YEN TOWN BANDの音楽はなぜ古くならないのか 小林武史がシーンに与えた影響を読み解く

 小林は同バンドを現代風にアップデートすることを復活コメントで示唆しているが、同氏は今回のプロジェクト再始動の背景にある動機についてこう述べた

「今回のYEN TOWN BANDの復活は、2015年の社会に必要なメッセージを発したいという動機が強いのだと思います。映画は“通貨とは何か?”をテーマにした作品であり、YEN TOWN BANNDも楽曲にも、経済中心の世界に対する違和感が見て取れます。小林氏はap.bankをはじめ、営利目的ではなく、お金をより良い未来を作るための道具として用いるシステムを模索していますが、現在の社会はさらに経済優先の流れが強まり、教育、政治などに対してもビジネスマインド、消費者マインドがはびこってしまっている。それはおそらく音楽も同じで、いかに効率よくビジネスを展開するかということに焦点が当たり過ぎていることは否定できないと思います。小林氏のコメントは、そんな現状に対し、YEN TOWN BANDを使って有意義なメッセージを送りたいという意思の表れではないでしょうか」

 最後に、同氏はYEN TOWN BANDが繰り出す新たな一手を下記のように推察した。

「音楽的なスタイルはおそらく、大きく変わることはないと思います。ただ、ダフトパンク、ファレル、アラバマ・シェイクスをはじめ、ルーツミュージックを再解釈した作品を発表しているアーティストが増えているのは20年前と似ているとも言えるし、アナログ感を現代的ポップスに結びつける小林氏の技術もさらに向上しているはず。そういう意味でも、YEN TOWN BANDの復活は必然だったのでしょう」

 タイムレスな音楽観で時代を席巻した同バンドは、いま一度、現在の音楽シーンにどのような風を吹き込むのだろうか。今後の動きに注目したい。

(文=編集部)

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