Zeebra×鹿野 淳のヒップホップ×ロック対談 Creepy Nutsとの出会いやシーンでの存在感語る

Zeebra×鹿野 淳のヒップホップ×ロック対談 Creepy Nutsとの出会いやシーンでの存在感語る

ヒップホップとロック、フェスやメディアにおける“変化”

ーー鹿野さんにお伺いしたいんですが、プロデュースされている『VIVA LA ROCK』には、SKY-HIやCreepy Nutsを招聘されていましたが、彼らはバンド×ラップという、旧来的なロックリスナーにもフレンドリーな形ではなく、MC×DJというヒップホップの王道であり、ヒップホップでしかありえないスタイルでライブを展開します。そういった存在をロックフェスに招聘した理由は?

鹿野:それは明確な理由があって、僕は「スピリッツとしてのロック」と、「スタイルとしてのロック」、その二つを今は分けて見てもいるんですね。昔はこの二つが重なってる人をロックミュージシャンとして見ていたけど、2000年代の中盤からそれが完全に崩壊したと思っていて。カラオケに行くよりもスタジオに入った方が安上がりだからバンドをやる、楽しくて面白いからバンドをやるっていう人に、ロック的な「カウンター意識」は必要がないし、ロックスピリッツがなくても「いい音楽」が作れるバンドがとにかく増えてきた。その存在をロックじゃないと一掃するのはナンセンスじゃないですか。そういった状況の中で、システムとしてはロックじゃないけどロックスピリッツを持ったアーティストとしてCreepy Nuts、そしてSKY-HIに注目したんです。SKY-HIにはうちの出版社で発行している音楽雑誌『MUSICA』でも表紙をやってもらったんですが、彼はAAAのメンバーというアイドル的な側面を持ちながらも、SKY-HIというラッパーとしてはアンダーグラウンドからの叩き上げで武道館にまで辿り着いて、シーンの中で舐められない存在になった。それは、ここ最近の中では突出した、ロックスピリッツを持ったペルソナだと思うんです。Creepy Nutsにも同じような性質を感じるし、その意味でも『VIVA LA ROCK』に出るべきアーティストだと思っています。遡れば、Zeebraさんにも同じようなスピリッツを感じて、2000年の『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』の初回で、ヘッドライナー前に出ていただいたわけで。

Zeebra:そうだったんですね。

ーーフェスの流れで伺うと、Zeebraさんの主催される『SUMMER BOMB』にも、昨年、一昨年とCreepy Nutsが参加してきました。今年の『SUMMER BOMB』はどのような内容になりそうでしょうか?

Zeebra:今年はメンツがガラッと変わって、20代の、リリースとバズをしっかり作っているアーティストが中心になっていますね。彼らがここでどんなステージを見せてくれるのか楽しみです。ヒップホップも今、オーディエンスの踊り方がモッシュみたいになってるんですよ。

鹿野:そうなんですか。

Zeebra:TRAPの流行以降、本当にそれが顕著になっている。それはアメリカとか日本だけじゃなくて、中国や韓国、世界中でそうなっていると思いますね。だから今年の『SUMMER BOMB』はそういうモッシュ系の発散的なライブになりそうな感じですね。ぶっ壊れてなんぼというか。

鹿野:それも世界的な流れとリンクしているんですね。

Zeebra:海外ではそういったアーティストが、普通にビルボード1位になったりしているし、ポップスの中心なんですよね。

鹿野:僕のような門外漢からすると、日本のヒップホップアーティストが、タトゥーを隠してでも定期的に地上波の音楽番組に出るとか、ある種のスターシステムがあれば、そのカウンターとして、Creepy Nutsはより輝くように見えるのですが。

Zeebra:旧来のメディアとヒップホップの「意識の乖離」は、非常に激しいと思っています。だから、ヒップホップは特に旧来的なメディアには乗りにくいものだし、それよりもAbemaのような新興メディアだったり、SNSのようなメディアの方が相応しいのかなって。マスメディアに出れるなら出た方がいいとは思うけれども、そこで例えば「タトゥーを隠さなきゃいけない」「言葉を変えなきゃいけない」といったように規制されるんだったら、自分たちのメディアなりアピールの仕方で、やりたい放題を見せた方が、結果的に正しい方向に進めるのかなって思いますね。

鹿野:音楽番組に出ることで自分たちの立ち位置を確立する、その出演枠に合わせてシングルをリリースする、そういうバンドって本当にダサいと思うけど、現実問題として、マーケットはマスメディアを需要する層に左右されるし、フェスでの盛り上がりとは違う現場として、紅白やMステがある。でも先ほどZeebraさんが言われたことでいうと、ヒップホップではもはやそこを気にしていないし、別にマーケットがあると認識しているということだと思うんですよね。

Zeebra:今の10~20代は、本当にテレビを見ないんですよ。とにかくテレビじゃなくてYouTube。 テレビで放送されるコンテンツでさえ、YouTubeで探して見るし、そもそもテレビを見る気がない。だから『高ラ選』の放送以降の盛り上がりを考えると、その層を目指すべきだと思うんですよね。確かにテレビに出れるならそれに越したことはないけど、そのために自分の普段とは違う表現をしたり、自分の表現を曲げる必要性はもうないかなって。Creepy NutsやBAD HOPのブレイクには、『(フリースタイル)ダンジョン』という民放放送の効果も大きかったと思う。だけど彼らはダンジョンを卒業して、自分たちの音源に集中するようになっても、さらにその規模を大きく伸ばしてるんですよね。だからあまり心配はしていないですね。

ーーでは最後に、これからのCreepy Nutsに望むことはなんでしょうか。

Zeebra:歌詞の表現力の豊かさ、グループとしてのスタンスの他のグループとの違い、その2点は本当に強みだと思うし、それをどれだけブラッシュアップして、広げていけるかに期待していますね。電気グルーヴみたいに、音楽以外にもどんどん活動のフィールドを広げちゃってもいいと思うし、たまにイメチェンしたりも良いかも。Rがバッサリ髪とヒゲを切ったり、松永が童貞捨てたり(笑)。彼らの根本的なスタンスは簡単に変わるもんじゃないと思うし、変わらないまま太くなっていったら最高だと思いますね。

鹿野:でも松永くんが童貞捨てる瞬間って、今やもう、収まるところに収まる瞬間だと思うんですよ(笑)。だから捨てないで欲しいですね、永遠に。で、彼ら自身がロックマーケットの中でも明確にポジションを作ろうと思ってるから、そのポジションをもっと確かにするためには、もっとキレキレのカッティングエッジな、ロック勢をなぎ倒すようなパフォーマンスだったり、彼らしか歌えない歌詞や、彼らが抱えてるエレジーを、彼らなりのコマーシャルとして表現できるかにかかってると思うんですね。いまの自分たちをさらに狡猾に音楽にしていく、そういった動きに期待し続けます。

(取材・文=高木 “JET” 晋一郎/写真=林直幸)

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■Creepy Nuts情報
アルバム『INDIES COMPLETE』
7月25日(水)発売
<収録曲>
M1.刹那
M2.合法的トビ方ノススメ
M3.みんなちがって、みんないい。
M4.爆ぜろ!! feat. MOP of HEAD
M5.中学12年生
M6.たりないふたり
M7.合法的なトビ方ノススメ (SPARK!!SOUND!!SHOW!!ブチ上げ♂ Cherry boy REMIX!!!!)
M8.助演男優賞
M9.どっち
M10.教祖誕生
M11.朝焼け
M12.未来予想図
M13.助演男優賞 (SPARK!!SOUND!!SHOW!!時として主役を 喰っちまうRemix)
購入はこちら

Creepy Nutsオフィシャルサイト

■Zeebra情報
『SUMMER BOMB 2018 Organized by Zeebra』
8月18日(土)開場・開演12:00
新木場Studio Coast
公式サイト

▼MAIN STAGE
Awich、漢 a.k.a. GAMI、Cz TIGER、SOCKS、JAGGLA、t-Ace、BAD HOP、KEN THE 390、Weny Dacillo、Pablo Blasta、SALU、JP THE WAVY、JIN DOGG、kZm、般若、唾奇、Young Coco、Yo-Sea & More!!

▼MC
Zeebra
LETY(from ex.Def Will)

▼OPENING
DJ CELORY & BULL

▼DANCE AREA
“BREAKIN CREW BATTLE“
JUDGE:BBOY KATSU1 / FLASH / Original B-BOY CHINO
DJ:MAR SKI
MC:105

“HIPHOP DANCE BATTLE”
JUDGE:PInO / STEZO / Yusei
DJ:OBA
MC:HORIE HARUKI

▼DUNGEON STAGE
・Road To Dungeon(「フリースタイルダンジョン」への出場権をかけたMCバトル)
・GUEST LIVE:DOTAMA / TK da 黒ぶち / D.D.S / 黄猿
・バトル解説:DOTAMA / MIRI from RHYMEBREEY(アシスタント)

▼ART AREA
cherry chill willにより写真展を開催

詳しくは公式サイトにて

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