『VIVANT』人気の秘訣は少年ジャンプ&マーベル的作劇にあり? 日曜劇場が継承した歴史

『VIVANT』人気の理由を深堀り

 7月26日、日曜劇場(TBS系日曜21時枠)で『VIVANT』の第2シーズンがスタートした。

 2023年に放送された『VIVANT』は、壮大なスケールの映像と謎が謎を呼ぶ物語が話題となり、多くの視聴者を引き付けた。

 丸菱商事で働く乃木憂助(堺雅人)には、自衛隊の非公認部隊・別班の一員という裏の顔があった。国際テロ組織・テントをめぐる任務から戻った乃木は、治療中だった別班の班員4人が何者かに拉致され、バルカ共和国にいるはずの黒須駿(松坂桃李)も行方不明になっていると知らされる。乃木は4人と黒須を探すため、再びバルカ共和国に向かうことになる。

 とにかく情報量が膨大だというのが第2シーズン・第11話の印象だ。

 登場人物が多く設定が複雑な壮大な物語を全面に打ち出す作劇手法は、『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載されている『ONE PIECE』や『HUNTER×HUNTER』といった人気長編漫画や、ハリウッド映画の『スター・ウォーズ』シリーズや『アべンジャーズ』等のマーベル・シネマティック・ユニバースのヒーロー映画といった現代のメジャーコンテンツでは定番のものだ。

 第1シーズンを終えて独自の世界観が確立されたこともあり、『VIVANT』もこれらの作品と同じ描き方に本格的にシフトしたように感じる。

 何より本作のスケール感のある映像を観ていると、作り手が本気で『VIVANT』を国民的なメジャーコンテンツとして打ち出そうとしていることが伝わってくる。同時に、これだけ壮大な物語でありながら、作品の根幹にあるものが、スーツを着て砂漠を横断する乃木憂助のジャパニーズサラリーマンスタイルだというのが、とても日曜劇場らしいと感じる。


 日曜劇場は1956年から続く老舗のドラマ枠だ。当初は1話完結の単発ドラマを放送する枠としてスタートしたが、1993年春クールに放送された『丘の上の向日葵』(TBS系)から、連続ドラマ枠に移行している。

 1990年代の日曜劇場は中年男性のサラリーマンを主人公にしたホームドラマが多く、大人向けのコメディが中心だった。

 その後、2000年代に入ると、作品の幅は一気に広がり『GOOD LUCK!!』(TBS系)のような現代を舞台にした若者向けドラマを手掛ける一方、『砂の器』(TBS系)や『華麗なる一族』(TBS系)といった昭和の名作小説をリメイクするようになり、その後の日曜劇場のカラーとなっていくのは後者の流れだろう。

 そして、2013年に『半沢直樹』(TBS系)が大ヒットすると『下町ロケット』(TBS系)や『陸王』(TBS系)といった池井戸潤の経済小説を原作とする作品が次々と作られる。銀行と町工場と大企業の衝突を時代劇のように描いた池井戸潤ドラマは、バブル崩壊以降の平成日本の空気を反映しており、だからこそ多くの視聴者を引き付けるドラマとして日曜劇場に定着した。

 また、『半沢直樹』等の池井戸潤ドラマに関わってきた福澤克雄の演出は、新作を作るごとに独自の洗練を見せており、歌舞伎の見得のように役者の芝居を表情のアップを多用してみせる一方で、『陸王』のマラソン大会のシーンを筆頭に、大勢の群衆を撮る臨場感のある映像を撮ることで、物語のスケール感を巧みに演出していた。

 前述した『砂の器』や『華麗なる一族』も福澤がチーフ演出を担当しており、その意味で2000年代以降の日曜劇場の大作路線は、福澤が牽引してきたと言えるだろう。その集大成が現在放送されている『VIVANT』である。

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