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乃木坂46、『美少女戦士セーラームーン』ミュージカルに吹かせた新風 画期的な演出方法を振り返る

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 6月に上演された乃木坂46版ミュージカル『美少女戦士セーラームーン』(東京・天王洲銀河劇場)は、重厚な歴史を持つ『セーラームーン』のミュージカルのあゆみに、独特の仕方で新しい一歩を加えるものだった。

 もとより、『セーラームーン』ミュージカルの再構築、それも乃木坂46というグループの新規参入によってあらたに成立させることは、決して容易な試みではない。

 マンガやアニメーションなどの2次元コンテンツに原作をもつ舞台演劇をさす2.5次元舞台(2.5次元ミュージカル)という言葉は、2000~2010年代に新興ジャンルとして広く流通するようになった。「セラミュー」ないし「セラミュ」の略称で知られるミュージカル版『セーラームーン』も、通常そのひとつとして認識される。

 しかし、セラミューは2.5次元舞台というジャンルの定着よりはるかに先んじて、1990年代からバンダイ主催のもと舞台化が続けられ、近年はキャスト編成などがアップデートされつつネルケプランニングが継承して上演されるようになった。他方で、今日2.5次元舞台が論じられる際、代表的な作品群として認識されるのは、若手の男性キャストによる群像劇のミュージカルであり、セラミューはそれらとはやや別の場所で歴史を育んでいる。セラミューはこのジャンルの礎にはなりつつも、2010年代の2.5次元舞台のメインストリームとはやや異なる独自の立ち位置にある。もちろん、バンダイ版とネルケ版それぞれの上演の性格も一枚岩ではない。新基軸によるセラミューの再構築は、その独自の歴史と立ち位置をいかに引き受けるかという課題に対峙することでもある。

 さらに、3次元のアイドルというジャンルはしばしば、「畑違い」による侵犯のようなものとして、2次元ジャンルのコンテンツの消費者から警戒されがちでもある。これはアイドルというジャンルそのもののパブリックイメージに負うところも大きいが、ともかくそうした必ずしもポジティブでない前提がはらむ困難は小さくない。乃木坂46版セラミューは、それらまでを含んだ視線をどのように超えてゆくかが問われるものにもなる。だからこそ、乃木坂46によるセラミューはその見かけ以上にチャレンジングなものだった。

      

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