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“フリースタイル母ちゃん”は実在する? 音楽活動と子育て両立するフィメールラッパーたち

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 10月14日にフジテレビ系列で放送された『世にも奇妙な物語』の「フリースタイル母ちゃん」で中山美穂が“主婦MC”を演じて話題になった。

 ストーリーを要約すると、内気な主婦・房子(中山美穂)が「塗るとフリースタイルラップができるようになる」というリップクリーム「ラップクリーム」をひょんなことから手に入れ、職場のクレーマーや嫌味な上司に対して心にしまっていた不満をラップでぶつけてしまう。そんな中、家庭内のコミュニケーションが上手く取れていない息子が塾も行かずに、年上の友人と遊びに行くのを発見。それを追って行き、息子を擁護する大岩(浅利陽介)にフリースタイルバトルを挑むもあえなく惨敗。ラップとはどういうものかを学び直し、房子なりに息子への愛を再確認し、再度大岩に挑む。中々の名勝負をした房子は最終的に息子とバトルへ。言いたいことを言い、そして知りたかった息子の気持ちを引き出して親子の絆を深める。これでめでたしめでたしと思いきや、ラップクリームを手に入れた房子の姑が襲来。房子の戦いはまだまだ続くのであった。ーーこんなとんでもない内容だった。

 流行っているMCバトルの要素を取り入れたのは、いかにも『世にも奇妙な物語』らしい。「中山美穂のラップかっこいい」という声も上がれば「ラップが下手」という厳しい声もあった。しかし、「面白かった」という評価が多いように感じた。テレビ番組のドラマとしては成功だったと思う。また、スチャラダパーのANIや輪入道などラッパーたちが出ていたのも話題になった理由だろう。ちなみにラップ指導はラッパーのACEだという。

 たしかに中山美穂のラップは決して上手いわけではなかった。無理に言葉を詰め込んでいて息がもたずに苦しそうだったし、低い声を出そうとするあまりに音程が怪しい箇所もあった。ただ、ラップ未経験にしてはそれなりに形になっていたし、用意されたものにしてはリリックがとてもわかりやすかった。相手を叩くだけでなく、家族愛をテーマに扱ったリリックは胸にジンとくるものがあった。

 ベテランでありながらラップに挑む役柄は他の女優では務まらないだろう。中山美穂のチャレンジ精神に女優としての底力を見た気がした。また、アイドル時代は小室哲哉をプロデューサーに従えて「50/50」などの名曲をリリースし、その後も女優として成功しながらもWANDSと共に「世界中の誰よりきっと」というミリオンヒットを放った中山美穂だからこそ、新しい歌唱法の一つとしてラップにチャレンジしたのではないかと思う。賛否はあったが個人的には単純に楽しめた。

「フリースタイル母ちゃん」は実在する?

COMA-CHI『C-10』

 母親という存在がラップをする、という意外性に面白さがあった「フリースタイル母ちゃん」だったが、実は今のシーンにもママさんラッパーは何人も存在する。以前は結婚や出産などを機に引退するフィメールラッパーが殆どだったが、より多様化した今のシーンでは音楽活動と子育てをなんとか両立させて活動するラッパーが出てきた。以前よりも男性が育児に協力的になった。子育て支援制度が充実した。そういった背景もあるだろうが、でもそれは決して楽なことではない。「子供がいるのに音楽なんてやって」という冷たい声を浴びせられることもあるだろう。それでも彼女たちはマイクを握り続ける。そんなママさんラッパーを紹介したい。

COMA-CHI

「Embrace 〜君の全て〜」/COMA-CHI with 有坂美香&The Sunshowers

 フィメールラッパーといえばやはりCOMA-CHI。2005年にB BOY PARK MCバトルで女性初の準優勝。その後「ミチバタ」「B-GIRLイズム」などの名曲をドロップしてラッパーとしての立ち位置を築き上げた。そんなCOMA-CHIも2013年に出産。その後はスローペースながらも客演などをこなして活動を継続。女性だけのMCバトル『CINDERELLA MC BATTLE Vol.2』に出場したのも記憶に新しいところだろう。惜しくも敗退こそしたものの、圧倒的な存在感を見せつけていた。そして今年9月にはCOMA-CHI with 有坂美香&The Sunshowers名義で「Embrace ?君の全て?」を発表。ゴスペルを取り入れながら我が子への揺るぎのない愛をラップしている。

tomgirl

 COMA-CHIと共に『CINDERELLA MC BATTLE Vol.2』に出場したtomgirlもママさんラッパーだ。2005年にデビュー作『Give It A Try』を発表。英語を巧みに操り、本場USのHIPHOPサウンドを取り入れた作風が当時は話題になった。また、ラップだけではなく歌も歌えるのも強みだ。その後出産を経て、2014年に発表したEP『Let’s Get Drunk』に収録された「My First Baby」では子供を持った喜びを歌っている。10月11日に開催された『虎ノ子MC Battle』にも出演しライブを披露したが、シッターの確保に苦戦しながらも仲間のサポートを受けて活躍している。

Awich

 MCバトル勢ではないのでフリースタイルはしないが、Awichはママさんラッパーの中でも今最も勢いのあるラッパーだろう。2006年にデビューするもビジネスを学ぶために渡米。アメリカ人の男性と結婚し、娘を出産したが旦那さんと死別という壮絶な過去を持つ。近年、Chaki Zulu率いるHIPHOP集団YENTOWNに加入し、自身名義のアルバム『8』を発表。Chaki ZuluらしいTRAPサウンドを取り入れる一方で、同じ沖縄出身のラッパーであるRITTOを迎えるなど、沖縄という自身のルーツに基づいたAwichらしい音楽を展開。英語・日本語・沖縄語を使い分け、最先端サウンドでありながらもどこか神秘性を秘めた作風に魅了されるファンが多い。『8』収録の「Jah Love」では娘と共演し、家族の絆の強さを歌った。なによりも幼い女の子のラップがとてつもないインパクトを残す。

COPPU 

 ラッパーらしからぬほんわかとしたキャラクターのCOPPUも子育てを楽しんでいる女性MCだ。2008年に『Story teller』でデビュー。ジャジーHIPHOPを取り入れたスタイルが当時の女性ラッパーでは珍しかったため「四季Remix」は話題を呼んだ。2015年に発売されたアルバム『Fate』ではジャケットで妊娠した姿を披露。また、『Fate』に収録された「2013年特別な1日」では子供に込めた想いをラップしている。現在は配信型コンテンツFRESH!内のHIPHOP番組『らっぷの時間。』のホストを務めながら子育てと音楽活動を両立。SNSでも親馬鹿な一面を見せる一方で、ビートメーカーLAUGHが8月に発売したアルバム『Sneer』に収録された「LIBRA」に客演で参加するなど、ちょうど良いバランスで音楽活動を続ける。

      

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