニングテーマだったことからもわかる通り、彼らの楽曲は少年マンガ原作のアニメ作品との相性がすこぶる良いのだ。
その理由はいくつかあるのだが、まずひとつめに挙げたいのが、ダイナミックかつ独自のミクスチャー感覚を有したその音楽性。おそらくLinkin ParkやLimp Bizkit辺りのニューメタル的なサウンドを音楽的ルーツに持つであろう、ラップやエレクトロニクスの要素とオルタナティブなロックとの融合という手法を軸足としつつ、日本人の琴線に刺さるエモいメロディと大胆かつメリハリの効いた曲展開という個性を加えることで、他に類を見ないドラマチックかつ熱い楽曲に仕立てるのが、彼らのサウンドの特徴だ。
その作風は、いわゆる少年マンガ的な〈友情・努力・勝利〉というテーマにフィットするものだし、特にシーンの転換が多用されるオープニングアニメーションにおいて非常に映えることは、例えば件の「D-tecnoLife」が使われた『BLEACH』のオープニングアニメを観てもらえばすぐにわかってもらえるはずだ(頭サビの静かなトーンと背中合わせに佇む一護とルキア→バンドの演奏と同時にロゴがカットイン→ヒップホップ風のSEに合わせて次々と切り替わるキャラクター→爽快なAメロ部分と空をバックに風を浴びる一護ら4人……など音と絵のマッチングが完璧すぎ!)。
そして何より強調しておきたいのが、フロントマンのTAKUYA∞(Vo)が書く歌詞のメッセージ性とのハマりの良さ。彼はデビュー時から一貫して“自分らしく生きること”や“自分自身に限界を設けないこと”の大切さを強く訴え、それを抑えつけようとしたり、頭ごなしに否定しようとする“大人たち”に対してNOを突きつけてきた。そういった聴き手の心を鼓舞し、それぞれの思う道に進めるよう背中をバンと押してくれる心強い言葉は、多くの少年マンガが内包するテーマ性とシンクロするものでもある。