浜田麻里は『LOUD PARK』でどう評価されたか さらなる高みを目指すボーカリストの現在地

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©LOUD PARK All Rights Reserved

 今年で開催10回目を迎えたヘヴィメタルの祭典『LOUD PARK』に浜田麻里が初出演を果たした。10月10、11日の2日間に渡り、さいたまスーパーアリーナで行われた今年の『LOUD PARK』は、2006年の初年度と同じくSLAYER、MEGADETHがヘッドライナーを務めるというアニバーサリー的内容。このほかにもARCH ENEMYやHELLOWEEN、DRAGONFORCE、CHILDREN OF BODOMなど日本で人気のバンドからCARCASS、NAPALM DEATH、OBITUARY、ABBATHなどデスメタル/ブラックメタル/グラインドコア勢まで“メタル”を軸に、実に幅広いメンツが一堂に会した。ここ日本からも浜田に加えSOLDIER OF FORTUNE feat. Mike Vescera(実質的な第2期LOUDNESS)、ANTHEM、OUTRAGE、UNITED、GALNERYUSなどが出演し、海外勢に負けじと好演を繰り広げた。

 80年代こそロックイベントに出演した経験がある浜田だが、ロックフェスが本格化した90年代末以降、彼女が初めてフェスに出演したのは昨年の『SUMMER SONIC 2014』が初めて。その際にはロック/メタル色の強いセットリストとデビュー以降30数年を経てもまったく衰えを見せない圧倒的な歌唱力で、会場を訪れた一見の観客さえも魅了したことは記憶に新しい。

 そんな彼女がついにメタル系フェスに進出。思えば樋口宗孝(LOUDNESS)のサウンドプロデュースでデビューし、HR/HM系ミュージシャンと所縁が深かった浜田だけに、初期から彼女を応援しているファンにとっては感慨深いものがあるのではないだろうか。特に近作ではハードでヘヴィな楽曲が増えていることもあり、そういったサウンド含め彼女のライブがコアなメタルファンからどのように評価されるのか、筆者はその目で確かめるべく会場へと向かった。

 浜田のライブは11:45からと、かなり早い時間帯。メインとなる大きなステージが横並びで2つ並ぶという構成は例年通りで、浜田はこのうちの1つである「BIG ROCK STAGE」でライブを行う。直前まで隣の「ULTIMATE STAGE」では元ARCH ENEMYのギタリスト、クリストファー・アモット率いるARMAGEDDONがモダンなメロディックデスメタルを爆音で鳴らし続ける中、「BIG ROCK STAGE」には徐々に観客が集まり始めていた。そしてARMAGEDDONのステージが終わるとともに、その観客の流れが急に大きく動き始める。とても午前中とは思えないほどの客足だ。サウンドチェックの時点で、コーラスのハイトーンボイスが聞こえただけで客席からは歓声が沸く。

 数分の転換を経て会場が暗転すると、場内からは歓声が沸き起こる。アリーナ前方には熱狂的なファンが構えているようだが、後方には微動だにしない観客……いわゆる「様子見」のメタルファンが大挙していたのだ。ある意味アウェーと言えるかもしれないこの状況の中、ステージにはバンドメンバーが登場。宮脇JOE知史が繰り出すドラムのビートに合わせて観客がハンドクラップを始めると、バンドはオーバーチュアを奏で始める。会場が徐々に温まり出したところで、 黒と赤を基調にした衣装を身にまとった浜田が登場。1曲目は昨年のサマソニ同様「Fantasia」だ。冒頭から伸びやかな高音を会場に響かせる浜田に観客は釘付けになり、そのままバンドと一丸となって激しい歌と演奏を繰り出すと、ライブはこの日最初のピークを迎えた。クラシカルな要素を取り入れたこの曲は会場のメタルファンにも好意的に受け入れられ、場内は熱を帯びていく。アリーナ後方の観客のノリは始まる前と変わらぬ様子だが、単なる棒立ちというよりはその圧倒的な歌と演奏にじっくり聴き入っていると表現するほうが正しいのかもしれない。

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