ニューアルバム『英雄syndrome』インタビュー
神聖かまってちゃん・の子が音楽を作り続ける理由「すごく負けず嫌いで、飢餓感もかなりある」
「tofubeatsくんの方が有名じゃないですか。危ういな、って思ってます」
ーー今回「フロントメモリー feat.川本真琴」で川本真琴さんを起用したのはどうしてでしょう?
の子:もともとヴォイスチェンジャーを使ってるぐらいだから、他の人に歌ってほしいぐらいなんですよ。キーが低いんです。もともと川本さんが好きで、頭の中で川本さんに歌わせながら作ってたんで、「歌ってくれないかなー」という話の流れです。
ーー逆に言うと、1曲しかゲスト・ヴォーカルがないのはなぜでしょうか?
の子:全部自分が望んだヴォーカリストならやりたいんですよ。でも時間が足りない、探してOKもらうまで待つのが面倒臭いと思います(笑)。でもこれから先々、マジでやりたいですね。
ーー「おかえり」のギターの弾き語りから、バンドでのセッションぽくなる展開や、「だいじょぶわないじゃん」の終盤が音飛びするような展開にも驚きました。こうした思い切ったアイデアは?
の子:「おかえり」は一発録りですね。うん、最後まで弾き語りでも良かったかもな?(笑)「だいじょぶわないじゃん」の音飛びは、DTMの初心者の使い方です(笑)。でも結局MTRに戻ってますけどね、YouTubeにあるPVの最新2曲は。
ーーこれまでのアルバムは、の子さんのデモ音源をYouTubeにPVとしてアップして、後からバンドでアレンジして録音をすることが多かったですが、今回はそれをリセットしたのかと思ったんです。それはあまり関係ない?
の子:それはすごく言われますけど関係ないですね(笑)。撮影してくれる親父も俺も時間がなかった。親父も5年前とかはワープアだったんですけど、今は普通に働いてるんで。他人に撮ってもらうことも考えたんですけど迷いもあって、もう彼女でも作らないとできない。
ーー彼女を作らないんですか?
の子:できない(笑)。
ーー今年のシングルやアルバムのPVは、の子さんが手掛けてないですよね。
の子:PVにはあまり口出ししないようにしてたんですよ、今年からはプロの力に委ねて。でもたまに口うるさい(笑)。
ーーCDジャケットも含めて、「プロの力に委ねよう」となった要因はなんでしょう?
の子:使えるものは使った方がいいですよ。正直、回んないですよ、集中力が持たない。「配信やらなきゃ、曲作らなきゃ、ツアーもしなきゃ」ってなると(笑)。俺、グッチャグッチャになるんですよ。
ーーそんなに忙しくても配信はやめないんですね。
の子:配信は絶対やめないですね。楽しいし、やりがいがあるからですよ。
ーー最近ニコニコ生放送よりもツイキャスを多く使うようになったのは?
の子:ツイキャスは流行に乗っかってるだけです、Vineも同じ。人が集まるところに行かないと意味がない。ニコニコも公式チャンネルを最近持ったし、僕の誇りですね。目立ちたいんですね、メジャー・デビューしようとしたのと同じですよ。
ーーえ、もう充分目立ってないですか!?
の子:マジ有名になってないですよ、当たり前じゃないですか。若手もどんどん出てくるし、tofubeatsくんの方が有名じゃないですか。危ういな、って思ってます。メンバーには言わないですけど。前は配信についてもメンバーに怒ってたけど、最近はまったく言わなくなりました。
ーー2010年の終わりに、の子さん以外のメンバーの皆さんにインタビューしたとき、「今年は解散3回しそうになった、原因のひとつは音楽じゃなく配信の打ち合わせばかりだったから」とも聞きました。もうそういう話もしなくなったんですか?
の子:配信については僕も反省してて。配信もセンスの問題なんですよ、それがないとネガティヴ・キャンペーンになっちゃう。メンバーには別のところでフォローしてくれたらいいかなと思いますね。上から目線ですけど、英気を養ってほしい。飢餓感とかを押し付けるのはやめました(笑)。だから最近はひとりで独立精神を持とうとチャレンジしてましたね、実家に暮らしてるくせに(笑)。メンバーに甘えてはいけない、って。甘えてるんですけど(笑)。
ーーの子さんの目には、今ほかのメンバーはどう映ってますか?
の子:みさこさんのバンドじゃないもん!は、本人も野望を持ってるし、いいなと思います。こっちにスケジュールの支障が来ないといいな、バランス良くやってくれたら。monoくんは、メジャー・デビューする何年も前からの付き合いだけど姿勢は何も変わってないし、なんでも言える。ちばぎんは僕らのわからない、なってないところでバランスを保ってくれてますね。計画的なんですよね。僕とみさこさんは計画よりも「やろう!」っていう勢いなんで、ガッと言うんだけど、monoくんとちばぎんは石橋をすごい叩いてフォローしてくれる役回りですね。
ーー同世代で気になるアーティストっていますか?
の子:売れてるバンドとかすごいと思いますね。どの分野から見るかにもよりますけど。単純に言えば、SEKAI NO OWARIとか、KANA-BOONとか、クリープハイプとか、プロモーション含めてすごいなと思います。
ーーそういえば、さだまさしさんのPV(『君は歌うことが出来る』)に神聖かまってちゃんが出演してますね。さだまさしさんはお好きですか?
の子:さだまさしさんは普通です。さだまさしさんから話が来たからOKしました。
ーーの子さんは来る者を拒まないところがありますよね、配信が象徴的ですけど。
の子:ネットが好きなんで、ネットの世界観に生きていたいんですよ。ネット媒体に身を置いてる自分も好きなんでしょうね。たとえば子供が宇宙に行きたがってるのと同じですよ。僕はネットの広がりの可能性を信じてるんで。面白いですよ、配信の歴史とか。今ではそれ一本で稼いでいる人もいますし、けみおくんとかがネットを通して出てくるプロセスも好きなんで。
ーーの子さんがネットを通じて音楽面で影響されるものってありますか?
の子:それこそボカロとか、Maltine Records(tofubeatsも所属するネットレーベル)には触発されてますね。今回メロディー以外はパソコンで作ってる時点で影響を受けてます。僕がtofubeatsくんを知ったのも、初期のBandcamp(ミュージシャンによる直接販売が可能な配信システム)なんですよ。彼に会った後に100曲か200曲もらったりして、影響は大きいですよ、DTM始めたのもそうですし、「俺は負けてんな」って。若手と言っても同じアーティストですから、年下も年上も関係ないし、逆にそういう存在がいるのに何も焦らないのがおかしいんです。
ーーその「焦り」への回答が新作。そうなると、の子さんが神聖かまってちゃんで次に目指すものは何でしょうか?
の子:コラボとかしたいですね、「Os-宇宙人」(『エリオをかまってちゃん』名義でヴォーカルに声優の大亀あすかを迎えた楽曲)みたいな楽曲提供もしたいんです。自分としての話で、神聖かまってちゃんの枠組みだけではないですけどね。やりたいこともあるし、まだまだ発見できてないこともあると思いますし。ネットの中でも面白いサイトが出たら使いたいと思いますし。
ーーそういうのが、の子さん、ひいては神聖かまってちゃんにも影響を与えてくるかもしれない、と。
の子:本当にそうですよね。僕が勝手に手を出したものを、神聖かまってちゃんで「やろう」となったものもあるし、配信もそうだったんで。まず俺から手を出していくでしょうね(笑)。
(取材・文=宗像明将)
■リリース情報
『英雄syndrome』
発売:2014年9月10日(水)
【初回限定盤(CD+DVD)】¥3,500(税抜)
[Disc.1]CD 全11曲収録
<収録曲>
01.オルゴールの魔法
02.ズッ友
03.ロボットノ夜
04.新宿駅
05.おかえり
06.背伸び
07.彼女は太陽のエンジェル
08.ひとりぼっち
09.フロントメモリー feat. 川本真琴
10.だいじょぶわないじゃん
11.砲の上のあの娘
Bonus Track フロントメモリー(の子vo.ver)
[Disc.2]DVD
収録内容:
「フロントメモリーfeat.川本真琴」「ロボットノ夜」「ズッ友」のMUSIC VIDEO
<初回限定盤特典>
シングル「ズッ友」とのW購入特典応募シリアルコード封入
【通常盤(CD)】¥3,000(税抜)
※CD収録曲は、初回限定盤と同内容になります。
<CD購入応募特典>
・シングル「ズッ友」+アルバム「英雄syndrome」の連動特典
・アルバム「英雄syndrome」単品購入特典
それぞれ50名様にプレゼント
●シングル「ズッ友」+アルバム「英雄syndrome」W購入特典ご応募のお客様
アルバム「英雄syndrome」封入チラシに記載されているシリアルコードと、
6月25日に発売された「ズッ友」に封入されているチラシに記載のシリアルコードを下記応募受付サイトよりご入力下さい。
抽選で50名様に『「神聖かまってちゃん」があなたのインターネットをささえる!“直筆サイン入り”アクリル携帯スタンド』をプレゼントいたします。
●アルバム「英雄syndrome」単品購入特典ご応募のお客様
アルバム「英雄syndrome」封入チラシに記載されているシリアルコードを下記サイトよりご入力下さい。
抽選で50名様に「『英雄syndrome』オリジナルノベルティ」をプレゼントいたします。
■ライブ情報
『妖怪かまってちゃんネットウォッチツアー』
※全公演共通
チケット:前売 ¥3,900(税込) D別 当日未定
10月14日(火) 広島 CLUB QUATTRO
OPEN/START : 18:00/19:00
10月16日(木) 福岡 BEAT STATION
OPEN/START : 18:15/19:00
10月19日(日) 名古屋 CLUB QUATTRO
OPEN/START : 17:00/18:00
10月24日(金) 新潟 GOLDEN PIGS RED STAGE
OPEN/START : 18:15/19:00
10月29日(水) 札幌 KRAPS HALL
OPEN/START : 18:15/19:00
10月31日(金) 仙台CLUB JUNK BOX
OPEN/START : 18:15/19:00
11月5日(水) 大阪 umeda AKASO
OPEN/START : 18:000/19:00
11月15日(土) 東京 赤坂BLITZ
OPEN/START : 17:00/18:00