NMB48、最新作に込められた山田菜々へのメッセージ “明るい卒業”を見据えたグループの動向を読む

 NMB48がセンターに白間美瑠、矢倉楓子の二人を据えたシングル『らしくない』を11月5日にリリースした。山本彩、渡辺美優紀が背負ってきたグループの顔を、チームM所属の次世代二人が引き継ぎ、またシングルCDに盤違いで収録される各楽曲のチーム編成も、恒例になっていた白組、紅組、難波鉄砲隊名義ではなく、組閣を経て初期メンバーがそれぞれに配分されたN、M、BⅡの各チーム名義となった。48グループ全体が次世代の顔となるメンバーの育成、認知をはかるフェーズに入っていく中で、NMB48もまた今作で未来を見据えたひとつの形を見せた。

 今作に込められた「未来」には二つのベクトルがある。ひとつはもちろん、ながらく中心を務めてきた山本、渡辺体制の先を示す、新センターの起用である。白間、矢倉のWセンター抜擢は、この二人のみならず山本、渡辺以外のメンバーが現実的にグループの顔として選ばれる可能性を示したことに大きな意義がある。実際、山本や渡辺を除いた時に、白間、矢倉のみが他メンバーより抜きん出ているわけではない。そもそも、グループ内の立ち位置にかかわらず己のキャラクターを発揮することに長けた人材の多いNMB48メンバーは、それぞれのやり方、方向性で山本や渡辺に伍する存在感を見せる。同様に若いメンバーをセンターに据えるシフトに入った他の姉妹グループに比べても、現在のトップメンバーと次世代注目株とがもっとも拮抗したグループといえるかもしれない。もちろん、今回のWセンターを支える格好となった山本、渡辺がグループの第一線から後退する準備を始める気配などなく、表題曲「らしくない」はこれまでの顔だったメンバーと次世代、さらに移籍組である柏木由紀、梅田彩佳らの色が折り重なった、層の分厚い布陣になっている。その意味では、次世代への橋渡しと言い切ってしまうにはまだまだ時期尚早で、それぞれの世代、経緯を背負ったメンバーが並列に並んでいるようでもある。

 もうひとつの「未来」は、今作の各盤共通で収録されている山本と山田菜々のデュエット曲「友達」に見出される。先月の4周年ライブ2日目に卒業を発表した山田と、オリジナルメンバーとして共に中核を担ってきた山本の関係を映すような「友達」の詞は、次世代へのチャンスを拡大させるような表題曲の勢いと背中合わせに、NMB48の歴史の重要人物として歩んできた山田へのはなむけとなるものだ。

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