『VIVANT』はなぜ社会現象になったのか? “考察ブーム”だけでは語れない物語の魅力

2023年7月期に放送された日曜劇場『VIVANT』(TBS系)の第2シーズンがいよいよ幕を開ける。3年ぶりの続編ということになるが、7月26日に放送される初回は“第1話”ではなく“第11話”。すなわち全10話で構成されていた第1シーズンの流れをそのまま引き継いでいるということだ。ならば尚更第1シーズンがどのような物語であったかをしっかりとおさらいしておく必要がある。ただ、一般的なドラマのように“わかりやすい一つの流れ”で構成されていない非常に緻密で複雑な作品であった以上、ざっと簡潔に振り返るのは容易なことではない。
第1シーズンは、大きく3つのフェーズに分けて振り返っていくのがいいだろう。導入の役割を果たした最初のフェーズでは、“誤送金”に端を発する物語が展開。大手総合商社の丸菱商事に勤めるうだつの上がらない商社マンの乃木憂助(堺雅人)は、中央アジアにあるバルカ共和国の現地企業に誤って送金された9千万ドルを取り返すためにはるばるバルカへと渡る。その金がテロリストの資金に回されていることが判明し、直談判に向かうも自爆テロに巻き込まれそうになり、公安刑事の野崎(阿部寛)に助けられる。

バルカ警察に追われる身となり、野崎らの協力を得ながらバルカからの脱出を試みた乃木。なんとか日本に帰国し、誰が誤送金を仕組んだのかという犯人探しが進められていくなかで、「テント」と呼ばれるバルカのテロ組織の存在や、精鋭たちが集められた自衛隊の非公認部隊「別班」の存在が少しずつにおわされていく。そしてこのフェーズの終盤で、ここまで単にトラブルに巻き込まれただけの不運な男のように描かれていた乃木こそが「別班」の諜報員であることが明かされ、ドラマのムードはがらりと一変することになる。
次なるフェーズの軸となったのは、乃木が「別班」だと勘付いた野崎が、乃木の正体を探っていく姿だ。また乃木と、新たに登場した黒須(松坂桃李)ら「別班」メンバーたちが「テント」を追う姿も並行するように描かれていく。対立する関係にあった野崎とバルカ警察のチンギス(バルサラハガバ・バトボルド)が手を組み、彼らと「別班」と「テント」の三つ巴の様相を呈していく一方で、「テント」のリーダーであるノゴーン・ベキ(役所広司)が乃木の生き別れた父親であるという重大な事実が判明する。

「別班」が「テント」を追い詰めたと思った矢先、乃木が「別班」メンバーたちを銃撃する急展開から物語は3つ目のフェーズに突入する。そうして「テント」に潜入した乃木は、ベキと親子であることを告げ、信頼を勝ち取っていく。さらにはテロリスト=絶対悪であるかのように描かれていた「テント」の目的――孤児の救済や、フローライト発掘事業でバルカの国を豊かにしようとしていること――が明かされ、それが終盤の物語の核となる。そもそも「テント」の最終標的が日本であると言われていたことから、日本を守るために暗躍していた「別班」。フローライト発掘事業が成功すれば日本が狙われることはないと判断した乃木は、自ら協力を申し出るのだ。






















