浜田麻里はパワーアップし続けるーーバンドメンバーと“現在形”示した『Gracia』Zepp Tokyo公演
いちいち見所を挙げていけばキリがない。2度の衣装替えで、最初はゴージャスでエレガントなドレス姿だったのが、最後はTシャツに短パン姿と、どんどんカジュアルになっていったのは面白かったが、それは緊張から解放というこの日のライブのテーマのひとつ(と私が感じた)に見合っている。アンコールも含め2時間半の長丁場だったが、まったくそれと感じさせなかった。これほど密度の濃いライブは珍しい。
ライブを見るうち、いろんな妄想が湧いてくる。これほどのスキルと声の美しさ、可憐さと強さがあれば、どんな音楽スタイルであっても自分のものにしてしまうだろう。様々なプロデューサーやソングライターが用意した多様なトラックをバックに歌手としての可能性に挑戦する。そんな企画が実現したら面白い。そんなことも思った。
そして2度目のアンコールの前に、2019年4月に武道館公演が決定したことが浜田自身の口からアナウンスされ、会場が沸く。リアルサウンドのインタビューでは「なんとか武道館公演を実現したい」と語っていたが、それがめでたく叶った形だ。デビュー35周年イヤーの最後を飾る、26年ぶりの武道館公演。良いライブになるのはわかりきっている。こちらの期待をはるかに上回るような、35年の集大成ではなく現在の浜田が達した高みをとことん見せつけるような、そんなライブが展開されるはずだ。
■小野島大
音楽評論家。 『ミュージック・マガジン』『ロッキング・オン』『ロッキング・オン・ジャパン』『MUSICA』『ナタリー』『週刊SPA』『CDジャーナル』などに執筆。Real Soundにて新譜キュレーション記事を連載中。facebook/Twitter
■ライブ情報
『The 35th Anniversary Tour “Gracia” 日本武道館公演』
日時:2019年4月19日(金)
会場:日本武道館
開場17:30/開演18:30
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