KORG Gadget、Nintendo Switchとの相性は抜群か? 歴代シリーズの特性から予想
2008年7月、ニンテンドーDS用ソフト『KORG DS-10』が発売された。これはKORGのモノフォニックシンセサイザー「MS-10」をモチーフとした音楽ツールソフトで、タッチパネルを活かした操作性やワイヤレス通信による複数台同期演奏など、ゲームハードの特性と音楽制作が両立した名作だったと記憶している。
あれからおよそ10年、その系譜に連なる音楽ツールソフト『KORG Gadget for Nintendo Switch』が、2018年春に発売される。先の『KORG DS-10』と同じDETUNEが開発を手がけていると聞けば、その出来栄えには期待しかないといっても差し支えはない。YouTubeに上がっている佐野電磁氏のパフォーマンスのテンションを見れば、ワクワクしない方が難しいというものだ。
ここで「KORG Gadget」についていくつか話しておこう。「KORG Gadget」は2014年にiOS版がリリースされ、KORG謹製の高品質なソフト音源と優れたインターフェース、そして音源それぞれを「ガジェット」と呼称するユニークさなどで、世界でも愛される音楽制作アプリとなっている。2016年に開催された世界規模の楽器見本市Musikmesseでは、モバイルミュージックアプリとしてアワードも受賞した。ちなみに、同年はMatrixBruteがシンセサイザー賞を受賞している。
そして2017年には待望の「KORG Gadget for Mac」がリリースされたが、実はこちらの評価はそれほどでもない。理由としては、「KORG Gadget」自体がタッチディスプレイに最適化されたインターフェイスであること、Macでの音楽制作ではすでに強力なDAWやプラグインが出ていることなどが挙げられる。このことから、「KORG Gadget」の魅力は音質面というよりも、操作性やデバイスとの相性であることがわかってもらえるだろう。
「KORG Gadget」の特性を見直したところで、Nintendo Switchというハードが「KORG Gadget」とどれだけ相性が良いのかを考えてみたい。タッチディスプレイであり、かつコントローラーを使って横持ちでもワイヤレスでも操作できる。ピアノロールをじっくり見れる横長画面に、ワイヤレス通信によるマルチプレイもできる。そして、ゲームハードとしてのNintendo Switchは近年稀に見るほど高く評価されている。スペックだけ見ると、これはもう完璧にハマっているではないだろうか。
こうなると、「KORG Gadget for Mac」によって、Nintendo SwitchがDAW制作ツールとしても評価できそうな可能性も出てくる。「KORG DS-10」の頃はまだ飛び道具的な制作ツールの雰囲気を脱しなかったが、Nintendo Switchのポテンシャルならその域に留まることはないはずだ。ハードとしての進化が、音楽制作としてのポテンシャルも引き上げている。Nintendo Switchにマイク機能があればもっと面白いことができただろうに、そこだけが惜しい。アプリ連動でもできるようになったりしないだろうか。