『Colour by Number』リリースインタビュー
MONKEY MAJIKが提示する“バンドの味”とは?「自分のビートやメロディを出していきたい」
「今回はある意味でベストアルバムのような感覚」(DICK)
――どんなコンセプトでスタートしましたか。
ブレイズ:みんなと話をして、タイトルになっている『Colour by Number』というテーマから決めたんです。普通に聞くとカラフルでかわいらしいイメージだけれど、僕の場合はもう少しスピリチュアルなイメージで捉えました。最終曲の「Walk with me」に<black & white>という歌詞が出てくるんですけど、Colour=色の話で考えると、これは子どものころに見たモノクロ写真のイメージ。細かく考えると、いまの時代でも世界はまだ白黒だというか、自分の心をうまくペイントできていないと思うんです。今回のアルバムには「Calling Heaven」や「Puzzle」など、数字と色を組み合わせて自分の心をペイントしていく…という曲が多くて、他の人もそれぞれにペイントしてくれたら、もっと面白い色が出るんじゃないなって。
――塗り絵という意味もある『Colour by number』という言葉は、早い段階からあったんですね。
メイナード:そうですね。きちんとテーマを設けてやろうというのがありました。ヴィジュアルとサウンドを毎回大事にしていますが、今回は特にヴィジュアルを大事にしたくて、シングルの段階からイメージが見えてくるようにしました。そしてアルバムのジャケットは、塗り絵にイメージにしようと。
――塗り絵といえばあとから色を加えていくものですから、リスナーが自由に楽しむ作品でもある、ということでしょうか。
メイナード:そうそう。せっかくならカラオケまで入れようかと思ったのですが、それは実現できませんでした(笑)。全体のコンセプトから離れると、今回、僕はアップテンポな曲を入れたいと考えていたし、あらためて通して聴いたら、いろんなタイプの曲があってチャレンジしている感じがします。「チャレンジ」は僕のなかのテーマで、これまでやっていないような曲を作りたかったんです。
――そのなかで、特に印象的だった新しいタイプの楽曲は?
メイナード:ほとんどがそうなんですけど、「Crazy」や「PHONE CALL」は、やってそうでやってなかった感じになりました。あとは「Walk with me」でゴスペルを入れたのも、新しい挑戦ですね。
――「Crazy」や「PHONE CALL」について、イメージした時代や地域などはありますか?
メイナード:「PHONE CALL」のイメージは、完全に80年代のポリスですね。それまでできていた曲に切ないものが多かったから、最初はバランスを考えてもう少し元気なメロディにしていたんですけど、「本当はこういうものがやりたいんだ」とTaxに相談したら、「確かに、もう少し切ないメロディの方がいいよね」と言ってくれて。
ブレイズ:いま全部の曲を聴くと、例えば「Walk with me」はロッド・スチュワートっぽいし、「Frozen」はコールドプレイっぽい。今回のアルバムは、シークレットでみんなの好きなアーティストの味が出ているんじゃないかな。
メイナード:新しいチャレンジをするときって、そういうことが大事だと思うんですよね。憧れのアーティストを思い描いて、あれもやってみよう、これもやってみようって。だから本当にカラフルな内容になりました。特に「Crazy」はメンバーによって違う印象があったみたいで、マイケル・ブーブレっぽいところがあったり、ビートルズっぽいところ、ベン・フォールズのような部分もあって、どこかでルーツを見つけられるものになったと思います。
――DICKさんは、アルバム全体をどう捉えていますか?
DICK:最近、アルバムに対するこだわりがなくなっていて、1枚のアルバムに入っていておかしくなければ、それぞれにいい曲を作ろうと考えていますね。だから、今回はある意味でベストアルバムのような感覚もあって。ただ、全体を聴き直してみると確かに、塗り絵のようなイメージがあると思います。
――プレイヤーとしても、新しいことに挑戦しているという印象です。
DICK:そうですね。これまでほとんどやったことがないようなタイプの曲が多かったけれど、メロディに関してはメイナード、ブレイズらしい感じで共通しているから、これまでとぜんぜん違う感じで弾くか、共通しているところを出すかで悩みました。「PHONE CALL」なんかは、本当にポリスみたいに弾いた方がいいのか、さじ加減が難しくて。ただ結果としては、メロディに寄せて共通性を持たせて引くことのほうが多かったですね。