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3rdシングル『STYX HELIX』インタビュー

MYTH & ROIDが語る、アニソンの理想形 「わかりやすさの中で個性を出すこと」

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 さまざまなアニメソングやアイドル、アーティストの楽曲アレンジやプロデュースで知られる気鋭のクリエイターTom-H@ckと、日本人離れした歌声とパフォーマンスが魅力の女性シンガーMayuからなるMYTH & ROID(ミスアンドロイド)が、待望の3rdシングル『STYX HELIX』をリリースした。表題曲はテレビアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』のエンディングテーマとして制作された、浮遊感漂うエレクトロナンバー。攻撃的なロックサウンドが特徴だった過去の作品とは一線を画する、MYTH & ROIDの新境地を伝える1曲だ。なぜこのような楽曲が完成したのか、その経緯と制作に対するこだわりを聞いた。(西廣智一)

「日本人に絶対的に響くメロディラインを意識」(Tom-H@ck)

ーー過去2作はデジタル色を散りばめたロックテイストの強い楽曲でしたが、今作はそこからちょっとシフトチェンジしたように感じました。特に表題曲「STYX HELIX」には、前回のインタビュー(参照:「人生で一番ショッキングなことを表現したい」Tom-H@ck&Mayuが語る、MYTH & ROIDの目指す音楽)でキーワードとして挙がった「無国籍感」がより強まった印象もあります。『Re:ゼロから始める異世界生活』のエンディングテーマということでアニメを意識した部分もあるとは思いますが、実際曲作りの際にはどのように進めていったんですか?

Tom-H@ck:基本的には最初にまずアニメのタイアップを頂いていたので、そのうえでプロデューサー目線で考えたときに、日本人に絶対的に響くメロディラインというのを意識して、そのラインをふんだんに取り入れようと思ったんです。でもそれをMYTH & ROIDでやると、下手すると大衆性が強すぎて「よくある曲だね」「今まで聴いたことがあるね」となってしまう可能性がある。アニメのタイアップ曲であることを踏まえつつその先に行かなければならないということで、今回は上のボーカルラインを民族音楽風にしたり、その下で鳴らすシンセの積み方を少し工夫したりすることで個性を出そうと。そういった要素をミックスしたことで、結果的に無国籍感につながったのかもしれませんね。

ーーなるほど。そういう無国籍感がありながらも、メロディはとても日本的というか親しみやすいものなんですよね。

Tom-H@ck:これは余談かもしれませんが、以前面白い実験をやったことがあって。僕が20代初めの頃に百石元さんに弟子入りしたとき……まだiTunesも今のように当たり前ではない時代だったんですが、ドイツの配信サイトで日本人が超好きそうな楽曲と、いわゆる日本人があまり聴かないような、メロディがペンタトニックでできてない楽曲をアップして、どういう反応があるかを調べたことがあったんです。結果は日本人が好きそうな楽曲があまり受け入れられず、海外向けの曲が高く評価されたんですよ。それこそ『けいおん!』の音楽をやってた頃にも、どういうメロディの流れと音程で音楽が構築されたら日本人の心を掴めるんだろうって研究したことがありましたけど、その経験がこの「STYX HELIX」には詰め込まれているんです。5度で飛んだりとか、ハモりの横のラインと縦のラインの関係性をどう作るとか、そういういろんな理論や技術、知識を凝縮して作ったんです。

「歌声さえも楽器の部類に入るような表現が多かった」(Mayu)

ーー重ね方によるものなのか、ボーカルからはときどき非人間的な雰囲気も感じられます。

Mayu:今までの2作とは曲調がガラリと変わったので、ニュアンスの付け方も自然と変わってきたところが多々ありました。また「STYX HELIX」は日本語詞の分量が多いので、今までみたいに日本語を英語に聞こえるように歌うというよりはきちんと日本語らしく歌っているんだけども、そこで感情を乗せて聴かせる部分とあえて無機質に聴かせる部分が1曲の中に散りばめられているんです。

ーーその結果、歌に関して前作までと違った印象を受けたわけですね。

Mayu:そうですね。前作「ANGER/ANGER」と前々作「L.L.L.」は強く歌うパートと一気に落ちて静かになるパートがハッキリしてたんです。でも今回は抑揚が少ないんだけどなんとなくカラーが変わっていくタイプの楽曲だったので、そこに声でどう色付けしていくか、過去2作とは違ったやり方でアプローチしました。

ーー前回お話を聞いたときに、Mayuさんのルーツとして洋楽ポップスやロックが挙げられましたが、この「STYX HELIX」からはそことは違う影響が見え隠れしていて。Mayuさんのシンガーとしての新たな資質が表出していると思うんです。

Mayu:本当ですか? 嬉しいです(笑)。「STYX HELIX」での歌唱に関しては、誰から影響を受けたという自覚は特になくて。このサウンド感や醸し出してる雰囲気に自分を落とし込みつつ、こういうふうにアプローチしたらいいんじゃないか、こういうふうに歌ったらいいんじゃないかという話し合いはTomさんやスタッフさんとしているんですけど、そうしているうちに自然とたどり着いたゴールがここだったのかなっていう感じなんです。なので聴いた方の中に「MYTH & ROIDのMayuってこういう曲を歌うときはこの人っぽいな」というのがもしあるんだとしたら、逆に私も気なりますね。

ーーそうだったんですね。またこの曲ではパートによっては、ボーカルが楽器のひとつと化してる瞬間もあって。そこも前作までと違う気がしました。

Mayu:そうですね。今までは掛け声だったりウィスパーボイスだったりいろいろ重ねているものはありましたけど、あくまで歌や声として重ねていて。でも今回の楽曲では歌声さえも楽器やサウンドの部類に入るような表現が多かったので、歌声を楽器の音のように重ねたりしてるんです。そういった部分がボーカルの主メロと相まって非常に不思議な感じや浮遊感、ミステリアスさを作り出しているんだと思います。

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