神聖かまってちゃん・の子が音楽を作り続ける理由「すごく負けず嫌いで、飢餓感もかなりある」

20140909-kamatte.jpg

 

 シングル3枚とDVDのリリース、夏フェスへの出演、そしてアルバムのリリースとツアー開催というマニフェストを元旦に発表した神聖かまってちゃんが、アルバム『英雄syndrome』によって遂にそのマニフェストを達成した。

 2年ぶりの新作『英雄syndrome』を聴いてまず驚いたのは、サウンドの感触がこれまでのアルバムとまるで違うということだ。バンドサウンドでありながら同時に打ち込みのクールな感触もあり、ヴァイオリンもこれまでのアルバム以上に前面に押し出され、さらにサンプリングも活用されている。

 CDジャケットやヴィデオ・クリップに外部のクリエイターを起用する機会も増え、マニフェストの実現に向けて貪欲に1年近く邁進してきた神聖かまってちゃん。その最終章を飾ることになる新作での大きな変化は、何が理由なのだろうか? の子に話を聞いた。

「マニフェストは正直「ニュースになるんで出そうか」ぐらいの気持ち(笑)」

ーーマニフェスト達成おめでとうございます!

の子:ギリギリでしたけどね、CDもPVもすべてが。今までシングル3枚もまとめて出したことなかったですし。

ーー1年にシングル3枚なんてアイドルみたいですよね。

の子:でもアイドルみたいなもんじゃないですか。僕は昔からヴィジュアルも気にしてるんで。他のみんなはわからないですけどね(笑)。

ーーALSアイスバケットチャレンジや富士山登頂と、最近のツイキャスでの配信もむちゃくちゃ面白いですね。

の子:配信はずっとやってるんで職業病みたいなところもあります(笑)。配信も6年もやってるから、臨機応変にリスナーの立場を考えて、どういうものが面白いかをつかめてますね。

ーーそれはやはり計算された部分もあるんでしょうか?

の子:計算しかないです(笑)。だから配信だけ好きで、神聖かまってちゃんの音楽は嫌ってる人もいるんです(笑)。

ーーでも「英雄syndrome」は、神聖かまってちゃんの音楽に興味がない人にも聴いてほしいですよね。なによりサウンドの感触が、前作「楽しいね」までとまるで違う印象を受けたのですが、これはどこから出たアイデアなんですか?

の子:昔から曲の作り方は変わってないんです。僕の頭の中でイメージしたものから、自分で素材作るなり探したり、サンプリングするなり。ただ曲作りでパソコンを使うようになったんで、その幅が広がったんです。

ーー「ロボットノ夜」はテクノなサウンドですね。

の子:僕はもともと打ち込み志向の人間なんで。今はDJスタイルのアーティストとか海外で増えてるじゃないですか、でも僕が神聖かまってちゃんを立ち上げたときは、ギリギリ「バンド幻想」があったし、ライヴハウスにも出やすかったし、ファンも集めやすたかったし、メジャー・デビューまでの道のりがわかりやすかったんです。

ーー最初からメジャー・デビューを狙ってたんですか?

の子:狙ってましたね。富と名声を得たい、というのはものすごくあります。

ーーマニフェストを出したのも「もっと売れたい」という目標があったからでしょうか?

の子:生活できるぐらいの金はほしいですね。知名度で見返してやりたいし、すごく負けず嫌いなところがあって、飢餓感もかなりあるんです。配信するときも恥ずかしいけれど、常に飢餓感が上回ってますね。

ーーそれがマニフェストにつながってる?

の子:マニフェストは正直言って「ニュースになるんで出そうか」ぐらいの気持ちでしたけど(笑)。シングル3枚ってのも、多ければ多いほどいいんじゃないかっていうノリだったと思います。実際やったらギリギリでしたけど(笑)。

ーーこれまではアルバム収録曲も、事前にの子さんが制作したPVがアップされている曲が多かったのに、今回は「フロントメモリー」「ロボットノ夜」「砲の上のあの娘」以外はPVのアップがありませんでした。その変化は大きいなと感じてました。

の子:それはたまたまの面もあって(笑)、DTMを始めて1年か2年で、マスタリングやミキシングを自分でやると下手なんですよ。発表した曲がすごい不評で、「だったら個人で出さなくても、来年神聖かまってちゃんでアルバム出すんだし」って(笑)。自分でマスタリングやミキシングを全部できてたら、個人で出してたと思います。tofubeatsくんとか若い子は全部自分でやれるじゃないですか、ジェネレーションギャップを感じますね。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる