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浜田麻里はパワーアップし続けるーーバンドメンバーと“現在形”示した『Gracia』Zepp Tokyo公演

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 浜田麻里の最新アルバム『Gracia』の全国ツアー『The 35th Anniversary Tour 2018 “Gracia”』も中盤の山場。東京Zepp Tokyoでのライブである。スタンディングが基本のこの会場には珍しく1Fフロアにも座席が敷き詰められ、ファンの年齢層に配慮した様子がうかがえたが、ライブの中身は凄まじいの一言だった。私が浜田のライブを見たのはかなり久しぶりのことだったが、その声も歌もパフォーマンスも、まったく衰えていない。それどころかさらにパワーアップしているのではないかと思わせたのである。

 ライブは『Gracia』のオープニングナンバー「Black Rain」でスタート。アルバムでも一際強烈な印象を与えるテクニカルなスピードメタルだが、ライブで体感するとなお強力。ギタリストISAOのタッピングを多用したプレイが鮮烈だ。アルバムの世界観を凝縮したような曲であり、浜田の現在形を象徴する楽曲でもある。続いて同作の2曲目「Disruptor」がプレイされ、『Gracia』からは結局全曲が演奏された。浜田がこのツアーで何を表現したかったのかよくわかる。全22曲中19曲が2000年代以降の曲で、90年代以前の曲でこの日演奏されたのは3曲だけ。その3曲も、この並びで聴くといささかノスタルジックに聞こえてしまう瞬間もあり、これはとりもなおさず、浜田が過去のヒット曲に頼るようなボーカリストではなく、完全に現役の、現在進行形のアーティストであることを示している。彼女の最大のヒット曲「Return To Myself」(1989年)もアンコールで演奏されたが、よりわけその曲だけ客席の反応がいいわけでもなく、つまり観客の側も彼女の意図と現在形を理解し共有しているということだろう。理想的な状態である。

 とりわけ強烈な印象を与えたのは今回からツアーバンドに加わった新しいメンバー、ISAO(Gt)、BOH(Ba)、原澤秀樹(Dr)だ。そのテクニカルかつパワフルなプレイは、(ISAOの見た目も含めて)バンド全体を若々しく活性化しているはず。この若いエネルギーと高いテクニックが『Gracia』の世界を表すのに必要だと判断したからこそ、浜田はバンドを改組したのだ。「Disruptor」はISAO作曲の変拍子を多用した極度にテクニカルな楽曲だが、それを苦もなくパワフルなライブナンバーに仕上げるBOHと原澤のリズム隊は凄まじい力量だ。特に原澤のプレイはバンド全体の勢いをさらに加速している感があり、現在のツアーバンドの核になっているような印象さえあった。

 そしてそんな鉄壁なバンドに支えられた浜田は、当初少し声が枯れている印象もあったが、ライブが進むにつれどんどん喉のコンディションが良くなっていて、声も出るようになっていったのは驚いた。喉が強いのだろう。ヘヴィメタリックな曲でのハイトーンのシャウトの快感は浜田ならではだが、それだけではく、バラードでの説得力も圧倒的だ。それも「味わい」とか「円熟」とか「情緒」とか「表現力」なんて安易なタームに逃げ込まない、逃げ込む必要のない、とんでもないスキルの高さが、その説得力を担保している。それが浜田の凄さなのである。また、レコードでは何度も浜田自身でオーバーダブされ複雑な表情を描くボーカルアレンジをライブで再現するために、浜田の妹のERIのバッキングボーカルは欠かせないピースだ。

      

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