森朋之の「本日、フラゲ日!」vol.105
w-inds.からCRAZYBOY、Red Velvetまで…世界と勝負できるハイクオリティな新作
サッカー日本代表がギリギリでグループリーグを突破し、ワールドカップもいよいよ佳境! というわけで(?)今回は世界と勝負できるクオリティを持ったアーティストとの新作を紹介(すいません、サッカーとは全く関係ありません)。橘慶太のプロデューサーとしての手腕が光るw-inds.のニューアルバム、海外のヒップホップシーンと密につながったゆるふわギャングの新作など、世界中のリスナーに届けたい充実作ばかりです。
シングル曲「Dirty Talk」「Time Has Gone」などを含むw-inds.のニューアルバム『100』。ほぼ全曲の作詞・作曲、トラックプロデュース、ボーカルプロデュースを橘慶太が手がけた本作は、ネオソウル、オルタナR&B、EDM以降のエレクトロサウンドなどを色濃く反映させながら、日本語の響きを活かしたフロウ、メンバーのボーカル、ラップをバランスよく交えることで“世界的トレンドに則したJ-POP”に結びつけている。単なる洋楽のコピーではなく、w-inds.のイメージとスタイルを維持したままで楽曲をアップデートさせ続けている橘のセンスはやはり別格。Spotifyとのコラボによるバイラルキャンペーンが実現したリードトラック「Temporary」が世界的にヒットすることを切に願う。
三代目 J Soul BrothersのELLYのソロプロジェクト・CRAZYBOYからベストアルバム『NEOTOKYO FOREVER』が到着。『NEO TOKYO』EPシリーズから厳選した13曲に新曲6曲を加えた本作は、ヒップホップアーティストとしてのスタンスが強く刻まれている。国内外のトラックメイカーによるドープかつエキゾチックなトラック、濃密にしてスムーズなラップ/フロウ、そして、MVから感じられるラッパーとしての強烈な佇まい。ストリートカルチャーに根差しながら、トラック、サウンドメイクにしっかり時間とバジェットを注ぎ、さらに今市隆二、登坂広臣、EXILE SHOKICHIなどをフィーチャーすることで一般のリスナーにもアピールする彼の姿勢は、日本のヒップホップを世界に接近させることにもつながっている。
ラッパーのRyugo IshidaとNENE、プロデューサーのAutomaticによるプロジェクト、ゆるふわギャングの2ndアルバム『Mars Ice House Ⅱ』。前作『Mars Ice House』以降もワンマンライブの開催や音楽フェス、イベントへの出演、さらにスーパーカーの名曲をサンプルしたシングル『Contains Samples from SUPERCAR』を発表するなど精力的な活動を続けてきたが、Automatic、Estraに加えてカナダのプロデューサー・ライアン・ヘムズワースを迎えロサンゼルスで制作された本作は、アンビエントな色合いを強めたトラックと日本語のリリックが完璧に絡み合う充実作となっている。日本の社会の現状を鋭くえぐり出しながら、海外のシーンともリンクしているゆるふわギャングの存在価値は、このアルバムによって決定的なものになるだろう。