『VIVANT』第2シーズンの“カオス”の正体 機械音声、二重人格などサウンドデザインの妙

『VIVANT』第2シーズンの“カオス”の正体

多言語と分裂する人格がもたらす、音の無法地帯

 視聴者の脳を激しく揺さぶる聴覚のカオスは、翻訳アプリやAIの音声にとどまらない。『VIVANT』の舞台は世界をまたにかけ、常に多国籍な言葉が飛び交っている。日本語、モンゴル語、英語があふれかえる、まさに音の無法地帯。当然それらの外国語には日本語字幕が付けられるわけだが、中には外国人キャラクターが日本語を話す場面もあったりする。

 キプロスに潜伏していたテントの幹部、アリ・カーンを演じる山中崇もそのひとりだ。彼が操る、流暢なのに妙なイントネーションの日本語は、一度聞いたら耳にこびりついて離れない。日本人俳優が外国人を演じ、わざと不自然な日本語を喋っているという違和感。その一方で、ノコルを演じる二宮和也のように、バルカの現地人でありながら完璧で流暢な日本語を操るキャラクターも入り混じっているから、ますます訳がわからない。

 主人公の乃木(堺雅人)でさえ、キャラクターとしてはだいぶせわしない。彼のなかには別人格のFがいて、ひっきりなしに二人で(というか一人で)喋りまくっている。優しく気弱な乃木、攻撃的で冷酷なF。同じ顔、同じ体から、まったく別人のような声が矢継ぎ早に飛び出してくるのだ。

 耳からは多国籍な言語や不気味な人工音声が流れ込み、目では絶え間なく切り替わる字幕を猛スピードで追いかけ、同時に複雑怪奇なストーリーを読み解かなければならない。そこへ休むことなく押し寄せるオーケストラが、感情を無理やり揺さぶってくる。読む、聴く、見る、そして感じる。この同時処理を極限のスピードで強制するアプローチは、もはや実験映像レベルだ。

 音響の渋滞と猛烈な情報処理の強要は、もはや視聴者をドラマの傍観者ではなく、別班のモニターとして鍛え上げるテストのよう。諜報員たちが日常的にさばいている情報量を鼓膜に直接流し込み、音の渦の中から真実のシグナルを聞き分ける能力を試されている。この情報の波を処理しきれた者だけが、物語の深層へとたどり着けるのだ。

 『VIVANT』のサウンドデザインは、テレビの前の我々に、いまだかつてないミッションを突きつけている。

■放送情報
日曜劇場『VIVANT』第2シーズン
TBS系にて、毎週日曜21:00〜21:54放送
出演:堺雅人、阿部寛、二階堂ふみ、竜星涼、山中崇、Barslkhagva Batbold、Tsaschikher Khatanzorig、富栄ドラム、林原めぐみ(声の出演)、内野謙太、花岡すみれ、本間さえ、二宮和也、井上順、林遣都、内村遥、井上肇、市川猿弥、市川笑三郎、平山祐介、珠城りょう、西山潤、宮下今日子、Tanapak Jongjaiphar、濱田岳、坂東彌十郎、小日向文世、キムラ緑子、松坂桃李
原作・演出・プロデュース:福澤克雄
プロデューサー:飯田和孝
製作著作:TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/VIVANT_tbs/
公式X(旧Twitter):@TBS_VIVANT
公式Instagram:tbs_vivant
公式TikTok:vivant_tbs

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