21stシングル『ジコチューで行こう!』インタビュー
乃木坂46 星野みなみ&若月佑美 1期生コンビが語る、7年目突入したグループの勢いと未来
乃木坂46が8月8日に21stシングル『ジコチューで行こう!』をリリースした。
7月6から8日に明治神宮野球場と秩父宮ラグビー場を使って開催された『真夏の全国ツアー2018 ~6th YEAR BIRTHDAY LIVE〜』でも披露されていたシングル表題曲は、前作「シンクロニシティ」でみせた表現から趣きを大きく変え、ポップな夏曲に振り切ったものになっている。2会場での同時開催という巨大ライブでグループの勢いを知らしめた乃木坂46は、今回のシングルや開催中の全国ツアーでどんな景色を描こうとしているのか。1期生メンバーの星野みなみと若月佑美に、7年目に入ったグループの現在地を聞いた。(香月孝史)
星野「今までのバースデーライブの形が覆った」
――『真夏の全国ツアー2018 ~6th YEAR BIRTHDAY LIVE〜』から、今年の全国ツアーが始まりました。バースデーライブを兼ねた今回のライブは明治神宮野球場と秩父宮ラグビー場の2会場を使ったシンクロニシティライブという試みを行ないましたが、両会場を何度も移動しながらのパフォーマンスはどんな体験でしたか?
星野みなみ(以下、星野):めっちゃ大変でした。二つの会場を移動しながらになるので休憩時間がまったくなくて。移動している最中も歌っていたので、いつものライブよりハードだった感じもします。
若月佑美(以下、若月):トライアスロンじゃないですけど(笑)、ひとつの競技みたいな感じでした。2つの会場を行ったり戻ったりしなければいけないので、リハーサルもセットリストの順番通りではなくて。秩父宮にいるうちに秩父宮でやる楽曲のブロックをまとめてリハーサルして、そのあと神宮に移動して……という流れだったので、セットリストすべてを通すのは本番ぶっつけのような感じでした。
星野:今回は2会場それぞれのセットの作りも違うしね。それとメンバーが2つの会場に分かれるので、ファンの方々にしてみたら自分のいる会場に推しのメンバーがあまりいなかったりするじゃないですか。だから、その時間も私たちが楽しませようって気合が入りました。
――ファンにとって“推しが目の前にいない時間”があるのは気になりますか?
若月:若干なるよね。
星野:私のお母さんも「みいちゃん来ないなあってずっと待ってたよ」とか言ってて(笑)。でも逆に、いつもは推しの子しか見ていなかったのが、そういう時間に違うメンバーのことも気になってくれていたら嬉しいですね。
若月:毎回、コール&レスポンスをして盛り上がってくださるおかげでひとつのライブが出来上がるんですけど、今回はきっと今まで以上に助けてもらった。みなみが言っていた通り、推しがいない間も楽しんでくださったり、2つの会場を中継でつないでMCをするときは、映像を通じて会話やコール&レスポンスをしてくれる。本当にファンの方に感謝しないといけないなと思いましたね。
――セットリストもこれまでのバースデーライブのように持ち曲すべてを披露するという縛りをなくして、シングル表題曲の割合が多い構成になっていました。
星野:バースデーライブだからデビュー曲から順番に全曲やるんだろう、というのが覆りましたよね。毎年決まったことをやるのも大事だけど、新しい形もすごく新鮮さがあって、“ライブ”という感じも強く出せてよかったなと思います。
――ライブの構成が大きく変わったのは、グループの世間的な知名度も上がって、より広い層の人たちに届けるためのライブになったということでもあるのかなと思いました。
星野:これまではチケットが手に入らなかった方とか、気になってたけどライブには来たことがなかった方、最近気になってきたという方も含めて、今まで以上に来られる人数が多かったんです。それを思うと、ちゃんとした姿を見せないとって考えますね。それに客席を見ていて、いろんな層の人が来てくれていたのも嬉しかったです。各地方でのツアーもそうですけど、あんなに会場が大きいのにたくさんの人が来てくれる。いまだに「すごいなあ」ってちょっと客観視しちゃう部分があります。
若月:昨年末にレコード大賞をいただいたり、『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)に出させていただいたりして、ちょっとだけ世間の方にも認知してもらえたかなという印象で去年を終えたあと、今年に入って大きな会場でライブをするのはバースデーライブが初めてだったんですよね。なので、ここであらためて名刺を見せるじゃないですけど、「乃木坂46ってこういう感じなんです」と提示できた手応えはありました。それから、ライブ中に静かに聴いている方も意外と多くて、それが逆に嬉しかったです。どこで誰の名前をコールするか分かっている方や、ペンライトの色をすばやく変えてくれる方がすごく私たちの支えになってるんですけど、そうしたファンの方々の周りにあるもう一つ大きな円というか、新たに乃木坂46に興味がわいて来てくれた方々がいるんだなと感じて。
――興味の持ち方も楽しむ方法も、お客さん全員が同じではないですからね。
若月:そうですね。好きなメンバーや曲などがきっかけで観に来てくれた方々が、今度はライブでの一体感も面白いなと思ってもらえたらいいですよね。
――今回、バースデーライブの印象として興味深かったのは「制服のマネキン」の進化だったんです。乃木坂46がデビューから一年も経たない頃に作られた楽曲ですが、今ではセンターだった生駒里奈さんも卒業し、グループは7年目に入って当時よりもはるかに成長しています。かつてと同じ楽曲ではありつつも、現在の乃木坂46の成熟度をもとに新しい表現を作っているように見えました。パフォーマンスする側の意識としてはいかがでしょう?
星野:やっぱり「制服のマネキン」を好きな人は多いから、最初のうちはそれを崩しちゃうのはどうなんだろうとも思いました。じゃあ生駒ちゃんがいなくなってからどうなるのかなと思っていたら、今回はダンス色が強くなっていて。初めて観に来てくれた方はライブバージョンのものとして楽しんでもらえたらいいし、今までいっぱい見てきてくれた方々も、いつもと違う「制服のマネキン」もいいなって思ってもらえてたら嬉しいですね。いろいろ挑戦しないといけないとはすごく感じるんです。大きい挑戦ではあったけど、いいチャレンジだったなと思います。
――楽曲がリリースされた当時のオリジナルと現在のパフォーマンスとの距離感って、若月さんはどう考えていますか?
若月:オリジナルのフォーメーションでダンスをするとき、当時のメンバーがいないポジションがあると、不思議とそこに違和感が生まれてしまうというか。たとえば「制服のマネキン」だったら、センターの生駒がいないですよね。そのときに、そこに誰が入るのかとか、「〇〇が△△の役をやっている」みたいにファンの方々から見えてしまうのは、楽曲を聴いてもらう上でちょっともったいないかなと思っていて。それだったら、もうフォーメーションも違って、誰が何のポジションをやっているかもわからないくらいの方が、すっと曲が入ってくるというか、曲自体を盛り上げてもらえたり楽しんでもらえるのかな、と。今後の課題は、卒業するメンバーがセンターを務めた時の楽曲とかをどう披露していくか。他にもソロの楽曲だったり、二人組ユニットのうち一人がいないというときに、その歌をそのまま披露しなくなるのはちょっともったいない。すごくいい曲ばかりなので、どういった形で今後届けられるかっていうのが課題ですね。
――デビュー当時から現在まで在籍しているメンバーも皆7年目に入って、必然的に成長もしているし進化もしています。表現する側として、かつてとは感じること、考えることも変わっているんじゃないかと思います。
星野:自分たちも変わるしファンの方も変わるだろうから、常に変化してないといけない仕事ではありますよね。うーん、私はあんまり変わってる実感は大きくはないんですけど、以前からのものも大事にしたいなというのは個人的には強いです。それをなくしちゃ元も子もないというか。昔から見てくれてる方から「変わっちゃったね」みたいに言われるのも嫌だし。だから、昔からのものも残しつつ良くなってきた、じゃないといけないなって。でもあんまり器用にもできないので難しいですよね。